神世界と素因封印

茶坊ピエロ

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33.修了過程

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 修行が始まってから一週間が経った。俺とルナトは忌纏いみまといをほぼ習得していた。明日から学校なので俺は最後のアンデルさんとの組み手をしていた。俺たち2人と相手するのはもう辛いらしくルナトは見学だ。


「ホントに強くなったのぉ。護りも硬いし手刀で斬撃を飛ばすオリジナルまで身につけよって」


 そう俺とルナトは忌纏の手刀でも斬撃を飛ばせると思い試した結果成功したのだ。


「おまけにお主には未来予知の魔眼がある。軍に入れば間違いなく上位に組み込める実力じゃ」


「言ってるでしょ師匠。俺はミナを守ることができなきゃ意味ないから軍には入りませんよ」


 殴る、蹴る、斬撃などどちらも譲らない攻防を繰り返している。アンデルさんの掌底が俺の顎にクリーンヒットする。少しふらついた。


「忌纏の掌底を正面から喰らって気絶せん時点で相当な忍耐力だぞ」


 ルナトの横に親しくなったのでモルフェ様改め、モルフェさんがいつのまにかいて話す。


「その忍耐力を少しでも僕との修行出だしてくれれば、僕も苦労しないんだけどね」


「すいませんモルフェさん。この4日間何度も俺の精神こころを救い出してくれて」


 精神が壊れたら寝込んでしまうので、壊れないギリギリの所でモルフェさんは悪夢から救出してくれた。俺は結局一度もミナの死を直視することができなかった。


「まぁ行動の原動力がミナちゃんじゃ仕方ないかー。ルナトくんは自分の婚約者の死を受け入れることができたのにねぇ」


「むしろそこが理解でき・・・ほっはっ!ふいうちとは卑怯じゃないですか師匠!」


 モルフェさんと話している間に回し蹴りを連続でしてくるアンデル師匠。俺はそれを咄嗟に右、左と弾いた。


「まだ組み手は終わってないぞ。話は終わってからにせい」


「はーい。じゃあいくぜ俺の全力!」


 俺はエネルギー全部を右手にため込んで全力で殴りにいく。師匠はそれを交わすが後ろにあった空間が揺れた。


「いやぁ主らの全力を受けとめるのはちょっとキツイのぉ」


「休憩しましょう。俺はもうガス欠です」


 アンデル師匠は座りこんでミナに持たせて貰った水筒を出して飲む。師匠は見た目とは裏腹にもう50代だ。それに合わせてミナはスポーツドリンクの粉末の量を調節して師匠専用に水筒を持たせている。


「ミナのやつ、いつも気を遣ってくれてありがたいのぉ」


「この一週間で私たちの好き嫌いも把握して、なるべく食べやすいように弁当も作ってくれてるしな」


「僕の食まで把握していて逆に怖いくらいだけど」


 それぞれ弁当を開く。師匠は漬物多めのヘルシー弁当。ルナトのは魚多めの幕の内風で良い匂いがする。モルフェさんのはビビンバ風だ。俺のはもちろんチーハンと思ったら、開けたら違うのが入っていた。


「俺の場合好き嫌いの克服のために嫌いなものもよく入ってるんだよな」


 赤身の焼き魚が俺は苦手だ。それを食べやすいように焦げ目をつけてステーキソースで味付けしてある。塩味だけにしていたら俺は食べれなかっただろう。ミナの配慮はありがたい。


「良い嫁じゃな」


「良い嫁だな」


「良い嫁だね」


 最早恒例となった3人の俺をからかい攻撃。俺は綺麗に受け流して弁当を食べる。うん赤身魚だけど美味い!


◇◆◇◆◇


 俺とルナトはイヴさんとの試合形式で修行を行おうとしていた。今日は非番のアンデル師匠が審判をしてくれている。二人ともブレードを使うためミナも見学だ。


「さ、最終試験よ。あなた達ふたりはびっくりするくらい強くなったわ。わたしに膝をつかせることが勝利条件ね。二人で来なさい」


「いいんですね。俺たちブレードも使って全力で行きますよ?」


「まだまだ神族の壁は大きいということを教えてあげるわ。一週間程度じゃさすがに遅れを取るわけにはいかないもの」


「いいじゃないか和澄。イヴさんはこう言ってるし、昨日は一人でいい線いってた。二人でなら膝をつかせるくらい楽勝だ」


 ルナトもそういってる。俺とルナトはブレードを起動、忌纏で身体もエネルギーでコーティングした。


「二人ともがんばってー」


 ミナの応援で俺は気合いが入る。ルナトもミナに向かって親指を立てている。こうしてアンデル師匠の合図の元、最終試験で俺とルナトVSイヴさんの戦闘が始まった。
 俺とルナトは別方向に横に駆けだした。忌纏で速度はもう人外レベルだ。それに加えルナトは炎と水でジェット噴射を再現して音速と言って良いほどで、俺じゃ目で捉えきれない。


