いつか終わりがくるのなら

キムラましゅろう

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プロローグ 私に出来る事

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私が彼と共にいられるのは
十歳で婚姻を結んでから成人の儀を迎える八年間だけ。


そうなる可能性が高い事を、私も彼…エゼキエルも婚姻を結ぶ時に聞かされていましたの。

おそらく数年間のみの夫婦となるだろうと。

なので私はエゼキエルの、国王の妃でありながら正妃ではありません。
“第一妃”それが私の肩書きです。

それなら後から迎えたエゼキエルの本当のお妃様が、正妃…つまり王妃を名乗れるからですわ。

まぁ~なんとも都合よく、便利ですわね。

それでも私達は互いを認め合い、大切にし合い、優しくし合い、夫婦というよりは家族のように育って参りましたの。

でも私は……ちゃんとエゼキエルに恋をしていますけどね。

彼にとっては、私は口煩いお節介ばかり押し付けてくる姉?妹?のようなものでしょうけれど。

初恋が片想いなんて、少し寂しい気もしますけどそれで良いのです。

だって私たちのこの関係には終わりがあるから。

幼い彼に私が必要だったとしても、
成人した彼に私は必要ではないから。

正確には私の生家の後ろ盾が、ですけれど。

だけどその時まで、私の立場で彼を守れるのならこんな嬉しい事はありません。

そう素直に思えるくらい、私はエゼキエルの事が大好きなのです。

そして彼を本当のお妃様にお渡し出来る……
それを誉に思わなければならないと、侍従長には散々言われて来ましたから。

だからええ。覚悟は出来ておりますとも。
成人と共に彼とお別れすること事を。

でも願わくばもう少し……

もう少しだけ彼の側にいたいのです。

この温かく、陽だまりのような日々を過ごしていたいのです。

その間に私は、エゼキエルの為に何が出来るかを考えます。


あの優しく、不器用で愛しいエゼキエルが幸せな人生を歩めるように、私に何が残せるのかを……。
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