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養豚場のバイト
序
《ブッヒ、ブッヒ、ブッギー!》
「お、大型免許持ってるの」
「はい、免許だけですが……」(ペーパードライバー)
「でもうちは中型だから大丈夫だよ、よし、あなたに決めた、明日から来てよ、臭いよ~」
「はい、臭いの大丈夫です」
其の一
翌日、私は前日に渡された作業服と長靴に身を包み、原チャリで養豚場に着くと、その敷地内で既に豚は乗せ終えた年期が入った古いタイプな紺色のトラックがガタガタとエンジン音を唸らせていた。
運転席にはお爺さんな運転手さんが乗っていて、私に手を振ってくれた。
そのお爺さんは、手動で助手席側の窓を開き、「バイクは、そこでいいから、乗って~」と私に叫ぶ。
トラックは発車し、私は助席でamラジオを聞きながら、箱ごともらった煙草を吸い、同じくお爺さんがドリンクホルダーに用意してくれていた、缶コーヒーを飲みながら世間話をする。
車の灰皿には吸殻が溢れている。(面接の時、煙草吸ってるのかを聞かれた理由がわかった)
トラックのハンドルは、ヤケに大きく、持ち手は細い重ステ、お爺さんは腰に医療用コルセットを巻いて運転している。
その重ステのハンドルがレトロでタイムスリップした様で面白かった。
箱ごと貰った煙草も美味かった。
其のニ
そんなトラックは霧雨の森を抜け、高速道路に乗り、やがて、ある食肉センターに到着し、そのホームから豚を下ろす。
その時、運転手のお爺さんは豚達に言う。
「またな、またな、またな~」
私はその言葉が不思議に思い聞く。
「またですか?」
「この仕事を長くやってると豚は死んでも豚に生まれ変わってる気がしてくるんだよ」
「豚は豚にですか?」
「そう、でもたまにコイツは元は人間だったんじゃ無いかと思う目をした奴もいるよ」
「人間?」
「人間の時に悪さすると、豚に生まれ変わってしまうと言う話しもあながちあってる気がするよ」
と運転手のお爺さんは、煙草を取り出し、空き歯の間から煙を吐く。
その煙を追う様に空を見上げると煙と霧雨は混ざっていった。
其の三
昼は帰りの高速のサービスエリアで食べる。
「好きなの食べな」
と万札が投入され全てのメニューのスイッチが光る券売機を前にし、最初私は遠慮してタヌキ蕎麦を買うと、そのお爺さんは、「遠慮しなくていいよ」と、蕎麦は自分が食べるからと買い直しを進める、私もならと思い、かぶる猫を捨て、焼肉定食の大盛りを買う。(昼付きバイト、その時、私の仕事は、どうやら親子で養豚を経営している、その運転担当の高齢なお爺さんの、ようは何かあった時の連絡要員らしいと理解する)
少して帰りの運転は私がやる事になった。
最初は、ハッキリ言って怖く、それも高速道路、でも少しすると運転になれてしまい、煙草を吸いながら運転できる程になった。(絶対やってはいけない、ナガラ運転)
この頃に古いトラックはギアを切り替える時にNの位置でもう一回クラッチを踏み直さないギアが入らない、と、なんともクセがあるトラックの運転をおぼえることになる。
其の四
養豚場に戻ると、トラックの洗車と豚小屋の簡単な掃除をして、日当を貰い、午時三時前にそのバイトは終る。
(道具小屋に半分残るワックスの缶を見かけたので、トラックに塗ってあげるとお爺さんに大変喜ばれた)
仕事を終え外に出ると臭いけど空気は良い。
懐にも金が入ったので気分も良い。
幕
帰りにコンビニに寄り、お菓子と漫画本を買い、川沿いにバイクを停め、水面を見ながら、「私に取っては、たわいのないバイトの一日に過ぎないが豚に取っては運命の日」
と、そんな事を思ったりもしたが、結局は、そんな事を考えても意味が無く、出来る事は、感謝して残さず食べるくらいの事であると思うのだった。
