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6.未来のわたしと現在のわたし*
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はぁ、はぁ、と荒い息を何度も繰り返す。
その息すらもイデアルさまからのキスによって繰り返し飲み込まされた。
「いであるさま、もう……」
どんどん力が抜けていく。それと同時に快感がわたしの身体を支配する。
すべて作り変えられてしまいそう。
イデアルさまに触れられるだけで、まるで熱に浮かされたように身体が火照る。
「ヴィティ」
「んっ、ふぅっ」
「ごめん」
どうして謝るの、そう訊ねようとしたとき、入り口に熱い塊が押し付けられたのがわかった。
「あっ!」
「っ、きつっ……」
「っ、! っっ、い、たい、いたいですっ、いであるさまぁ……?」
太いものがわたしのナカへと入ってくる。その太さは指とは比べものにならない。まるで熱い杭を入れられているような感覚。
これはなんなの、これはなにをされているの?
入り口を拡げて入ってくるものに、涙が溢れる。痛くてたまらない。けれどイデアルさまがゆっくりと推し進めてくださるおかげか、悲鳴をあげるほどでもない。それでも、こんな痛みを感じたのははじめてだった。
「ひっ、ぅ、」
「ヴィティ、こっち向いて」
「んんっ、ん、ちゅぅ……」
イデアルさまに口付けられた。
啄むようなキスをされたと思うと、彼の舌が唇の隙間から入り込んできて、上顎を舐め取られたと思うと、舌を絡め取られる。
ちゅぅっと舌ごと吸われ、溢れた唾液が唇の端を伝った。
「ごめ、一気にいく……ッ!」
「ンッ! ふうぅあっ!」
痛みがわたしを襲った。
驚きに目を見張ると、すかさずイデアルさまがわたしの唇を塞ぐ。痛みに足をバタつかせると、彼の腕が押さえ付けるようにわたしの足に絡み付いた。
それでも痛くて、唇を塞がれて声も出せなくて、自然とイデアルさまの腕に爪を立てる。
だからといって痛みが逃げるはずもないのに、なんだか安堵した。
「ふー、ふーっ」
「いであるさま……?」
わたしに覆い被さったまま動かないイデアルさまから、荒い鼻息が聞こえてくる。
痛みはまだ続いてる。けれど、荒い息を吐くイデアルさまになんだかどうしようもない感情が溢れてきた。
「無理を、なさらないでください。イデアルさま」
「ヴィティ」
苦しそうな横顔にそう願った。
痛みと圧迫感。わたしのナカに指よりも太くて長いものが入れられているのだとわかる。
なにを入れられているのかわからないけれど、そのせいでイデアルさまは苦しんでる。
もしかしたら、わたしと同じで痛みを感じているのかもしれない。
そう思ったらなんだかとても、とても……。
言葉に表せない感情がわたしの中に生まれる。この人を抱き締めて、包んであげたい。この人にとっても優しくしたい。
「イデアルさま、とても苦しそう……」
彼の頬にそっと指を這わす。男性で、今まで戦場にいた人とは思えない滑らかな肌に吸い寄せられてしまう。
「ヴィティは、痛くない?」
「いたい、ですけど、平気です。イデアルさまがやさしくしてくださいました」
「っ、う……」
「それに、いっぱい気持ちよくしてもらえましたから」
イデアルさまの指で。彼の手に自分の手を重ねながら微笑む。
恥ずかしさはあったけれど、それ以上にたくさんの気持ちいいをいただいた。苦しくなりそうなほどの快楽だったけど、確かにあれは気持ちよかった。
なら、今度はイデアルさまの番。苦しくなるのではなくて、気持ちよくなってほしい。
そんな思いを込めてイデアルさまを見つめると、どくんと中のものが一際大きくなって圧迫感が酷くなった気がした。
「ひぃあんっ」
「は、ぁ、そんなに、煽らないで……!」
「ぁ、んっ! そんな、あぁっ!」
イデアルさまが動き始める。そうすると中に入っていたものも一緒に動いた。
中の壁を擦りながら、それは動く。痛いだけだったはずが、まるで指を入れられたときと同じように快感になってきた。
ずちゅ、ぱんっ、ぐちゅ、と下半身から水音や肌が打ち合う音が聞こえる。恥ずかしい。
けれど、身体を動かし始めたイデアルさまがとても美しくて、恥ずかしいことさえ忘れてしまった。
「ふっ、あんっ、あっ!」
「ヴィティ、ヴィティ……ッ!」
「いであるさまぁ……」
