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リューイの力
突如家に現れた魔法生物バンスにより、思わぬ対面を果たしたクリスとリューイの父子。
誓約魔法により守られているバンスが自らの意思で姿を見せた事により、ジュリアとリューイも必然的に誓約魔法の影響下に置かれたという。
それを聞き、ジュリアは肩を竦める。
「存在を知っただけで誓約の対象者に?どういう原理になっているの?」
「誓約魔法は超古代魔法の一つだ。人類ではなく魔族が構築した魔法ともいわれている。解明されていない部分が多くある特殊な魔法なんだ……」
そしてクリスはこれまでのバンスに関わる全ての事を話してくれた。
ジュリアも誓約対象者となってようやく話せる真実だ。
その中でジュリアはクリスがどうして次席秘書官令嬢と関わっていたのかを知った。
「……そうだったの……それで足繁くドウマ卿のお屋敷に通ったり、泊まったりしていたのね……」
「信じてくれるか……」
クリスがホッと胸を撫で下ろしながら言う。
「そりゃあ……実際に目の前に魔法生物が居る状態だもの、誓約魔法の魔力も感じる。元魔法省の職員としては信じざるを得ないでしょう」
「ありがとう、ジュリア……」
ジュリアはクリスにベッタリのバンスを見た。
バンスはソファーに座るクリスの隣に座り、背を撫でてもらってご満悦な顔をしている。
「でもなぜバンスはウチに来たのかしら?しかもリューイに寄り添うようにしていたわ」
「リューイの魔力が俺の魔力と同じだからだろうな。バンスはそれを嗅ぎつけて転移してきたのかもしれない」
「クリスがここに居ると思って飛んで来たらリューイだったというわけ?」
「どうなんだバンス?……あれ?バンス?」
ジュリアの疑問を受け、クリスはバンスに視線を向けるも隣に居たはずのバンスは居ない。
驚くクリスにジュリアが言った。
「クリス、あれを見て」
「え?」
ジュリアに促され彼女が見ている方に視線を辿ると、そこにはお昼寝から目覚めたリューイがバンスにぎゅっと抱きついていた。
「わん、わー!」
リューイは絵本で覚えた“わんわん”という犬の呼び方を口にして、嬉しそうにバンスに抱きついた。
「ククン♪」
バンスはまるでリューイをあやすように顔をペロンペロンと舐めてやっている。
「あらまぁ。リューイったら怖がって大泣きするどころか喜んでいるわ……心配して損しちゃった」
「俺とバンスの魔力の波動が合うんだから、当然リューイとも相性はバッチリだよな」
クリスはそう言って嬉しそうにリューイの側へと行った。
リューイは近くに見知らぬ大人の男性が来たのを不思議そうに見ている。
優しい笑みを浮かべて、クリスはリューイに話しかけた。
「リューイ……おいで。パパだよ」
クリスはそう言ってリューイに手を差し出した。
ジュリアはそれを黙って見守る。
リューイはきょとんとしてクリスを見て、
「ぱ?」(パパ?)とお喋りをした。
そして自分から手を伸ばしてクリスに抱っこをせがんだ。
幼いながらに魔力の波長がわかるのかもしれない。
怖がる事も嫌がる事もなくすぐにクリスに甘えている。
「っリューイ……!」
クリスはリューイを抱き上げ、その小さな体をぎゅっと抱きしめた。
ジュリアはその様子を見て思わず吹き出しながら父子の側へ行く。
「もう、また泣き出した」
そう言って、感極まって涙を流すクリスの顔を拭いてやる。
「だって……だってだなジュリアっ……」
「はいはい、分かってるわよ。嬉しいんでしょ?可愛いんでしょ?」
「ああ……ああ可愛いっ、たまらなく可愛いよっ……」
「ほらもう泣きすぎよ、脱水になっちゃうわよ」
「心が潤ってるから大丈夫だっ……」
「なに訳分かんない事を言っているのよ」
クリスの言葉にジュリアは呆れながらも吹き出した。
クリスは更にぎゅっとリューイを抱きしめる。
「リューイぃぃ……!」
「わんわ!わんわ!」
だけどリューイはクリスの腕の中からバンスに向けて手を伸ばす。
やはりバンスと遊びたいらしい。
クリスはそっと息子をバンスの側へと下ろしてやった。
