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三章 天使VSサイコパス編

魔王VS妻!昨日の敵はなんとやら!

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あいつらは天使?
 しかもゲロジジィはスサノオ?
 情報が多すぎる。
 いやそんなことよりも今直面してる問題を解決しよう。
 なんだよあの巨体。
 いつもならイチモツはどうなっているのか気になるとかバカな考えするんだろうが――――――

――――――――――――
名前 セバス 85歳

ジョブ 村長

レベル 146

HP 46584211864/46584211864
SP 15461588788/15461588788
筋力 856146011
俊敏 154
技量 2641

スキル
身体縮小 使徒の加護 空間収納
――――――――――――

 そんな余裕吹っ飛んだわ。
 相手が巨人。
 しかもなんだよあのでたらめな筋力。
 聖剣持った俺の筋力ほどはないが、素であれだろ?
 身体強化とか魔法が使えたらもう嫌だぞ?

「ふんっ!」

「攻撃自体は遅いが一発でももらったら全員死ぬと思え」

 チッ!
 似非シスターは気絶してるが射程内。
 俺は似非シスターのところにいこうとするが、止まる。
 しかし着いたところで拳が到達するところだ。

「明石ぃ!」

「豚!ナイスだ」

 青谷が拳巨大化でセバスの腕を横から殴り、拳の軌道を逸らした。
 今のは的確な判断だ。
 いくら同じサイズでも筋力に差がありすぎる。
 受けとめていたら目も当てられない。
 似非シスターを持ち上げてキャリーの所にいく。

「キャリー!ここは退く!勝ち目がない」

「了解光!」

 聖剣無しじゃとても勝てる相手じゃない。
 影斬であれを切り刻む手もある。
 しかし皮膚も硬かった場合、逃げる時間も無くなり完全に詰みだ。

「逃げんのか明石」

「それ以外に選択肢があるか?」

「俺の思いつく限りねぇな」

「だろ?」

 最早俺達は苦笑いだ。
 そういや巨人と闘う漫画があったな。
 巨人を目の前にしてこんなに絶望的になるなんて思ってもみなかった。
 俺達にはスキルがあるわけだしな。
 まぁあれのステータスが異常なのもあるが。
 
「逃がすと思って居るのか若造がぁ!」

「逃げられると思ってないさ。普通の手段ならな」

 俺と青谷はキャリーの肩を掴む。

「青谷、フラグは立てるなよ。何も言うな」

「こんな時に何言ってるんだ?」

 そして俺達は瞬間移動する。
 場所は事前に決めておいた俺の家。
 今日あったばかりの俺の家の場所までは把握してないだろう。

「ねぇ光。これからどうするの?」

「どうするもなにも、本部に連絡するしかないだろ」

「それもそうね」

「でも本部長達でも勝てるかあれ?」

「それは勝てないと思うよ。わたし達強いし」

 なに!?
 さっきの青髪女!
 まさか瞬間移動に付いてきたのか!?
 座標がわかるとかじゃないだろうな!?

「やっほーさっきぶり」

「あぁさっきぶりだなぁ!」

 俺は青髪を蹴飛ばす。
 驚いた顔で受けとめた。
 くそっ!このステータスで受けとめられるのかよ。

「驚いたね。君、こんなにステータス高かったっけ?」

「その高いステータスを受けとめてるあんたはなんなんだろうな」

「元魔王様だよ」

 元魔王!?
 いや魔王が現代に来るってありえるのか?

「その驚いた顔。君たちが命を奪ってきた人間も最初はそんな顔をしたんだろうね。そして次にはこんな顔をした」

 青髪は右腕を空へと掲げる。
 嫌な予感しかしないな。

「咲いた。星の欠片が月の裏側で泣いてる。気づかぬうちに隠れてたウサギが弧を描く」

 ――――――ゴゴゴゴゴ
 天空から舞い降りたかのように何かが降ってきた。
 あー隕石?
 余りにも酷い状況に心が冷静になったよ
 あーやだやだ、これだから人外は。

「メテオ・リ・アルテマ」

 一つ聞きたい。
 リを入れた意味ってなんだ!
 単にかっこいいからじゃないだろうな!

