届かぬ声

Azu

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届かぬ声

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 私は声が大きいほうではない。そのため自分の言ったことが相手に伝わらないことが多々ある。以前コンビニに行ったときにフライドチキンをお願いしますと注文すると3円になりますと言われた。3円はいくらなんでも安すぎる。何かがおかしい。急いで店員さんを確認すると、店員さんの手元には1つ3円のレジ袋が握られていた。私は間違いなくフライドチキンを注文した。しかし店員さんはレジ袋を握っている。私は思考停止し、しばらくフライドチキンの入っているショーケースを眺め続けていた。すると店員さんも私と同じくショーケースを眺めるという謎の時間が生まれた。数秒後に我に返った私は再びフライドチキンを注文するかこのまま引き下がるか葛藤を始めた。同じ調子で注文すると二つ目のレジ袋を出されてしまう危険性があるため、声を張り上げて注文しなければならない。しかし私にはそれが難しくメンタルが持たない可能性があった。熟考した結果、私は元々手に取っていたアイスだけを購入することにした。
 宿泊先のホテルに帰り着くと私はフライドチキンを注文することが出来なかった悔しさをカバーするようにすぐさまアイスを食べたのだが、全然美味しくなかった。普通に不味かった。★1である。自分の救いようのなさに笑うしかなかった。まさにトホホである。私はこの出来事以降、コンビニでフライドチキンを注文したことはない。さよならフライドチキン、また会う日まで。ちなみにレジの対応をしてくれた店員さんの名前を私は今でも覚えている。
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