「わんわ!」
リューイはバンスをそう呼んで嬉しそうに抱きついた。
力加減の分からないリューイが体当たりのようにぶつかって来ても、バンスはびくともせず怒りもしない。
そしてリューイを甘やかすようにふくふくのほっぺを舐めた。
「バンスは穏やかで優しいのね。ていうか犬みたいよね、この魔法生物」
「ははは、違いない……え?」
リューイとバンスを見て笑っていたクリスが不意に魔力の動きを感じた。
と、同時にリューイとバンスが淡い光に包まれる。
「え、な、何っ?」
ジュリアがその光景を見て驚きの声を上げた。
「これはっ……」
クリスはそう言ってリューイとバンスを瞠目している。
やがて光は消え去り、リューイとバンスの元気な声が部屋の中に響いた。
「わんわ!」
「クンッ!」
そんな二人の様子を見て、クリスが驚きを隠せない様子で告げた。
「リューイが……バンスの契約者として上書きした……」
「えっ?」
「リューイが強制的にバンスの主となった……!」
クリスの口から出た驚愕の言葉に、ジュリアは目を見張る。
「そ、そんな事が可能なのっ?元の契約者の意思を無視してっ?」
「契約魔法も古代の魔法だ。より魔力の高い方がその権利を有する、至ってシンプルな仕組みなんだよ。魔法生物もより強大な魔力保持者を選ぶのはその道理だ。魔法生物を誘拐して勝手に契約を解除できるのもそのためだよ」
「な、なるほど……え?それじゃあ、リューイがバンスの新しい契約者になったってこと?」
「そうなるな。そしてドウマ男爵父娘よりも、俺よりも、リューイの魔力の方が遥かに上だったという事になる……凄い事だよ!さすがは俺たちの子だ!」
クリスは嬉しそうにそう言ってジュリアを抱きしめた。
だけどジュリアは心配になってくる。
「でもそんな勝手な事していいの?……面倒な事にならないのかしら……」
「面倒な事に……なるな、間違いなく」
「えー……ほらぁ……」
ジュリアが迷惑そうに言うと、クリスは笑ってジュリアに言った。
「まぁ面倒な事は俺が全部引き受けるよ。ジュリアはリューイとのんびりしてりゃいい」
まぁ本人がそう言うなら?とジュリアはクリスに丸投げする事にした。
誓約魔法により守られているバンスが自らの意思で姿を見せた事により、ジュリアとリューイも必然的に誓約魔法の影響下に置かれたという。
それを聞き、ジュリアは肩を竦める。
「存在を知っただけで誓約の対象者に?どういう原理になっているの?」
「誓約魔法は超古代魔法の一つだ。人類ではなく魔族が構築した魔法ともいわれている。解明されていない部分が多くある特殊な魔法なんだ……」
そしてクリスはこれまでのバンスに関わる全ての事を話してくれた。
ジュリアも誓約対象者となってようやく話せる真実だ。
その中でジュリアはクリスがどうして次席秘書官令嬢と関わっていたのかを知った。
「……そうだったの……それで足繁くドウマ卿のお屋敷に通ったり、泊まったりしていたのね……」
「信じてくれるか……」
クリスがホッと胸を撫で下ろしながら言う。
「そりゃあ……実際に目の前に魔法生物が居る状態だもの、誓約魔法の魔力も感じる。元魔法省の職員としては信じざるを得ないでしょう」
「ありがとう、ジュリア……」
ジュリアはクリスにベッタリのバンスを見た。
バンスはソファーに座るクリスの隣に座り、背を撫でてもらってご満悦な顔をしている。
「でもなぜバンスはウチに来たのかしら?しかもリューイに寄り添うようにしていたわ」
「リューイの魔力が俺の魔力と同じだからだろうな。バンスはそれを嗅ぎつけて転移してきたのかもしれない」
「クリスがここに居ると思って飛んで来たらリューイだったというわけ?」
「どうなんだバンス?……あれ?バンス?」
ジュリアの疑問を受け、クリスはバンスに視線を向けるも隣に居たはずのバンスは居ない。
驚くクリスにジュリアが言った。
「クリス、あれを見て」
「え?」
ジュリアに促され彼女が見ている方に視線を辿ると、そこにはお昼寝から目覚めたリューイがバンスにぎゅっと抱きついていた。
「わん、わー!」