「どうするの光?」

「どうってあれをどうにか――――――」

「ねぇ?させるとおもう?」

 だよなぁ。
 こいつも瞬間移動や転移、まぁ一緒か。
 どちらかが使えるならギリギリで離脱できる。 

「ここは街中だぞ?」

「安心して。わたしにはスキル弱者蘇生があるの。スキルを持たない人間を蘇生できる」

 だからさっきのセバスも、あんなところで暴れていたのか。
 神の使徒って言うくらいだ。
 勇者の本質は人々を守ること。
 天使もさすがにそこのところは似てる、というか同じなんだな。

「ここで家が吹っ飛んだら困る人間もいると思うが?」

「命さえあれば、またなんとかなるでしょう」

 それは一種の極論だ。
 たしかに命がなくしてなにもできない。
 しかし命だけでもなにもできないのを、こいつはわかっていない。
 その隙が俺の勝機か。

「なぁ。人は家がなくなったらどうなると思う?」

「困るね。だから何?もしかしてそれでわたしが攻撃をやめると思ってる?残念。家を直す方法もあるのよ。理由は教えないし攻撃を止める気は無いよ」

 取り付く島もないか。
 全然勝機にならなかったな。

「キャリー、青谷と似非シスターを連れて逃げろ。こいつは俺が相手する」

「光!?全員で相手しましょう。そうすれば勝機は――――――」

 笑顔で俺は返す。
 残念ながら、二人は足手まといだ。
 聖剣ありきでもこいつと互角。
 つまり勇者恭哉と闘うようなもんだ。

「逃がすわけないでしょ?」

「残念ながら逃がす事になるんだよ」

 地面から影斬で攻撃をする。
 まぁ青髪はそれも詠んでたんだろうな。
 バク宙で攻撃を躱した。
 まぁ隙は作った。
 ザノールは隙を作ることがなかったからな。
 キャリー達のいたところを見るとちゃんと転移したようだ。

「座標確定。貴方を相手するより彼女たちを相手する方が楽だから追わせて貰うわ」

「させるかよ!」

 聖剣を投げつける。
 勇者恭哉もこの手には引っかかった。
 案の定、力の源である剣をキャッチしようとする。
 転移させるにしたって腕だけは貰う。

「はぁ。こんなこと予測できるよ」

 青髪は影斬を避ける。
 そして聖剣は掴まなかった。
 やられた!
 影斬は空を切った。
 そして地面に刺さるであろう聖剣はこの距離じゃ奪われる。
 だが、俺に運は向いているようだな。
 聖剣が青髪の影に落ちようとしている。
 俺の影斬は進化して、影に攻撃したら、その影の持ち主にダメージが通るようになった。

「何を企んでるか知らないっけっど!」

 聖剣の蹴り飛ばした。
 その聖剣がくるくる回転してこちらに向かってくる。

「チッ!」

「それは返すわ。じゃあね。あっちの子達の首を持ってきてあげる」
 
 まず確実にキャリー達じゃ青髪には勝てない。
 信じる信じない以前だ。
 この前の取り巻きと違って敵の強さは未知数なんだ。

「逃がすかよ!」

「残念。もう転移ポートは起動済み。じゃあバイバイ明石――――――」

「”固定ロック”」

 あと少しで転移されそうなところで固定の魔法を使った人間がいた。
 たしか宮崎瑠璃が固定をすることで転移をできないようにしていたな。
 でも声は男だった。
 誰だ?

「おぅおぅ。困ってるねぇ。明石くん」

「お前は」

 目の前にいたのは、俺が本部へ行く原因をつくった人間。

「佐川隆二!」

「ははっ名前覚えてくれたのか。実に二週間ぶりくらいか?あんときゃよくもジジィにゲロをふっかけてくれたな」

「ふっ。俺はお前を殺し損ねて、本部で命がけの闘いをするハメになったんだ。お互い様だろ」

「どこにお互い様の要素あった!?」

 見れば後ろにはあいつの取り巻き達がいた。

「隆二、どういう風の吹き回し?」

「そうにゃ!彼はわたし達を殺そうとしたにゃ!」

「まぁ隆二のおかげで窮地は脱したがの」

 まぁ良い印象はないわな。
 実際討伐しようとしたわけだし。

「いいんだいいんだ。俺様は寛大だからな。全員死んでないしな。ところであいつ・・・」

 青髪の方を睨み付ける佐川隆二。
 こいつら知り合いか?

