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第28話 【閑話】お嫁さん ★ラウラ SIDE
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ティアをお風呂に入れていいとレオン様に許可をいただいた直後。わたくしはティアを連れて浴場に来ていた。ここまで汚れていると、わたくし一人では難しいわよね? ティアはまだ三歳なのだし、言うことは聞いてくれると思うけど、何があるか分からないものね。ここは、お祖母様に手伝ってもらいましょう。ティアを知る人物で、女性で、秘密を守れる者を選ぶべきでしょうからね。
「お祖母様、ティアをお風呂に入れてあげたいのだけど、手伝ってもらえるかしら?」
「ええ、もちろんよ。……ティアはこれからお風呂に入るの?」
「そうなの。その、ティアを見ても、驚かないでね?」
「驚くほど汚れたのかしら? お花を摘みに行ってたらしいわね」
「…………それはあまり関係ないと思うわ。見れば分かるから……」
それ以上、何も言えなくなってしまったわたくしは、お祖母様とティアのもとへ向かった。
「あらあら、まあまあ…………ティア、久しぶりねぇ。元気にしてたかしらぁ?」
お祖母様はすぐに笑顔で、ティアに会えたことを喜んでくれたわね。諜報員であるお祖父様を支えてきたお祖母様は、ちょっとやそっとでは驚かない、鋼のメンタルの持ち主なのよね。
「おばあちゃま、こんにちは! ティアは元気だったよ。おばあちゃまは元気だった? お腰は痛くない?」
「ええ、もう平気よぉ。気にかけてくれてありがとうねぇ。婆にお花を摘んでくれたんだってねぇ? ありがとう、嬉しいわぁ。あとでゆっくり楽しむわね。さぁて、可愛い孫を磨きましょうかねぇ」
本来であれば侍女がやるような仕事であるにもかかわらず、わたくしとお祖母様は、それはもう楽しい時間を過ごしている。大好きなティアが帰ってきたのだ。それ以上に嬉しいことなどないでしょう。
☆☆☆
「わたし、兄様やラウラみたいな優しい人と結婚したいなぁ」
いきなりの宣言に、わたくしはドギマギしてしまったわ。いつかはお嫁に行くのだろうけれど、今はのびのびと育って欲しいのだけど。正直、誰かのお嫁さんになるのが確定しているなんて、ちょっと嫌なのよね。わたくしもラウルもシスコンって分かっているけど、やっぱりそういう話題は嫌なものね。
「ティア? どうしたの? まだ三歳なのだから、十年以上は考える時間があるわよ? ふふふ」
「うん、そうだけど……絶対に父様みたいな人とは嫌だなって。わたしだけじゃなくって、周りも不幸にするし困らせるもの」
確かにその通りなんだけど……。そんなことを三歳の子供が考える? あの男、本当にウザいわね。どれだけティアにトラウマを植え付けるのよ! 腹が立ってしょうがないわ。こっそり滅してこようかしら。わたくしやラウルなら、諜報員としても働けるレベルだから余裕でヤれるわよ。
「あらあら、まぁまぁ! ティアは本当に賢いわね。そうねぇ、ティアは絶対に、とびっきりいい殿方と結婚できるからねぇ」
お祖母様も、少し苦笑いしてからティアの賢さに驚きながらも、ティアの考えを肯定し、何度も頷いていた。
「ラウラ、おばあちゃま。もっとたくさんお勉強して、魔法も練習して、今よりもっと強くなったら、わたしがみんなを守ってあげるからね!」
きゃっ! わたくしの妹は、なんて可愛いの! キュンキュンしちゃうわ! はぁ――。この先、男の影が少しでも見えたら、ラウルを連れてサクッと潰しに行こうかしらね。
「まぁ! 嬉しいわぁ、ティア。おばあちゃまも、おじいちゃまも、双子やセバスたちも、みんな同じように思っているからね。辛いときや寂しいとき、悲しかったり苦しかったりするときも、おばあちゃまたちにお話してくれると嬉しいわ。ずうっとティアの味方だからねぇ」
お祖母様がとてもいいことを言ってるわね。本当にその通りだわ。
「そうよ、ティア。沢山頼っていいんだからね? 我慢する必要なんてないのよ?」
「うん、分かったわ! ラウラ、おばあちゃま!」
☆☆☆
お風呂から上がり、さっぱりしたティアを眺めているレオン様がソワソワしているようにみえる。どうかしたのかしらね? 何か言いたいのかしら? 気になるから聞いちゃいましょうか。
「レオン様、どうかなさいました?」
『ああ……ラウラよ、ちと耳を貸してくれ』
「え? は、はい」
わたくしは恐る恐る、レオン様のお顔の近くまで耳を近づける。
『ラウラ、よいか? ティアに嫁の話は、まだ早いと思うのだ。もう少し先に、な?』
わたくしは一瞬呆気に取られたが、すぐに吹き出しそうになるのを必死に我慢したわよ。こっそりと何を話すのかと思えば、お風呂の会話が聞こえてしまったから聞いていたけれど、黙っていられなかった父親のような心境なのでしょうね。ふふふ、レオン様も可愛らしいお方よね。
「ふふっ、かしこまりましたわ。変な男が婚約者になりそうなときは、レオン様も手助けしてくださいませね?」
『もちろんだとも!』
レオン様と、ニコニコ微笑んでいるわたくしを、ラウルとお祖父様は羨ましそうに見ているわね。でも、この話を聞いたら、二人ともレオン様と同じ反応をすると思うわ。夜にでも二人に話して、からかってみようかしらね? お祖母様にも共有しちゃいましょう。くだらないけれど、ちょっと楽しみね。