完
《ブッヒ、ブッヒ、ブッギー!》
「お、大型免許持ってるの」
「はい、免許だけですが……」(ペーパードライバー)
「でもうちは中型だから大丈夫だよ、よし、あなたに決めた、明日から来てよ、臭いよ~」
「はい、臭いの大丈夫です」
其の一
翌日、私は前日に渡された作業服と長靴に身を包み、原チャリで養豚場に着くと、その敷地内で既に豚は乗せ終えた年期が入った古いタイプな紺色のトラックがガタガタとエンジン音を唸らせていた。
運転席にはお爺さんな運転手さんが乗っていて、私に手を振ってくれた。
そのお爺さんは、手動で助手席側の窓を開き、「バイクは、そこでいいから、乗って~」と私に叫ぶ。
トラックは発車し、私は助席でamラジオを聞きながら、箱ごともらった煙草を吸い、同じくお爺さんがドリンクホルダーに用意してくれていた、缶コーヒーを飲みながら世間話をする。
車の灰皿には吸殻が溢れている。(面接の時、煙草吸ってるのかを聞かれた理由がわかった)
トラックのハンドルは、ヤケに大きく、持ち手は細い重ステ、お爺さんは腰に医療用コルセットを巻いて運転している。
その重ステのハンドルがレトロでタイムスリップした様で面白かった。
箱ごと貰った煙草も美味かった。
其のニ
そんなトラックは霧雨の森を抜け、高速道路に乗り、やがて、ある食肉センターに到着し、そのホームから豚を下ろす。
その時、運転手のお爺さんは豚達に言う。
「またな、またな、またな~」
私はその言葉が不思議に思い聞く。
「またですか?」
「この仕事を長くやってると豚は死んでも豚に生まれ変わってる気がしてくるんだよ」
「豚は豚にですか?」
「そう、でもたまにコイツは元は人間だったんじゃ無いかと思う目をした奴もいるよ」
「人間?」
「人間の時に悪さすると、豚に生まれ変わってしまうと言う話しもあながちあってる気がするよ」
と運転手のお爺さんは、煙草を取り出し、空き歯の間から煙を吐く。
その煙を追う様に空を見上げると煙と霧雨は混ざっていった。
其の三
昼は帰りの高速のサービスエリアで食べる。
「好きなの食べな」
と万札が投入され全てのメニューのスイッチが光る券売機を前にし、最初私は遠慮してタヌキ蕎麦を買うと、そのお爺さんは、「遠慮しなくていいよ」と、蕎麦は自分が食べるからと買い直しを進める、私もならと思い、かぶる猫を捨て、焼肉定食の大盛りを買う。(昼付きバイト、その時、私の仕事は、どうやら親子で養豚を経営している、その運転担当の高齢なお爺さんの、ようは何かあった時の連絡要員らしいと理解する)
少して帰りの運転は私がやる事になった。
最初は、ハッキリ言って怖く、それも高速道路、でも少しすると運転になれてしまい、煙草を吸いながら運転できる程になった。(絶対やってはいけない、ナガラ運転)
この頃に古いトラックはギアを切り替える時にNの位置でもう一回クラッチを踏み直さないギアが入らない、と、なんともクセがあるトラックの運転をおぼえることになる。
其の四
養豚場に戻ると、トラックの洗車と豚小屋の簡単な掃除をして、日当を貰い、午時三時前にそのバイトは終る。
(道具小屋に半分残るワックスの缶を見かけたので、トラックに塗ってあげるとお爺さんに大変喜ばれた)
仕事を終え外に出ると臭いけど空気は良い。
懐にも金が入ったので気分も良い。
幕
帰りにコンビニに寄り、お菓子と漫画本を買い、川沿いにバイクを停め、水面を見ながら、「私に取っては、たわいのないバイトの一日に過ぎないが豚に取っては運命の日」
と、そんな事を思ったりもしたが、結局は、そんな事を考えても意味が無く、出来る事は、感謝して残さず食べるくらいの事であると思うのだった。
完
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