「えぇ、確実にムシの関係者ね」

「あの糞ムシと同じ臭いがするにゃー」

「ふむ。儂は特に何も感じぬが、一体どういうことじゃ?」

 すげぇな。
 ムシってのはたしかこいつらが殺したとか言う女神のことだろう。
 あいつらは天照大神の天使らしい間違っていない。

「お前やその取り巻きの言うとおり、あれは神の使徒だそうだ」

 ――――――カチャ。
 俺の額に拳銃を突きつけてくる。

「こいつらは俺の妻だ。それを取り巻き扱いは殺すぞ?」

「あぁ悪かった。天照大神の使徒で、天使だそうだ」

 銃を下ろす。
 こいつこの前は剣を使ってたとおもったが、さすがは鍛冶士と言ったところか?

「へぇ」

「貴方達、佐川隆二一行かしら?」

「だったら?」

 青髪が俺との口調とは違って焦りの感情が見える。
 実際よくみれば、汗も掻いている。
 冷や汗か?

「どうして彼に協力するのかしら?」

「あぁ?別に協力しちゃいねぇよ」

 いやしてくれたんじゃないのか?
 固定はベストタイミングだったぞ?

「ならこの固定解いてくれないかしら?」

「嫌だね。お前神様の犬なんだってな?」

 青髪の顔がみるみる紅くなってきている。
 おそらく神の犬と言われて怒ってるとかそのあたりか?

「そうよ!だったらなに!主の犬じゃないわ!わたしはアマテラス様に救われた使徒よ!」

「へぇそうかい」

「どうやら正解ね。別に助けたわけじゃなく、彼女を逃がさないための固定ね」

「正解だ。さすがメーテル」

「あっ、こんなところで。んっ・・・」

 唐突にこいつらディープキスし始めたぞ。
 余裕だな。
 青髪は攻撃に移っていた。
 急速に佐川隆二の前に現れる。

「おい。夫婦の営みを邪魔して良いのは、同じ妻であるにゃ-ことパピーだけだ!」

 顔面を思い切り殴られて吹っ飛んでいく青髪。
 しかしその勢いのまま飛び上がり、体勢を立て直した。

「くっ!やはり女神を殺したのは伊達じゃないか」

「んっ・・・」

「あーかわいいぜメーテル」

「もうっ!」

 青髪全然相手にされてない。
 たしかこいつらのステータスは一人一人がおかしかったな。
 だから青髪も焦ってたんだろうな。

「チッ。座標も隠蔽されてしまったし、わたしは帰らせて貰うわ」

 諦めてくれるのはありがたいが、俺は一人でこいつらの相手はしたくない。

「うっせぇ死ね」

 ――――――――ドゥルルルルルルルル!
 あれ拳銃の音じゃないな。
 どう聞いてもマシンガンなんだが?
 しかしあの青髪もすごい。
 マシンガン並みに撃たれる弾をすべて弾いている。

「チッ。弾切れか。だが」

 土を掬い上げてマガジンが生まれる。
 土から作り出せるのか。
 大分厄介だ。

「容赦ないわね」

「「もちろん」」

 ――――――ピキーン。
 エルフの女性が隕石の方に手を掲げると光のレーザーのようなもが隕石にあたり、砕けた。
 腐女子は剣を抜き取り、投げる。
 すると剣が浮き出した。
 なんだあれ?
 まるで剣が踊ってるようだ。
 そして青髪に飛来していく。
 青髪は手を前に掲げるが、すぐに体勢を変えて剣を迎撃し始める。

「くそっ!なんでスキルが発動しないの!」

「わたしが邪魔してるからにゃー」

 偽猫はたしかスキル無効のスキルを持っていた。
 ある意味こいつが一番厄介だな。

「くっ!覚えてなさい!」

 うわっ。
 リアルでその台詞言う奴がいるんだ。
 実際には初めて聞いた。

「逃がさないにゃー」

「追わなくていいにゃーこ。あいつ俊敏は俺並みだ。もう追いつけないだろう」

「にゃー」

 不服そうな顔をする偽猫。
 だけどあの青髪恐ろしい速度で離脱したな。

「おい明石!」

「急に呼び捨てか?」

「めんどくせぇな。とっととてめぇの仲間向かいに行くぞ。来い」

 そして佐川隆二は俺の手を掴んだ。
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