「わたしにも<未来視フューチャーアイ>はあるのよ」


 イヴさんは後ろに向かって炎を放つ。俺はちょうどその位置にきていた。しかし直撃はしない。俺も<未来視>でその炎を予測していた。


「ルナトォ!行くぞぉ」


「早速あれやんのか」


 ルナトは即座に俺の横にきてイヴさんが放った炎を操る。そしてルナトが炎を更に強化。俺とルナトはそれぞれ右手と左手を前にかざす。


「なるほど、とんでもないわね。これはプライドから正面で叩き潰さないとね」


 どうやらイヴさんは<未来視>で俺たちが何をするのか視えたっぽいな。しかしやることは変えない。


「「獄炎氷花フレイムブリザード」」


 爆炎と氷撃がイヴさんに向かって放たれる。以前にイヴさんがルナトに放ったという魔眼での組み合わせだ。威力は魔眼を使っていないから本家より下がるがかなり再現した攻撃だ。


「すごい・・・。モルフェさん二人って神族達と比べるとどのくらい強いんですか?」


「そうだなー。忌纏とかいうのも使用したら神格化したばかりの神族くらいなら、今は互角に渡り合えるんじゃないか?」


 モルフェさんはこれで結構評価は辛辣だ。そのモルフェさんに下級とは言え神族と互角とそこまで言われたら自身がつく。


「ほんと嫌になるわね。神族の魔眼使用時以外では最高火力の技を、劣化とはいえ人間二人だけで再現されるなんて」


 イヴさんは悪態吐くが、俺たちの攻撃はイヴさんの防御を突破できていない。そして次には俺とルナトは吹っ飛ばされた。


「くっ<絶対領域アブソルテイリトリー>か。わかってても回避できない」


「神族の魔眼である<絶対領域>を使用したのにモルフェが止める気配がないくらい強くなっちゃって」


 以前はモルフェさんに人間相手に神族の魔眼を使うなと言われていたイヴさんだったが、昨日も今日も神族の魔眼を俺たちに使用しても何も言わなくなった。それだけの実力を認められているのだろう。
 俺たちはまた高速で動く。ルナトのが数倍速いが翻弄するくらいなら俺の速度でも問題ない。


「それだけ高速で動かれると反応するには<未来視>を使わなくちゃいけないから、魔眼の枠を一つ減らされて厄介ね」


 そうはいうがイヴさんは顔は笑顔だった。現世でイヴさんをここまで追い詰めることができたのは師匠と陛下だけだったのだろう。だから闘いを楽しんでいるのだ。


「いいわぁ!アンデルちゃんとレイク以来よこれを使うのわ。喰らいなさいわたしの全力!」


 そういてイヴさんは手を上に掲げる。すると雷雲が生まれイヴさんは雷雲に飛び込む。


「イヴのやつ調子に乗りよって。和澄、ルナトあれは”鳴神”じゃ。儂と陛下はあれを喰らってイヴに負けたんじゃ。絶対に受けとめるんじゃないぞ」


 しかし俺は受けとめる気でいた。そして稲妻が俺たちに襲いかかる。俺はルナトを後ろにやり雷を受けとめた。


「うぉぉぉぉぉ」


「阿呆が!受けとめるなと言って・・・」


 俺は受けきった。俺は雷属性が最も適性が高いことがわかり自然に発生した微細な電気を吸収して練習していた。俺は鳴神を纏う。


「嘘でしょ!?鳴神を止めるなんて」


 そして俺は鳴神を纏い雷雲に突っ込む。雷雲を吹き飛ばし晴れた所でルナトはためこんでた炎弾をイヴさんに向けて放つ。イヴさんも電撃をルナトにぶつけるが純粋を身に纏い防ぐ。


「電撃だけに関しては神族相手でも引けを取らないか」


 おそらく<速度超過アクセルオーバー>を使って俺たちの後ろに現れて首をがっしり捕まれる。俺たちは攻撃に集中しすぎて<未来視>を使用していなかった。俺たちは両手をあげて白旗をあげる。


「それまで!勝者はイヴじゃな。しかし主等強くなりすぎじゃわ」


「素因封印されたまんまでこの強さって、子供の成長速度はバカにできないわね。あのクズが人間の素質を恐れる気持ちが少しわかった気がするわ。ともあれわたしに膝をつかせることはできなかったけれど合格よ。鳴神を受けとめられるなら問題ないわね」


「全くだよね。まだまだ神を相手するには粗削りだけど、普通の人間相手なら君ら遅れを取らないんじゃないの?まぁ神の指導の下だから当然かぁ」


 イヴさんとモルフェさんのお墨付きを貰って俺たちは自身がついた。今日で修行がおしまいというわけじゃない。休日時間があれば皆さんは指導をしてくれるそうだ。
 いよいよ明日から新クラスで学校が始まる。貴族が多いクラスでちょっかいをかけられるかもしれないけど、ここで鍛えて強くなったんだ。アメリカのこともある。
 俺とミナとルナトはいつもより早く就寝した。
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