【完結】諦めた恋が追いかけてくる

キムラましゅろう

文字の大きさ
1 / 25

プロローグ 諦めきれない恋心

しおりを挟む
私もいい加減しつこい性格をしてるとはわかってる。

いやいや、しつこいのではなく一途なのだと思いたい。

だって、本当に好きなんだもん。





「はいハイゼル、これ今日の差し入れ。それから好きよ大好き!私たち、幼馴染をやめて恋人になりましょ」

「お前なぁ……昼飯渡すついでに告るなよ」

「だって何度告白してもフラレちゃうんだもの。こうなったら数打ちゃ当たるに賭けるつもりよ」

「どんだけ連発しても無駄だ。アユリカ、俺はお前とは付き合わねえよ。わかってんのか?恋人なんかになって別れでもしたら、もうこれまでの関係ではいられなくなるんだぞ?ガキん時からの関係が壊れちまうんだぞ?」

「付き合う前から別れること考える必要あるかな?」

「……俺の親を思い出せ。幼馴染同士で駆け落ちしてガキまで作っておいて、冷めたからと互いに愛人作って挙句別れただろ。お前の親だってそうだ。親父が浮気して出てったんだろ?それでお袋さんも育児放棄して……だからポム小母おばさんに面倒見てもらったんじゃないか、俺と同じく……」

「そうだけど……」

「な?悪いことは言わん。俺はやめておけ。俺はガキん頃から一番近くにいたお前とどーこうなるなんてイヤなんだよ」

「やめておけ言われてハイそうですかって、そんな簡単にいかないのが恋心なのよね……だってもうずっとハイゼルのことが好きなんだもん」

「アユリカ……」

「……せっかく作ったんだから差し入れは食べてほしい……すりおろしりんごが隠し味のジンジャーポークソテーをたっぷり挟んだこのサンドイッチに罪はないと思うの……それも、ダメ?」

「……クッ、お前っ……どこでそんな小悪魔的な上目遣いを覚えたんだっ……」

「ねぇお願い、ハイゼル……」

「っ~~~……お前なっ」


結局、ハイゼルは差し入れの入ったサンドイッチを受け取ってくれたけど、仲間に呼ばれてすぐに行ってしまった。
私はその後ろ姿を見送る。

(あ、……また女の子たちと一緒だ……)

ハイゼルが向かった先には同じく聖騎士を目指す予科練生たちと数名の女の子がいた。
そしてわいわいと賑やかに楽しそうに笑いながら行ってしまったのだった。


ハイゼルは聖騎士の見習い騎士だ。
全寮制の聖騎士予科練学校に通い、幼い頃からの夢だった聖騎士パラディンになるために脇目も振らずに日々研鑽している。

……な、はず。
決して遊び呆けてなどいないはず。
だけど……
近頃ハイゼルと見習い仲間の周りには遊び慣れてそうなキラキラとした女の子たちの姿が目に付くようになった。

みんなオシャレで綺麗で、私とはタイプが違う華やかな女の子たち。
彼女たちはハイゼルを含むカッコイイ騎士見習いたちと並んで立ってもちっとも引けを取らない。

そしてそんな彼女たちが寄ってくるのを、ハイゼルも彼の仲間たちも満更でもない様子で受け入れているのだ。

やっぱりハイゼルも綺麗で華のある女の子の方が好きなんだろうか。

だから私をハイゼルの“特別”にしてくれないのかな……。

幼い頃から知る私が一番近しくて家族のように特別な存在だとハイゼルは言うけれど、
私の欲しい特別はそれじゃないんだけどな。


私、アユリカ・リィズ(十七)とハイゼル・モルト(十七)は同じ町内に生まれ、同じように親に育児放棄をされた者同士だ。
親に見捨てられた私たちの世話を何も言わずにしてくれたのが、近所に住むポム小母さんだった。
そして私とハイゼルを家に引き取り、育ててくれたのだ。