リューイは絵本で覚えた“わんわん”という犬の呼び方を口にして、嬉しそうにバンスに抱きついた。
「ククン♪」
バンスはまるでリューイをあやすように顔をペロンペロンと舐めてやっている。
「あらまぁ。リューイったら怖がって大泣きするどころか喜んでいるわ……心配して損しちゃった」
「俺とバンスの魔力の波動が合うんだから、当然リューイとも相性はバッチリだよな」
クリスはそう言って嬉しそうにリューイの側へと行った。
リューイは近くに見知らぬ大人の男性が来たのを不思議そうに見ている。
優しい笑みを浮かべて、クリスはリューイに話しかけた。
「リューイ……おいで。パパだよ」
クリスはそう言ってリューイに手を差し出した。
ジュリアはそれを黙って見守る。
リューイはきょとんとしてクリスを見て、
「ぱ?」(パパ?)とお喋りをした。
そして自分から手を伸ばしてクリスに抱っこをせがんだ。
幼いながらに魔力の波長がわかるのかもしれない。
怖がる事も嫌がる事もなくすぐにクリスに甘えている。
「っリューイ……!」
クリスはリューイを抱き上げ、その小さな体をぎゅっと抱きしめた。
ジュリアはその様子を見て思わず吹き出しながら父子の側へ行く。
「もう、また泣き出した」
そう言って、感極まって涙を流すクリスの顔を拭いてやる。
「だって……だってだなジュリアっ……」
「はいはい、分かってるわよ。嬉しいんでしょ?可愛いんでしょ?」
「ああ……ああ可愛いっ、たまらなく可愛いよっ……」
「ほらもう泣きすぎよ、脱水になっちゃうわよ」
「心が潤ってるから大丈夫だっ……」
「なに訳分かんない事を言っているのよ」
クリスの言葉にジュリアは呆れながらも吹き出した。
クリスは更にぎゅっとリューイを抱きしめる。
「リューイぃぃ……!」
「わんわ!わんわ!」
だけどリューイはクリスの腕の中からバンスに向けて手を伸ばす。
やはりバンスと遊びたいらしい。
クリスはそっと息子をバンスの側へと下ろしてやった。
「わんわ!」
リューイはバンスをそう呼んで嬉しそうに抱きついた。
力加減の分からないリューイが体当たりのようにぶつかって来ても、バンスはびくともせず怒りもしない。
そしてリューイを甘やかすようにふくふくのほっぺを舐めた。
「バンスは穏やかで優しいのね。ていうか犬みたいよね、この魔法生物」
「ははは、違いない……え?」
リューイとバンスを見て笑っていたクリスが不意に魔力の動きを感じた。
と、同時にリューイとバンスが淡い光に包まれる。
「え、な、何っ?」
ジュリアがその光景を見て驚きの声を上げた。
「これはっ……」
クリスはそう言ってリューイとバンスを瞠目している。
やがて光は消え去り、リューイとバンスの元気な声が部屋の中に響いた。
「わんわ!」
「クンッ!」
そんな二人の様子を見て、クリスが驚きを隠せない様子で告げた。
「リューイが……バンスの契約者として上書きした……」
「えっ?」
「リューイが強制的にバンスの主となった……!」
クリスの口から出た驚愕の言葉に、ジュリアは目を見張る。
「そ、そんな事が可能なのっ?元の契約者の意思を無視してっ?」
「契約魔法も古代の魔法だ。より魔力の高い方がその権利を有する、至ってシンプルな仕組みなんだよ。魔法生物もより強大な魔力保持者を選ぶのはその道理だ。魔法生物を誘拐して勝手に契約を解除できるのもそのためだよ」
「な、なるほど……え?それじゃあ、リューイがバンスの新しい契約者になったってこと?」
「そうなるな。そしてドウマ男爵父娘よりも、俺よりも、リューイの魔力の方が遥かに上だったという事になる……凄い事だよ!さすがは俺たちの子だ!」
クリスは嬉しそうにそう言ってジュリアを抱きしめた。
だけどジュリアは心配になってくる。
「でもそんな勝手な事していいの?……面倒な事にならないのかしら……」
「面倒な事に……なるな、間違いなく」
「えー……ほらぁ……」
ジュリアが迷惑そうに言うと、クリスは笑ってジュリアに言った。
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