イデアルさまはわたしの名前を呼びながら、強くわたしに打ち付ける。
気持ちいい。くるしい。でもやっぱり気持ちいい。
がばりと開かされた両足を、縋り付くようにイデアルさまへの腰へと回す。
「っ! ぁ……! ふっ! ヴィティッ!」
「いであるさ、あぁっ!」
熱いものがわたしの身体に流れ込んできた。ググッと奥へと入り込んでくるそれに、頭の中が真っ白になる。ぴくぴくと痙攣が止まってくれない。
「はぁ、くっ……」
「んっ……あぁ……」
ずるりと中から圧迫感が消えていく。それに寂しさを覚えてしまう。この時間でわたしはどれほど作り変えられてしまったのだろう。
はぁ、と息を整えながらゆっくりと目を閉じる。
「──おやすみ、ヴィティ」
遠くなる意識の中で、そう囁かれた気がした。
□ □ □
それから幾度の夜を彼と過ごした。
そのたびにわたしの心は揺さぶられ、いつしか彼にすっかり心を明け渡してしまっていた。
好きになってしまった。愛してしまった。
彼を殺さないといけないのに。
母の遺品とイデアルさま。
どちらかなんてわたしは選べない。
けれども、だからだろうか。
前世の記憶を思い出した今のわたしは、この状況にホッとした。
彼に似合うのはわたしとは違う、天真爛漫な明るい美少女。
──わたしは死ぬべき運命。
「ヴィティ、やっぱり少し顔色が悪いみたいだよ」
「そうでしょうか……?」
イデアルさまとわたしだけの小さなお茶会。
なんにもない、なんでもない日。どうして今日だったのだろう。前世を思い出すのは、どうしてこの日だったのだろう。
久しぶりのイデアルさまとのお茶会。
少しだけ楽しみにしていた今日だった。
それなのに、嫌なものを思い出してしまった。
イデアルさまの様子を伺うように見つめると、彼は悪戯めいた少年のような顔をしながらわたしの頬を大きな掌で包み込む。
「うん。昨日、少し激しかったかな」
「イデアルさまっ!」
「ふふ、冗談。でも、少し心配だ。少し休んできたらどう?」
小さな軽口も叩けるような仲になった。
多分、これが幸せだと、そう思える時間が増えた。
いつかは終わりが来るのだとしても、その終わりはわたしがもたらすものだと思っていたのに。
「ありがとうございます、イデアルさま」
イデアルさまを愛してしまったことを後悔なんてしたくないのに。
その息すらもイデアルさまからのキスによって繰り返し飲み込まされた。
「いであるさま、もう……」
どんどん力が抜けていく。それと同時に快感がわたしの身体を支配する。
すべて作り変えられてしまいそう。
イデアルさまに触れられるだけで、まるで熱に浮かされたように身体が火照る。
「ヴィティ」
「んっ、ふぅっ」
「ごめん」
どうして謝るの、そう訊ねようとしたとき、入り口に熱い塊が押し付けられたのがわかった。
「あっ!」
「っ、きつっ……」
「っ、! っっ、い、たい、いたいですっ、いであるさまぁ……?」
太いものがわたしのナカへと入ってくる。その太さは指とは比べものにならない。まるで熱い杭を入れられているような感覚。
これはなんなの、これはなにをされているの?
入り口を拡げて入ってくるものに、涙が溢れる。痛くてたまらない。けれどイデアルさまがゆっくりと推し進めてくださるおかげか、悲鳴をあげるほどでもない。それでも、こんな痛みを感じたのははじめてだった。
「ひっ、ぅ、」
「ヴィティ、こっち向いて」
「んんっ、ん、ちゅぅ……」
イデアルさまに口付けられた。
啄むようなキスをされたと思うと、彼の舌が唇の隙間から入り込んできて、上顎を舐め取られたと思うと、舌を絡め取られる。
ちゅぅっと舌ごと吸われ、溢れた唾液が唇の端を伝った。
「ごめ、一気にいく……ッ!」
「ンッ! ふうぅあっ!」
痛みがわたしを襲った。
驚きに目を見張ると、すかさずイデアルさまがわたしの唇を塞ぐ。痛みに足をバタつかせると、彼の腕が押さえ付けるようにわたしの足に絡み付いた。
それでも痛くて、唇を塞がれて声も出せなくて、自然とイデアルさまの腕に爪を立てる。
だからといって痛みが逃げるはずもないのに、なんだか安堵した。
「ふー、ふーっ」
「いであるさま……?」
わたしに覆い被さったまま動かないイデアルさまから、荒い鼻息が聞こえてくる。
痛みはまだ続いてる。けれど、荒い息を吐くイデアルさまになんだかどうしようもない感情が溢れてきた。
「無理を、なさらないでください。イデアルさま」
「ヴィティ」
