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席に案内されて座る。メニュー表はないらしく、ショタが頑張って口頭でメニューを言っていた。うんうん、かわいいからまた星一つあげちゃう。
あっ、しまった。ショタかわいいってやりすぎて、メニューの内容が全然頭に入ってこなかったわ。でも、フォンダンショコラがないのはわかったから問題ないわね。
「以上がメニューになります。なにか食べたいものはありますか?」
「あら。フォンダンショコラはないの?」
「ふぉ、ふぉだんしょこら、ですか?」
ふぉだんしょこら! くっ、かわいいからまた星一つあげちゃう!
って、違う違う。そうじゃない。店員がフォンダンショコラを知らないってどういうこと?
「たしかに中身がトロトロのチョコが入ったケーキが出るって聞いたのだけど……」
「あ! 店長が今頑張って作ってるケーキのことですね! それは来週からになります!」
なんですとぅ!
「来週からなの……?」
「ご、ごめんなさいっ! 私、聞き間違いしてたみたいですぅっ!」
「いえ、大丈夫よ。ねぇ、ザッハトルテとかチョコタルトとかはないの?」
フォンダンショコラが来週からなんて……。悲しいけど気を取り直そう。チョコケーキで美味しいものはたくさんあるのよ!
しょぼんとしょぼくれるショタ、じゃなくて店員にそう訊ねると、店員はますます困った顔して涙目になる。
い、いじめてるわけじゃないのに!
「ざっはとる? ちょこたると?」
「さ、三角チョコパイ!」
「さんかくちょこぱい?」
あーーん! 今食べたいものがなーい!
「す、すいません、店長に聞いてきます!」
「あっ……行っちゃった。無理なこと聞いて悪かったわね……」
でもせっかく来たんだし、食べたかったんだもの。
店員がバックへと下がったのを見て、くるっと前を見てギョッとした。マーズからどよーんとした空気が漂ってる。今にもキノコが生えそう。
「ま、マーズ?」
「私のせいでお嬢様に無駄な苦労を……」
「そんなことは思ってない。シャキッとしなさい」
「でもぉ」
「わたくしのメイドでしょ。美しくありなさいな」
「っ、抱いてくださいっ!」
「抱かないわ」
調子が戻るのが早い。チョロい。
マーズの調子を戻すためにぐしゃぐしゃと髪で遊んでると、店員が大人を連れてやってきた。店長かしら。まあまあイケメン。神経質そうなタイプね。メガネが似合いそう。イケメンといっても皇太子ほどじゃない。
私の婚約者は絶世の美男子だもの。勝てるわけがない。
でも日本人顔だからやっぱりあのキモオタと同じで転移者なのかな。どうしよう、あのキモオタと同じでハーレム野郎だったら。そう考えると、マーズを連れてきたのは失敗?
「お客様、店長の鈴木です」
「すずき」
「はい、鈴木です」
完全に日本人だ。
「鈴木、私は今日フォンダンショコラを楽しみに来たの」
「……来週からになります」
「どうしてタルトはないの? ケーキといったらタルトでしょう? パイでも可よ」
「予算の問題です」
「どうしてあんこはないの? 和菓子も食べたい」
「まず小豆をください」
「鈴木、あなたと話したいわ」
「ええ。私もそう思いました」
鈴木とアイコンタクトを取る。うん、仲良くなれそう。
「じゃあ鈴木が仕事を終えるまで待ってるわ。外で待っていたほうがいいでしょ」
「いえ。どうせなのでガトーショコラを食べて行ってください。どうせそろそろ休憩だから、その時に話しましょう」
「わかった。紅茶も楽しみにしてる」
ガトーショコラはお持ち帰りオッケーだったから、食べたことがあるのよね。あれも美味しかった。でも惜しむべきは粉砂糖がかかってなかったことね。ガトーショコラに粉砂糖はないとダメよ。必須必須。砂糖は高いから仕方ないのかもしれないけど。
「うーんっ! お店で食べるガトーショコラのほうがおいし~っ!」
「無邪気に笑うお姉ちゃん特別かわいい……」
訂正しなさい。私はいつでも特別かわいいのよ。
ケーキを味わうようにゆっくりと食べて、紅茶を飲みながら、人がいなくなるのを見つめる。
いい店。こんなにいい店も珍しい。やっぱり日本人のおもてなし根性かしら。尊敬する。私だったら絶対できないもの。
「お待たせしました」
「待ってないわ。お仕事お疲れ様」
「ありがとうございます」
鈴木は律儀にお辞儀をする。ふむ。礼儀正しい。星一つ。
「マーズ。私、この人と少し話すからちょっと違うテーブルにいてもらってもいい?」