ふふふ、こんなことで笑い合えるようになったのも、ティアが無事だったからよね。これからはきっと、楽しいことも増えるわ。皆が笑って過ごせるように、わたくしも全力を出そうと思っているわ。
「お祖母様、ティアをお風呂に入れてあげたいのだけど、手伝ってもらえるかしら?」
「ええ、もちろんよ。……ティアはこれからお風呂に入るの?」
「そうなの。その、ティアを見ても、驚かないでね?」
「驚くほど汚れたのかしら? お花を摘みに行ってたらしいわね」
「…………それはあまり関係ないと思うわ。見れば分かるから……」
それ以上、何も言えなくなってしまったわたくしは、お祖母様とティアのもとへ向かった。
「あらあら、まあまあ…………ティア、久しぶりねぇ。元気にしてたかしらぁ?」
お祖母様はすぐに笑顔で、ティアに会えたことを喜んでくれたわね。諜報員であるお祖父様を支えてきたお祖母様は、ちょっとやそっとでは驚かない、鋼のメンタルの持ち主なのよね。
「おばあちゃま、こんにちは! ティアは元気だったよ。おばあちゃまは元気だった? お腰は痛くない?」
「ええ、もう平気よぉ。気にかけてくれてありがとうねぇ。婆にお花を摘んでくれたんだってねぇ? ありがとう、嬉しいわぁ。あとでゆっくり楽しむわね。さぁて、可愛い孫を磨きましょうかねぇ」
本来であれば侍女がやるような仕事であるにもかかわらず、わたくしとお祖母様は、それはもう楽しい時間を過ごしている。大好きなティアが帰ってきたのだ。それ以上に嬉しいことなどないでしょう。
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「わたし、兄様やラウラみたいな優しい人と結婚したいなぁ」
いきなりの宣言に、わたくしはドギマギしてしまったわ。いつかはお嫁に行くのだろうけれど、今はのびのびと育って欲しいのだけど。正直、誰かのお嫁さんになるのが確定しているなんて、ちょっと嫌なのよね。わたくしもラウルもシスコンって分かっているけど、やっぱりそういう話題は嫌なものね。
「ティア? どうしたの? まだ三歳なのだから、十年以上は考える時間があるわよ? ふふふ」
「うん、そうだけど……絶対に父様みたいな人とは嫌だなって。わたしだけじゃなくって、周りも不幸にするし困らせるもの」
確かにその通りなんだけど……。そんなことを三歳の子供が考える? あの男、本当にウザいわね。どれだけティアにトラウマを植え付けるのよ! 腹が立ってしょうがないわ。こっそり滅してこようかしら。わたくしやラウルなら、諜報員としても働けるレベルだから余裕でヤれるわよ。
「あらあら、まぁまぁ! ティアは本当に賢いわね。そうねぇ、ティアは絶対に、とびっきりいい殿方と結婚できるからねぇ」
お祖母様も、少し苦笑いしてからティアの賢さに驚きながらも、ティアの考えを肯定し、何度も頷いていた。
「ラウラ、おばあちゃま。もっとたくさんお勉強して、魔法も練習して、今よりもっと強くなったら、わたしがみんなを守ってあげるからね!」
きゃっ! わたくしの妹は、なんて可愛いの! キュンキュンしちゃうわ! はぁ――。この先、男の影が少しでも見えたら、ラウルを連れてサクッと潰しに行こうかしらね。
「まぁ! 嬉しいわぁ、ティア。おばあちゃまも、おじいちゃまも、双子やセバスたちも、みんな同じように思っているからね。辛いときや寂しいとき、悲しかったり苦しかったりするときも、おばあちゃまたちにお話してくれると嬉しいわ。ずうっとティアの味方だからねぇ」
お祖母様がとてもいいことを言ってるわね。本当にその通りだわ。
「そうよ、ティア。沢山頼っていいんだからね? 我慢する必要なんてないのよ?」
「うん、分かったわ! ラウラ、おばあちゃま!」
☆☆☆
お風呂から上がり、さっぱりしたティアを眺めているレオン様がソワソワしているようにみえる。どうかしたのかしらね? 何か言いたいのかしら? 気になるから聞いちゃいましょうか。
「レオン様、どうかなさいました?」
『ああ……ラウラよ、ちと耳を貸してくれ』
「え? は、はい」
わたくしは恐る恐る、レオン様のお顔の近くまで耳を近づける。
『ラウラ、よいか? ティアに嫁の話は、まだ早いと思うのだ。もう少し先に、な?』
わたくしは一瞬呆気に取られたが、すぐに吹き出しそうになるのを必死に我慢したわよ。こっそりと何を話すのかと思えば、お風呂の会話が聞こえてしまったから聞いていたけれど、黙っていられなかった父親のような心境なのでしょうね。ふふふ、レオン様も可愛らしいお方よね。
「ふふっ、かしこまりましたわ。変な男が婚約者になりそうなときは、レオン様も手助けしてくださいませね?」
『もちろんだとも!』
レオン様と、ニコニコ微笑んでいるわたくしを、ラウルとお祖父様は羨ましそうに見ているわね。でも、この話を聞いたら、二人ともレオン様と同じ反応をすると思うわ。夜にでも二人に話して、からかってみようかしらね? お祖母様にも共有しちゃいましょう。くだらないけれど、ちょっと楽しみね。
ふふふ、こんなことで笑い合えるようになったのも、ティアが無事だったからよね。これからはきっと、楽しいことも増えるわ。皆が笑って過ごせるように、わたくしも全力を出そうと思っているわ。
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