苦しそうな横顔にそう願った。
痛みと圧迫感。わたしのナカに指よりも太くて長いものが入れられているのだとわかる。
なにを入れられているのかわからないけれど、そのせいでイデアルさまは苦しんでる。
もしかしたら、わたしと同じで痛みを感じているのかもしれない。
そう思ったらなんだかとても、とても……。
言葉に表せない感情がわたしの中に生まれる。この人を抱き締めて、包んであげたい。この人にとっても優しくしたい。
「イデアルさま、とても苦しそう……」
彼の頬にそっと指を這わす。男性で、今まで戦場にいた人とは思えない滑らかな肌に吸い寄せられてしまう。
「ヴィティは、痛くない?」
「いたい、ですけど、平気です。イデアルさまがやさしくしてくださいました」
「っ、う……」
「それに、いっぱい気持ちよくしてもらえましたから」
イデアルさまの指で。彼の手に自分の手を重ねながら微笑む。
恥ずかしさはあったけれど、それ以上にたくさんの気持ちいいをいただいた。苦しくなりそうなほどの快楽だったけど、確かにあれは気持ちよかった。
なら、今度はイデアルさまの番。苦しくなるのではなくて、気持ちよくなってほしい。
そんな思いを込めてイデアルさまを見つめると、どくんと中のものが一際大きくなって圧迫感が酷くなった気がした。
「ひぃあんっ」
「は、ぁ、そんなに、煽らないで……!」
「ぁ、んっ! そんな、あぁっ!」
イデアルさまが動き始める。そうすると中に入っていたものも一緒に動いた。
中の壁を擦りながら、それは動く。痛いだけだったはずが、まるで指を入れられたときと同じように快感になってきた。
ずちゅ、ぱんっ、ぐちゅ、と下半身から水音や肌が打ち合う音が聞こえる。恥ずかしい。
けれど、身体を動かし始めたイデアルさまがとても美しくて、恥ずかしいことさえ忘れてしまった。
「ふっ、あんっ、あっ!」
「ヴィティ、ヴィティ……ッ!」
「いであるさまぁ……」
イデアルさまはわたしの名前を呼びながら、強くわたしに打ち付ける。
気持ちいい。くるしい。でもやっぱり気持ちいい。
がばりと開かされた両足を、縋り付くようにイデアルさまへの腰へと回す。
「っ! ぁ……! ふっ! ヴィティッ!」
「いであるさ、あぁっ!」
熱いものがわたしの身体に流れ込んできた。ググッと奥へと入り込んでくるそれに、頭の中が真っ白になる。ぴくぴくと痙攣が止まってくれない。
「はぁ、くっ……」
「んっ……あぁ……」
ずるりと中から圧迫感が消えていく。それに寂しさを覚えてしまう。この時間でわたしはどれほど作り変えられてしまったのだろう。
はぁ、と息を整えながらゆっくりと目を閉じる。
「──おやすみ、ヴィティ」
遠くなる意識の中で、そう囁かれた気がした。
□ □ □
それから幾度の夜を彼と過ごした。
そのたびにわたしの心は揺さぶられ、いつしか彼にすっかり心を明け渡してしまっていた。
好きになってしまった。愛してしまった。
彼を殺さないといけないのに。
母の遺品とイデアルさま。
どちらかなんてわたしは選べない。
けれども、だからだろうか。
前世の記憶を思い出した今のわたしは、この状況にホッとした。
彼に似合うのはわたしとは違う、天真爛漫な明るい美少女。
──わたしは死ぬべき運命。
「ヴィティ、やっぱり少し顔色が悪いみたいだよ」
「そうでしょうか……?」
イデアルさまとわたしだけの小さなお茶会。
なんにもない、なんでもない日。どうして今日だったのだろう。前世を思い出すのは、どうしてこの日だったのだろう。
久しぶりのイデアルさまとのお茶会。
少しだけ楽しみにしていた今日だった。
それなのに、嫌なものを思い出してしまった。
イデアルさまの様子を伺うように見つめると、彼は悪戯めいた少年のような顔をしながらわたしの頬を大きな掌で包み込む。
「うん。昨日、少し激しかったかな」
「イデアルさまっ!」
「ふふ、冗談。でも、少し心配だ。少し休んできたらどう?」
小さな軽口も叩けるような仲になった。
多分、これが幸せだと、そう思える時間が増えた。
いつかは終わりが来るのだとしても、その終わりはわたしがもたらすものだと思っていたのに。
「ありがとうございます、イデアルさま」
イデアルさまを愛してしまったことを後悔なんてしたくないのに。
応援ありがとうございます!
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