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夏休み後編

第64話 - 高品質衣料製作(オードリー)

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––––"高品質衣料製作オードリー"!

 由里子は瑞希、結衣、綾子が家に到着した際に彼女のサイクスで読み取ったスタイルのデータ、元々有している萌と志乃のデータからデザインをタブレットに描き始める。

「(まずは萌ちゃん! 152cmと小柄ながら5人の中で最も胸のサイズが大きい。勿論、それをメインに魅せるのも良いけどあざとく見えてしまったり、見ようによっては太く見えてしまったりする……。コルセットやビスチェタイプにしてフリルを付けてガーリーな印象を与える……。なるほど)」

 由里子のサイクスは対象者 (モデル) のスタイルを分析後、そのモデルに合ったタイプの服を提案してくれる。由里子は自らの意見も加味しつつデザインし、それに即して自ら描く。
 タブレットの周りにカラーホイールを模したホログラムが現れる。色に関してはいくつかの候補がサイクスより提案されそこから選択することも出来る。
 
 描き終わったデザインは画面からホログラムとして浮き上がり、その後由里子の黄色いサイクス (由里子は物質生成型超能力者である) に包まれ実物が生成される。

「すっご、直ぐに出来上がった」

 綾子がその素早い作業に目を丸くする。飽くまでサイクスはモデルのスタイルや用途に合わせてデザインを提案し、出来上がった作品を物質として生成するため、自分のイメージとの融合や描く早さなどの実際の作業スピードは由里子の実力に委ねられており、彼女のクリエイティブさは賞賛に値する。

「可愛い!!!」

 出来上がった数種類の水着を両手に持って広げながら萌が興奮した声を上げる。

「さぁ、どんどんいくわよ!!」

 由里子も息込んで分析データ、サイクスからの提案からそれぞれのベストな水着をデザインし始める。

「完全にお仕事モードなっちゃったよ、お母さん……」

 志乃が熱心に取り組み始めた由里子の様子を見ながら姉の芽衣に囁く。

「母さん妥協を許さないからね。まぁでもデザイン性なんかは間違いないよ。加えて世界の"大木由里子"から作ってもらえて女の子たちも喜ぶでしょ」

 次々と出来上がる水着に盛り上がっている萌、結衣、綾子、瑞希の4人を見ながら話す。「まぁね」と志乃は言いながら4人の輪の中へと戻る。

「さぁ! 月島さんの番よ!」

 由里子がそう言うと、3人は「おー!!」と歓声を上げる。

「(凄い、サイクスからの提案の量がとんでもなく多い! ここから私のアイデアも融合させると……楽しみだわ!)」

 由里子の作業により一層熱がこもる。

「(流石に高校1年っていうのと月島さんのシャイな性格を考えると布面積が小さいのは避けるか……志乃にも怒られるし……。オフショルダーやワンショルダーなんかも似合うだろうし、ハイネックビキニにすることで健康的なイメージと少しセクシーな印象も与えられてバランスが良い……。色はシックにして大人っぽいイメージにしても良いし、敢えてガーリーに仕上げるのも面白い。楽しいわねぇ)」

 由里子は様々なデザインを作り上げて瑞希にも手渡す。

「うわぁ!! めちゃくちゃ可愛い!!」

 瑞希の目はキラキラしており、受け取った水着を嬉しそうに眺める。志乃も含めて5人はそれぞれ自分たちの水着を見せ合いながら騒いでいる。

「(あはは……。JKのキャピキャピ空間が溢れ返ってる……。私もまだ大学2年生なんだけど差を感じるわ……)」

 芽衣は5人の様子を眺めながらエネルギッシュさに感嘆する。

「ほら、芽衣のも作るわよ」

 不意を突かれた芽衣は言葉を失う。

「えっ」
「あんたも行くでしょ? 福岡。どうせ暇なんだし」

 由里子はそう言って芽衣の水着も製作し始めた。
 
 芽衣は由里子が自身に福岡旅行での5人のお守りをさせる魂胆が垣間見えて一瞬テンションが下がるが、それでも美しい風景の下、綺麗なホテルに泊まりつつ海で遊べて福岡の街を楽しめることを考えれば良いか、と考え直す。

「そこのお嬢ちゃんたちと違って大人なのよろ~」

 そう言って芽衣は自室へと入って行った。

#####

 由里子は水着だけでなくいくつかの夏服も用意し、4人にプレゼントした。

「こうなったら品評会だね!」

 萌は高らかに宣言し、全員に着替えを催促する。

「いや良いけど流石にここでは着替えたくないよ」
「え? 女子しかいないけど」

 綾子の訴えに対して萌はけろっと返す。

「向こうに衣装室が何室かあるからそこでそれぞれ着替えよう」

 志乃はそう提案し、萌が若干悔しそうにしているのを横目に全員衣装室へと移動する。

「(衣装室まであってすごいなぁ……。しかもいっぱいあるし)」

 瑞希は志乃の家の設備の多さに改めて感心しながら着る水着を選ぶ。

「(海行く時って大体Tシャツにショーパンだからビキニって恥ずかしいけど……まぁ皆んな着てるからいっか)」

 そう思いながらシンプルな黒いビキニを選んで着替える。瑞希は鏡の前で自分の姿を映しながら嬉しそうに見ている。その黒い布は、対照的な瑞希の色白な肌をより一層際立たせる。瑞希は長さが膝くらいまであるピンク色を基調とした花柄のグラデーションパレオを合わせる。

 5人は携帯のメッセージでタイミングを計り、同時に衣装室から出た。

「何で!?!?」

 瑞希以外の4人は由里子が最後に作っていた夏服を着ており、水着を着ているのは瑞希のみだったのだ。
 瑞希はその場にしゃがみ込み両手で肌を隠そうとする。

「え、あ。普通に洋服だと思っちゃった」
「私も」

 笑いを堪えながら4人がそう言い、萌は瑞希の近くに寄って同じようにしゃがみ込み肩を撫でながら「似合ってて可愛いよ」と笑いながら告げる。
 瑞希は顔を真っ赤にしながら衣装室に戻り、元の洋服へと着替えを済ませて逃げようとするが4人にからかわれる。

 その様子を由里子は微笑ましく見つめつつ、携帯に入ったメッセージを見て5人に告げる。

「さ、準備出来たわね。福岡に行きましょうか」

 瑞希は半べそをかきながら由里子の方を向き、頷いた。


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