少し怖いホラー短編集(文字数500以下)

仙 岳美

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魚々骨眼

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 ゴトリ
 と、目の前に魚の煮付けが盛られたやや重ゴツい、皿が置かれる。
その音は心の上に重しとし置かれた気がした。

 
 その魚は酒の肴であるが、それは此処で長いする為に注文した料理、正直今の僕に記憶を薄める酒があれば良い、そんな心を見透かしたように、僕を見る魚の目は白く、僕をその白い目で見ている……
その目を観て、僕は過去のたった一度の過ちで流してしまった過去と、流れた涙を思い出し……
酒を口に運ぶ……

……


「冷めないうち」

女性の店員さんは、優しく促す様に僕に勧める。

……


「温め直しますよ」
僕は手を横に振る。

……


それから、どのくらい経ったのだろうか、その煮付けは時間が経つ事で水分が蒸発し、身の方の塩梅が濃くなってしまい、「それ見ろ」と言ってる様に思える魚を見つめていると、その視界の横から、コトっと、やや大きめの茶碗に盛られた茶漬けが細く白い手を介し差し込まれる。

「マスター(店主)からのサービスです、合うと思いますよ」

僕は思った、歪に変わってしまった過去は、何か添える事で薄まり、活かす事もできるのかな、と……

骨と皮だけの老店主は、暖簾(のれん)を仕舞うと、そのまま外に出て小雨の中、電子タバコを吹かし、広大な霊園の方を眺めている。
僕は、
『ああ、そう言う事かと思った』

僕は見上げ、店員さんと目を合わせ、『やはり似ている』と思い、手を握る。



 その晩、僕はその白い手に夢中でそれは、先刻前の、魚の、中骨の様に、むしゃぶりついた……
そう、もう、一回壊した骨格の無さない世界に遠慮なんて……
後は……

骨の髄迄喰い尽くす迄だ。

[終]

お題・魚

題材・魚々骨眼(ギョーコツガン)
 捨てられた生ゴミの中のその目と偶然に目が合ってしまうと、それは、吉・凶のどちらかの前触れと言われている、博打を打つ理由が無ければ、その魚眼に塩を振る事が無難とされている。
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