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プロローグ ① 私一人の子どもだから!
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「ジュ……ジュリア……そ、その子、は……」
見られた!
知られた!
彼にだけは、クリスにだけは知られたくなかったのに!
彼を見限って出て行った私を、
きっと彼も早々に見限って、
あの何とかというご令嬢と幸せになっているはずのクリスにだけは絶対に知られたくなかったのに……!
私は私の最愛の息子、リューイをぎゅっと抱き締めてクリスに言った。
「この子が何?あなたには関係ない子よ」
「だけどっ……その髪色も瞳も、俺と一緒じゃないかっ……」
「だから?この子はね、私が一人でお腹の中で育てて、一人で生んで、これまた一人で育ててる私だけの子なのっ。あなたとは何の関わり合いもない子なのっ!」
「ジュリア……」
訳がわからない。
どうしてあなたがそんな泣きそうな顔してるのよ。
泣きたいのはこっちよ。
誰のために全てを捨ててこの知らない土地で歯を食いしばって……とまではいかないけど頑張って生きてると思っているのよ!
とにかく……
私はじっと目の前に対峙しているクリスの顔を見た。
……少し痩せただろうか、目の下のくまが酷い。
仕事が大変なの?でも出世コースで充実した日々を過ごしてるんじゃないの?
とにかく逃げなければ。
お互いのために、息子のために、もう二度とこの男と関わるつもりはないんだから。
でもどうしよう。
どういう訳かクリスは一瞬たりとも私たち母子から目を逸らさない。
視線だけで捕らわれているような、逃げ場なんてどこにもないような、そんな気持ちにさせられる。
たけどその時、タイミングよく後ろからクリスに声を掛けた女性がいた。
あのご令嬢ではない見知らぬ女性。
一瞬、その女性の方へと視線を移したクリスの隙を私は見逃さなかった。
「っ……ジュリア!!」
私がリューイを抱いて転移魔法で転移する瞬間、焦燥感を顕にしたようなクリスの声が聞こえたが構わず転移んだ。
一度転移で移動して足が接地した瞬間またすぐに転移する。
何度も転移を繰り返す事で後を辿り難くするためだ。
追跡阻害魔法が使えればそんな苦労は要らないのだが、あいにく私はそこまで魔力は高くない。
そうやって必死で再びクリスの前から姿を晦まし、私は這う這うの体で家へと帰りついた。
流石に魔力は空っぽに近い。
私はフラフラになりながらリューイをベビーサークルの中に入れた。
リューイは嬉しそうに高速ハイハイでお気に入りのオモチャの元へと行く。
その様子を眺めながら、私は腹の底から深く大きなため息を吐いた。
「……どうしよう……リューイの存在を知られた……」
完璧主義者のクリスの事だ。
自分の子が人知れず生まれ育っているなんていい気はしないだろう。
今後なんらかのリアクションを取ってくるかもしれない。
先程の転移魔法で上手く撒けていればいいのだけれど。
「もうほっといてよ……いいじゃない、自分の幸せを優先させなさいよ……」
私はそうひとり言ちて、
またひとつ、大きなため息を吐いた。
─────────────────────────
始まりました新連載。
よろしくお願いします。
複数投稿のため感想欄閉じてます。
最終話後に解放しますので、それまでお待ちくださいませ。
申し訳ないです(´;ω人`)ゴメンナサイ
次回、プロローグ② ジュリアのドリア屋です。
見られた!
知られた!
彼にだけは、クリスにだけは知られたくなかったのに!
彼を見限って出て行った私を、
きっと彼も早々に見限って、
あの何とかというご令嬢と幸せになっているはずのクリスにだけは絶対に知られたくなかったのに……!
私は私の最愛の息子、リューイをぎゅっと抱き締めてクリスに言った。
「この子が何?あなたには関係ない子よ」
「だけどっ……その髪色も瞳も、俺と一緒じゃないかっ……」
「だから?この子はね、私が一人でお腹の中で育てて、一人で生んで、これまた一人で育ててる私だけの子なのっ。あなたとは何の関わり合いもない子なのっ!」
「ジュリア……」
訳がわからない。
どうしてあなたがそんな泣きそうな顔してるのよ。
泣きたいのはこっちよ。
誰のために全てを捨ててこの知らない土地で歯を食いしばって……とまではいかないけど頑張って生きてると思っているのよ!
とにかく……
私はじっと目の前に対峙しているクリスの顔を見た。
……少し痩せただろうか、目の下のくまが酷い。
仕事が大変なの?でも出世コースで充実した日々を過ごしてるんじゃないの?
とにかく逃げなければ。
お互いのために、息子のために、もう二度とこの男と関わるつもりはないんだから。
でもどうしよう。
どういう訳かクリスは一瞬たりとも私たち母子から目を逸らさない。
視線だけで捕らわれているような、逃げ場なんてどこにもないような、そんな気持ちにさせられる。
たけどその時、タイミングよく後ろからクリスに声を掛けた女性がいた。
あのご令嬢ではない見知らぬ女性。
一瞬、その女性の方へと視線を移したクリスの隙を私は見逃さなかった。
「っ……ジュリア!!」
私がリューイを抱いて転移魔法で転移する瞬間、焦燥感を顕にしたようなクリスの声が聞こえたが構わず転移んだ。
一度転移で移動して足が接地した瞬間またすぐに転移する。
何度も転移を繰り返す事で後を辿り難くするためだ。
追跡阻害魔法が使えればそんな苦労は要らないのだが、あいにく私はそこまで魔力は高くない。
そうやって必死で再びクリスの前から姿を晦まし、私は這う這うの体で家へと帰りついた。
流石に魔力は空っぽに近い。
私はフラフラになりながらリューイをベビーサークルの中に入れた。
リューイは嬉しそうに高速ハイハイでお気に入りのオモチャの元へと行く。
その様子を眺めながら、私は腹の底から深く大きなため息を吐いた。
「……どうしよう……リューイの存在を知られた……」
完璧主義者のクリスの事だ。
自分の子が人知れず生まれ育っているなんていい気はしないだろう。
今後なんらかのリアクションを取ってくるかもしれない。
先程の転移魔法で上手く撒けていればいいのだけれど。
「もうほっといてよ……いいじゃない、自分の幸せを優先させなさいよ……」
私はそうひとり言ちて、
またひとつ、大きなため息を吐いた。
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始まりました新連載。
よろしくお願いします。
複数投稿のため感想欄閉じてます。
最終話後に解放しますので、それまでお待ちくださいませ。
申し訳ないです(´;ω人`)ゴメンナサイ
次回、プロローグ② ジュリアのドリア屋です。
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