ダイハード(超一生懸命)なおっさん in 異世界

鬼ノ城ミヤ(天邪鬼ミヤ)

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ラミアと料理番と領主 その3

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 キス待ち顔のミリュウ。
 それを押し返している僕。

 ……うん、やっぱりシャルロッタ以外の女性とこういう事をするのはちょっと……

 そんな事を考えながら、ミリュウを押し返している僕……なんですけど、

「ダーリン、ここはキスさせてほしいの! お礼なの!」

 ミリュウはそう言いながら、再度その顔を前進させてきた。
 怪力のスキルが備わっている僕の右手で押し戻されているにもかかわらず、ミリュウはじりじりと僕の顔に迫り始めているではありませんか。

 た、確かにミリュウが女の子っていうのもあって多少の手加減はしているのですが……だ、だからといってこうして戻ってくることが出来るなんてまったくもって想定外です。

「と、とにかくだね、ぼ、僕は君にキスしてもらう理由がないというか……」
「あるの! ミリュウは2回もダーリンに命を救ってもらったの!」
「に、2回って……1回は今のだろうけど、もう1回なんて……」
「昨日の夜なの! ミリュウが道に迷って流血狼に襲われていたところをダーリンが助けてくれたの!」
「は?」

 ミリュウの言葉を聞いた僕は、目が点になりました。

 うん……全く身に覚えがありません。
 確かに昨夜は流血狼をたくさん狩ったけど、その途中、ラミアのミリュウを助けた記憶なんてまったくないんです。

 そんな事を思いながらミリュウの体へ視線を向けていくと……
 その胸の部分は、鱗のような物で先っぽや、背に向かう部分が覆われているんだけど、それ以外の部分には結構な数の切り傷がありました。
 その傷は、出来たばかりらしく出血の後が生々しいもの以外にも、すでに傷口が塞がり始めているものも少なくありません。

 そこから推察すると……昨夜僕が狩りまくった魔獣の中に、ちょうどミリュウを襲おうとしていた流血狼がいたのかもしれません。
 その時出来た傷が、治りかけているなんだと考えれば、確かに話のつじつまがあう気がしないでもないのですが……

「……ひょ、ひょっとしたら不可抗力で君を助ける結果になってしまったのかもしれないけど、それはあくまでも偶然であってだね、別段気にしてもらうようなことでは……」
「気にするようなことなの!」

 僕の言葉を、強い口調で否定したミリュウはさらにその顔を前進させてきます。
 僕が押さえている手の隙間から舌を伸ばしてきて、それが僕の鼻や口の周囲をなめ回してきたではありませんか。
 こういった動きが、ミリュウがラミアであり、ラミアが蛇なんだということを思い出させてくれるのですが……とにもかくにも、ミリュウは止まることなく僕に迫ってきているわけでして……

 や、やばい……これはもう全力で放り投げるしか……

 僕はそう思いながら右腕に力を込めようとした、まさにその時であった。

「妾のクマ殿に何をするのじゃあ!」

 ラミアの後方から声が聞こえてきました。
 女性の声だ。
 しかも、この声は……間違いない、シャルロッタの声です!

 その声と同時に、ミリュウの脳天にでっかいランスが振り降ろされました。

「ふにゃあ!?」

 その直撃をくらったミリュウは、その場に力なく倒れこんでいきました。

 その後方に、ランスを振り降ろした格好のシャルロッタの姿があります。
 シャルロッタは、全身の力を使って跳躍し、その勢いでランスを振り降ろしたみたいです。
 僕に迫ることだけに集中していたミリュウは完全に虚を突かれた格好になってしまい、その一撃をもろにくらって気絶してしまったようですね。

 シャルロッタは、ミリュウが動かなくなったことを確認すると、

「クマ殿! 無事か!」

 そう言いながら、僕の元に駆け寄ってきました。

「あ、はい、おかげさまでぶふぉ!?」

 笑顔で返事を返しかけた僕なのですが、そんな僕の顔をシャルロッタは左右から抱え込みまして、そのまま真正面から僕の顔を見つめきたのです。

 その結果……僕の目にはシャルロッタの顔が大写しになっています。

 うわ……女の子の……それも、しゃ、シャルロッタの顔が、こ、こんなに近くに……

 もう、それだけで僕の脳内は沸騰してしまいそうです。

 何しろ、元いた世界では彼女いない歴=年齢の僕なのです。
 先ほどミリュウに迫られたアレですら未知との遭遇だったわけでですね、そんな体験を1日の間に、しかもこんな短時間に2回も経験するなんて、今日はなんていうラッキーデイなんだ、って思わずにいられないと言いますか……

 沸騰寸前の頭で、そんな事を考えていた僕。
 当然、その顔は真っ赤になっています。

 そんな僕の顔を超至近距離から確認していたシャルロッタは、怪訝そうな表情を浮かべていました。
「う、うむ? け、怪我はないようじゃが……ど、どうしたのじゃ、クマ殿、何やら顔が赤くて熱があるような……」
「え、え、あ、い、いえ……」

 僕がしどろもどろになっていると、シャルロッタは、

「どれ、ちょっと失礼するのじゃ」

 そう言いながら、自分の前髪をかき上げて、そのまま僕の額に自らの額をあてがっ……


 お……

 おで……

 おでこ……

 おでこで体温確認……だ、と……


 そ、そんな、僕なんかには一生無縁だと思っていたイベントが突発的に発生したことで、僕の体内のいろいろな箇所のキャパシティが一気にオーバーヒートしていったのは言うまでもありません。

「ぶ、ぶふぉおおおおおおお」

 次の瞬間、僕はぶっ倒れました。
 すさまじい量の鼻血が吹き出しているのが、薄れゆく意識の端で確認することが出来ました。
 
 あぁ、でも……

 僕は、白目を剥いて後方に倒れこみつつ、右腕を天に向かって突き上げていた。

 我が人生に……い、一遍の悔い……なし…………ガク…………

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