「えっ! で、でも、」
「平気よ。なにかあったら呼ぶから」
「……………わかりました」
すごく不満そうなマーズの頭を軽く撫でると、マーズはにやにやと美少女にあるまじき笑みを浮かべた。その笑顔はどうかと思う。いいけど。それでも美少女だからいいけど。
マーズが違うテーブルの席に着いたことを確認して、鈴木を前に座らせる。
「あなたも転移者なんですか?」
「違うわ。転生者」
「なるほど」
も、ってことはこの男は転移者ってことなのか。ちょっと。異世界からの迷子がここにもいるんだけど。
もしかしてだけど、探せば他にもいるんじゃないの? 世界の管理杜撰すぎか。
「敬語使わなくてもいいわよ。今は客としてじゃないし」
「あら、本当?」
「……あなた、そっち系なの?」
「ええ」
神経質メガネ(かけてない)のイケメンがオネエ……。
「ちなみに恋愛対象は……」
「無機物」
「キャラ濃いーむりー」
「やだ、無理なんて言わないでよぉ。久しぶりに元の世界のこと話せてテンション上がってるんだからぁ」
だってせめて男でしょー。恋愛対象男でしょー。なに、無機物って。人ですらないー。こわいわぁ。
「もうほんっと大変だったのよ~! 無一文からここまで来るの!」
「無一文だったの?」
「そうよ! いきなり異世界に放り出されて、しかも子供になってるし! 最初からハードモードよ!」
オネエの成り上がり……。テーブルに肘をついて、ため息を吐く姿は喋らなければイケメン。喋ると残念な感じになる。
「でも、あたしって料理系のチート持ってたらしくって、食べ物には全然困らなかったのよねぇー」
「えー! それはいいな! 私もチート欲しいわ!」
「あら、ないの? 今まで会ったことのある転移者はみんなチート持ってたわよ」
「ないわね。しいていうなら魔力がすごく多いってぐらい。魔法使えないけど」
「最悪じゃない」
「絶望したわ」
キャッキャッと話が弾む弾む弾む。
初めて親友ができました。女子会超楽しい。
あっ、しまった。ショタかわいいってやりすぎて、メニューの内容が全然頭に入ってこなかったわ。でも、フォンダンショコラがないのはわかったから問題ないわね。
「以上がメニューになります。なにか食べたいものはありますか?」
「あら。フォンダンショコラはないの?」
「ふぉ、ふぉだんしょこら、ですか?」
ふぉだんしょこら! くっ、かわいいからまた星一つあげちゃう!
って、違う違う。そうじゃない。店員がフォンダンショコラを知らないってどういうこと?
「たしかに中身がトロトロのチョコが入ったケーキが出るって聞いたのだけど……」
「あ! 店長が今頑張って作ってるケーキのことですね! それは来週からになります!」
なんですとぅ!
「来週からなの……?」
「ご、ごめんなさいっ! 私、聞き間違いしてたみたいですぅっ!」
「いえ、大丈夫よ。ねぇ、ザッハトルテとかチョコタルトとかはないの?」
フォンダンショコラが来週からなんて……。悲しいけど気を取り直そう。チョコケーキで美味しいものはたくさんあるのよ!
しょぼんとしょぼくれるショタ、じゃなくて店員にそう訊ねると、店員はますます困った顔して涙目になる。
い、いじめてるわけじゃないのに!
「ざっはとる? ちょこたると?」
「さ、三角チョコパイ!」
「さんかくちょこぱい?」
あーーん! 今食べたいものがなーい!
「す、すいません、店長に聞いてきます!」
「あっ……行っちゃった。無理なこと聞いて悪かったわね……」
でもせっかく来たんだし、食べたかったんだもの。
店員がバックへと下がったのを見て、くるっと前を見てギョッとした。マーズからどよーんとした空気が漂ってる。今にもキノコが生えそう。
「ま、マーズ?」
「私のせいでお嬢様に無駄な苦労を……」
「そんなことは思ってない。シャキッとしなさい」
「でもぉ」
「わたくしのメイドでしょ。美しくありなさいな」
「っ、抱いてくださいっ!」
「抱かないわ」
調子が戻るのが早い。チョロい。
マーズの調子を戻すためにぐしゃぐしゃと髪で遊んでると、店員が大人を連れてやってきた。店長かしら。まあまあイケメン。神経質そうなタイプね。メガネが似合いそう。イケメンといっても皇太子ほどじゃない。
私の婚約者は絶世の美男子だもの。勝てるわけがない。
でも日本人顔だからやっぱりあのキモオタと同じで転移者なのかな。どうしよう、あのキモオタと同じでハーレム野郎だったら。そう考えると、マーズを連れてきたのは失敗?
