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④家路の巻

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④【師の教えと狼少年】家路の巻

 あれから22時近くになって先生と麻美は少し落ち着いてきた感じがしてきたので僕は帰ることにした。
「先生、今日はお騒がせしました、遅いので帰りますね」
「仙身君、遅いので家まで先生が送ります」
それを聞いた麻美が横から先生と僕の会話に入って来た。
「私も一緒に行くよ」
「麻美! あなたは留守番してて!」
先生は麻美を凍る視線で黙らせた。

 僕くは先生と街灯が少ない暗い家路を歩いてる……
コオロギの鳴き声だけが聞こえている、僕の前を歩く先生は無言だった……
何か気まずいので僕から会話を始めた
「先生今日は、本当にすみませんでした、もうあんな事やらないので」
先生は立ち留まり背を向けたまま、
「やらないので? 麻美と何かしたの?」
何か先生の背中から、また異様な禍々しい怒りの様な放出された気を感じた……
「え、キスだけです」
先生は背を向けたまま、
「もう一回、確認だけど麻美からキスしたんだよね」
「はい、そうです」
「そう、じゃいいわ、まだ先生に隠してることある?」
「無いです、全部話しました」
先生は何も言わずにまた歩き始めた……

 僕は何か緊張状態が続いたせいか、喉の渇きを感じた、丁度、先に闇夜に光、自販機が見えたてので、
「先生、ジュース買って良いですか? 何か喉が乾いちゃって」
先生は背を向けたまま無言で頷いた。
自販機の前で僕が財布を出そうとポケットに手を突っ込むと横から先生が、
「はい」
100円を自販機に入金してくれた、僕がエナジードリンクのソーマジュース(サカリ茸汁)を買った。
「先生ありがとうございます、何か今日体が疲れちゃって」
先生はジュースの自販機の横にあるスキンの自販機を何故か見つめてボーとしている……
「先生もしもし」
先生は呟いた、
「体、疲れちゃって……妹と何かした?」
「だからキスだけですよ、先生疲れてます?」

僕が思ってる以上に先生は大きいショックを受けてるようだった……。

「それは疲れるわよ、家に帰ったら教え子と妹が裸で抱き合ってるの見せられたら……先生クタクタよ、妹と今後は少し距離を取ってね」

「え、あー」
と僕が距離の取り方のイメージが湧かなかったので返事を渋っていると、先生の目がみるみるうちに血走って眉間に皺が寄ってきた!
「いいから! 距離を取って!」
僕は先生の迫力に負けて一言
「はい、わかりました」
と返事した。(少し先生が物をねだる子供にも見えて可愛いかった)

「すみません、僕が全部悪いんです」
先生は僕を見つめて、

「全部と言わないけど、仙身君にも問題あるわよ、行動が軽率です」

先生が初めて僕に本心を話した気がした……
「行きましょう」
と先生は歩き始めた……
少し歩くとT時の十字架大石に着いた
「先生、送りは此処迄で」
「ダメです、今日は遅いので家の前で送ります」
先生の顔が険しいので反対せずに従った
、山道を登り家に着いた、親には事前に先生が連絡してあるので、何も心配は無かった、玄関のドアを開けたら母がいた
「お帰りー、あ! 先生、うちの息子がお世話になりました、どうぞ上がってくださいな」

先生は玄関のところで手を前に出し、

「あ、お構いなく、深夜ですので今日はもうこれで」と拒否した。

それから先生は玄関の外で母と少し何か話しをして帰って行った、僕は直ぐにシャワーを浴びて、布団に入り寝る事にした。ふと何故か行方不明の親父の事を思い出した、自分は相談する相手が欲しかったんだろと思った……そのあとすぐに深い眠りについた。
*****

※ここからは留守番している麻美視線で……

 麻美は浴室の中で備え付けの鏡みを見つめ考えていた。

今日は失敗したな~、おねいちゃんに仙身とセックスしてるところ見せて、決着が着くと思ったんだけどな~
……だけど今日のおねいちゃんが私を睨んだ目、あれは嫉妬した女の目だわ。
今後おねいちゃんは教師の特権を利用して妨害してくる可能性があるは、考えないと……
絶対に仙身は手に入れるわ!
最近迄、私の事が好きだったのに……
どうやって?
仙身の気持ち切り替えさせたのかしら?身内に恋敵がいたわね……

石鹸が麻美の手の中で滑り落ちる事なく粉々に潰れていた……夜はふけっていった。[続]⑤へ
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