ポム小母さんは古の森の魔女の縁者だそうで、彼女自身も魔術が扱え小さな魔法薬店を営んでいる。

奇しくも私にもハイゼルにも魔力があり、そんな私たちにポム小母さんは魔術のいろはも教えてくれた。

この世界が広いことも、この世界とは違う別の世界があることも知っているけれど、私の世界はポム小母さんと、幼い頃から共にありいつしか恋心を抱いていたハイゼルがその全てだった。

私はハイゼルが大好きだから。
ずっとずっと一緒にいたいから彼の特別な存在になりたいと願う。

だけどハイゼルはずっと変わらず傍にいるために私に恋愛感情は持ちたくないと言う。
そう言うけれど、
ハイゼルは町内の外では私を遠避ける。
見習い仲間には絶対に紹介してくれないし、彼らと一緒の時に近付くなとさえ言われてしまっている。
すっかり疎遠になってしまい、傍にいないのなら意味がないんじゃないのかな?

私という幼馴染がいることを、そんなにも知られたくないのだろうか……。

そりゃあ私は、ハイゼルたちにくっついて遊んでいる女の子たちに比べたら地味で面白味もなくて霞んで見えるのもしれないけど……。

ねぇ、どうしたら私を幼馴染以上の存在として見てくれる?
どうしたら、私を恋愛対象として見てくれるの?

……それは私の高望みなの?

ダークブラウンの髪と紫紺の瞳が美くしい、背が高くて顔も良くて腕っ節が強くて、将来有望な聖騎士見習いのハイゼルには、私なんて相応しくない?
……うん、釣り合ってないな……相応しくないかもしれない。

でも、それでも、釣り合わないとはわかっていても、私はこの恋を諦められないんだ。

この恋を、諦めたくないんだ……。








──────────────────────◇




ハジマリマシタよ新連載。

今作もよろしくお願いします!

夕方以降の霞み目と、ついうっかり口を滑らせちまうネタバレ予防のためにお返事はままなりませんが、感想欄は解放しておりますので皆さんお好きにブツブツとつぶやいてくださいませ。

もちろん叫んでいただいても結構ですよ♡

( º дº)<キエェェェエエェェェ





しおりを挟む
感想 384

あなたにおすすめの小説

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。 そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。 婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

彼を愛したふたりの女

豆狸
恋愛
「エドアルド殿下が愛していらっしゃるのはドローレ様でしょう?」 「……彼女は死んだ」

気づいたときには遅かったんだ。

水瀬瑠奈
恋愛
 「大好き」が永遠だと、なぜ信じていたのだろう。

平凡令嬢の婚活事情〜あの人だけは、絶対ナイから!〜

本見りん
恋愛
「……だから、ミランダは無理だって!!」  王立学園に通う、ミランダ シュミット伯爵令嬢17歳。  偶然通りかかった学園の裏庭でミランダ本人がここにいるとも知らず噂しているのはこの学園の貴族令息たち。  ……彼らは、決して『高嶺の花ミランダ』として噂している訳ではない。  それは、ミランダが『平凡令嬢』だから。  いつからか『平凡令嬢』と噂されるようになっていたミランダ。『絶賛婚約者募集中』の彼女にはかなり不利な状況。  チラリと向こうを見てみれば、1人の女子生徒に3人の男子学生が。あちらも良くない噂の方々。  ……ミランダは、『あの人達だけはナイ!』と思っていだのだが……。 3万字少しの短編です。『完結保証』『ハッピーエンド』です!

婚約者は王女殿下のほうがお好きなようなので、私はお手紙を書くことにしました。

豆狸
恋愛
「リュドミーラ嬢、お前との婚約解消するってよ」 なろう様でも公開中です。

【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ

月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。 泣くのも違う。怒るのも違う。 ただ静かに消えよう。 そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。 画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。 相手に気付かれた? 見られた? 「未練ある」って思われる!? 恐怖でブロックボタンを連打した夜。 カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。

処理中です...