「お客様、店長の鈴木です」
「すずき」
「はい、鈴木です」
完全に日本人だ。
「鈴木、私は今日フォンダンショコラを楽しみに来たの」
「……来週からになります」
「どうしてタルトはないの? ケーキといったらタルトでしょう? パイでも可よ」
「予算の問題です」
「どうしてあんこはないの? 和菓子も食べたい」
「まず小豆をください」
「鈴木、あなたと話したいわ」
「ええ。私もそう思いました」
鈴木とアイコンタクトを取る。うん、仲良くなれそう。
「じゃあ鈴木が仕事を終えるまで待ってるわ。外で待っていたほうがいいでしょ」
「いえ。どうせなのでガトーショコラを食べて行ってください。どうせそろそろ休憩だから、その時に話しましょう」
「わかった。紅茶も楽しみにしてる」
ガトーショコラはお持ち帰りオッケーだったから、食べたことがあるのよね。あれも美味しかった。でも惜しむべきは粉砂糖がかかってなかったことね。ガトーショコラに粉砂糖はないとダメよ。必須必須。砂糖は高いから仕方ないのかもしれないけど。
「うーんっ! お店で食べるガトーショコラのほうがおいし~っ!」
「無邪気に笑うお姉ちゃん特別かわいい……」
訂正しなさい。私はいつでも特別かわいいのよ。
ケーキを味わうようにゆっくりと食べて、紅茶を飲みながら、人がいなくなるのを見つめる。
いい店。こんなにいい店も珍しい。やっぱり日本人のおもてなし根性かしら。尊敬する。私だったら絶対できないもの。
「お待たせしました」
「待ってないわ。お仕事お疲れ様」
「ありがとうございます」
鈴木は律儀にお辞儀をする。ふむ。礼儀正しい。星一つ。
「マーズ。私、この人と少し話すからちょっと違うテーブルにいてもらってもいい?」
「えっ! で、でも、」
「平気よ。なにかあったら呼ぶから」
「……………わかりました」
すごく不満そうなマーズの頭を軽く撫でると、マーズはにやにやと美少女にあるまじき笑みを浮かべた。その笑顔はどうかと思う。いいけど。それでも美少女だからいいけど。
マーズが違うテーブルの席に着いたことを確認して、鈴木を前に座らせる。
「あなたも転移者なんですか?」
「違うわ。転生者」
「なるほど」
も、ってことはこの男は転移者ってことなのか。ちょっと。異世界からの迷子がここにもいるんだけど。
もしかしてだけど、探せば他にもいるんじゃないの? 世界の管理杜撰すぎか。
「敬語使わなくてもいいわよ。今は客としてじゃないし」
「あら、本当?」
「……あなた、そっち系なの?」
「ええ」
神経質メガネ(かけてない)のイケメンがオネエ……。
「ちなみに恋愛対象は……」
「無機物」
「キャラ濃いーむりー」
「やだ、無理なんて言わないでよぉ。久しぶりに元の世界のこと話せてテンション上がってるんだからぁ」
だってせめて男でしょー。恋愛対象男でしょー。なに、無機物って。人ですらないー。こわいわぁ。
「もうほんっと大変だったのよ~! 無一文からここまで来るの!」
「無一文だったの?」
「そうよ! いきなり異世界に放り出されて、しかも子供になってるし! 最初からハードモードよ!」
オネエの成り上がり……。テーブルに肘をついて、ため息を吐く姿は喋らなければイケメン。喋ると残念な感じになる。
「でも、あたしって料理系のチート持ってたらしくって、食べ物には全然困らなかったのよねぇー」
「えー! それはいいな! 私もチート欲しいわ!」
「あら、ないの? 今まで会ったことのある転移者はみんなチート持ってたわよ」
「ないわね。しいていうなら魔力がすごく多いってぐらい。魔法使えないけど」
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⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。