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3章 怪しすぎる言い伝えと疑惑のD級冒険者
66話 さて、どうだろうな?
しおりを挟む「彼と会ったの?」
シンガライ領のギルドマスター室で、キャロラインは酷く緊張した様子でそう聞いた。
「ああ。元気だったぜ」
「正体は明かしてた?」
「いや、初対面のふりされた。オレが気付いていること知らねーよ、あいつは」
オリバーが、セオドアの様子を思い出してフフッと笑う。あれでは、気付かないものも気付いてしまう慌てっぷりだった。
「そう、相変わらずね。弟子を取ってパーティ組んでたって本当?」
共通の話題により、二人の話は弾んでいった。
「マジだよ。ししょーっ!って懐いてたな。あの勇者」
しみじみとオリバーが言った。仔犬のようにセオドアについて回るレオンハルトの姿は、微笑ましいものとして彼の記憶に残っている。
「勇者を弟子に、ねえ。とんでもない“面倒事”だと思うけど。
パーティメンバーとの様子は?」
「グスカン・ベベス、“焔の剣”っつう二つ名の新進気鋭のB級冒険者が仲間だな。
デカくてうるさいが、才能はあるしめっちゃ良い奴だ。
あいつにもよく絡んでたぜ」
何処でも評価の変わらない男、それがグスカン・ベベス。
「へー、焔の剣ね……何処かで聞いたことのあるような気がするわ。天才とはだって。
セオドアに自ら絡みに行くなんて、ホント、馬鹿か良い奴ね」
「まーな。悪い噂はねえし、トラブってる感じもなかった。
いいメンバーに当たったんじゃねえの?」
「そう、良かったわ」
もしかしたら、廃人になってる可能性もあった。
信じていたものに裏切られ、全てを失い力も奪われ貶められた彼が新たな仲間を見つけたと聞いて嬉しかった。
「それで、さ。何があったんだアイツ、オレも全部は知らねーんだ」
「そうね…………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そうか、帝国も一枚岩じゃねえな。大丈夫か?」
オリバーに話せるところまで話した。
長い話だったので、そろそろ日が傾く頃になってしまった。
「大丈夫よ。やり遂げる」
「しっかし、そんな事があったなんてなー。
可哀想にな。なんで、あんな弱体化してんのかと思ったら、そんな事が……。
よく死ななかったな」
「腐っても帝国随一の天才よ。そういうものへの抵抗力も高かったの。
まあ、他の人間が受けていたら確実に死んでたわ」
それ程に、強力で残酷で無理矢理な封印だった。
キャロラインの師匠が手を出さなかったら、もっとひどいことになっていただろう。
「そうか。お前も頑張れよ」
「ええ……ねぇ、彼がどこに行ってのか聞いた?」
「たしか、ノルベク領だったぜ。それ以上は知らんが」
オリバーがセオドアに、リリアンヌを攫うことを頼んだのを知ったら、彼は死んでしまうため、嘘をついた。行き先については、嘘は言っていない。
「わかったわ。ありがとう、すぐ向かうわ」
「そっか、頑張れよ。なーんか、バッタリ出会える気がするな。お前たちは」
「当たり前よ」
「気ぃつけろよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから────
「さようなら、戦乙女……!」
「また、どこかで会おう! 必ずだっ!!
君のためならぼくたちは何処へでも駆けつけるからなぁぁぁぁぁぁ!!!」
「さようなら! さようなら! また、必ずよ!」
キャロラインは朝に旅立った。わざわざエミリアとエミッリオが見送りに来てくれた。
思わぬ友情がここでできた。すべてが終わったら、またここに行き、友人たちと会おうと思っている。
キャロラインは前に、歩き出した。
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