だから言ったのに! 〜婚約者は予言持ち〜

キムラましゅろう

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第二章

イグリード、ジュリの夢に現る

「……リ……ジュリ」

わたしを呼ぶ声がする。

誰?

ジノン様の声じゃない。

でもどこかで聞いた声。

遠い昔、どこかで聞いた懐かしい声。

寂しげで優しくて悲しげで温かい声。

はて?どこで?

「え~ジュリ、僕の事を忘れてしまったの?」

声だけじゃわからないわ。

姿を見せて。


「姿は見せられないんだ」


……もしかして、

イグリード?


「そう!当たり!でも呼び捨てなんだ」


あ、ごめんなさい。

失礼よね。


「いや、いいよキミになら」





「僕は毎日、キミの様子を覗いては

お腹を抱えて笑わせて貰ってるからね」


え?毎日?覗いてる?

ハレンチ?


「いやいや違うよ、変なところは覗いてないから安心して」


あぁびっくりした。

てっきり鉄拳制裁案件かと思っちゃった。



「…ぷっ!あはははっ!
やっぱりキミは面白いなぁ」


わたしの?どこが?


「キミのおかげで僕は虚無とはおさらばな日々だったよ」


よくわからないけど
お役に立てたなら良かったわ。


「ふふ……ねぇジュリ、約束の日はもうすぐだよ」


そうね、大丈夫よ。
忘れてないわ。


「良かった」



……ねぇイグリード


「なに?」


わたし、ちゃんと出来るかしら



「わからない。でも僕はそれが見たいんだ」


それを見たい?



「いずれわかるよ」


そう……。


ねえイグリード


「なに?」


予言を呈し終わった後、

わたしはどうしたらいい?



「それは僕にはわからないよ」



予言者なのに?



「……じゃあキミにも予言をひとつだけ」



え?何?



「来たる五月七日、
キミはこの世で最も寂しい者と出会うだろう」



寂しい者って誰?



「予言はひとつだけだよ……いやでも、今のはどちらかと言うと予言ではなく、願い、かな?」



願い?なに?イグリード?



「ジュリ、でもキミは僕の予言の規格外だよ。まさかこんなにも楽しめるとは思わなかった。それだけでも十分価値はあった」



どういう事?


「もうすぐわかるよ」



イグリード?


「じゃあね、ジュリ」



待ってイグリード!



会えるのを楽しみにしてる。



待って、まだ教えて貰いたい事が!


待って、イグリード!




「待って!!」


大きな自分の声に驚いて、

ジュリは目を覚ました。


「……夢?現実……?」



今のはホントに夢だったのかな?

もしかして、イグリードが夢の中に逢いに来てくれたの?


だって約束の日は近いもの。


わたしが忘れてないか

様子を見に来たのかもしれない。



大丈夫。

大丈夫。

わたしはちゃんとやれる。

わたしだってやれば出来る子だもの。


大丈夫。




ジュリがイグリードの夢を見た日から3日後、


ジュリとアルジノンの前に


鮮やかなオリーブグリーンの髪と

輝くルビーの瞳の少女が現れた。











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