ゾンビの坩堝

GANA.

文字の大きさ
上 下
41 / 94
ゾンビの坩堝【4】

ゾンビの坩堝(41)

しおりを挟む
 やっとのことで片引き戸を開けると、歯ぎしりに似たうめきがあちら側に寝返った。トイレシートの横では、猫まんまが半分くらい減っている。
 食べたのか……――
 胸苦しさがいくらか和らいだ自分は間仕切りカーテンを閉め、ごろっと寝床に横たわった。そして、掛け布団をかぶって真っ暗にする。彼方に遠のく、奥のうめき……――
 食べた分は、出るんだよな……――
 体を縮めると、ウォッチが胸に硬く当たる。出るのは自然なことだ。誰だって、自分だって毎日トイレで出している……あいつにはそれができない。あんなふうに這っていては、便器にたどり着く前に漏らしてしまうだろう。そもそも、トイレでやるという頭があるのかどうか……だから、ここでやる……そしてそれは、誰かが後始末しなければならない……考えてみれば、トイレシートに出すなら結構じゃないか……そこらに好き勝手にやられるよりは……前向きに……黒ヤマネコが言っていたようにポジティブにとらえよう。こんな苦労をしていれば、大抵のことは我慢できるようになる。自分のためにもなるんだ……マール、マール、マール……――
しおりを挟む

処理中です...