めがさめたら、田舎にいた。

ミックスサンド

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黒屋敷とあまいスコーン①

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「あっ!しまった…」


お昼、いつものように
食堂で掃除をしている時だった。


お茶を飲んでいた宅配の『林さん』が声をあげた。

林さんは週に1回、外からの宅配やら、
郵便やらを持ってきてくれるお兄さん。


この村はコンビニとかはもちろんない。
小さいスーパーが一軒だけあるだけなのでみんな頻繁に宅配を利用する。

林さんは
栗色のばさばさした髪をちょこんと後ろにまとめ、宅配の制服に、暑い時は首に白タオルをかけている。

蛙さんと同じ、温厚な性格の持ち主。



「林さんどうしました?」

「実はあのお屋敷に郵便、渡し忘れてさ…」

「お屋敷?」


「山の上にあるだろ。黒い屋根で、西洋式のでかい屋敷。速く次の配達行かなきゃなのに…またあそこまで行くのかぁ」


林さんは「ははは」と渇いた笑い声をもらす。
帽子の下の林さんの額から、大きな汗がつたってるのが見えた。


「……私、届けましょうか?これから暇なんで。」

「えっいいの!?」


そういう経緯で私は、
山の上の黒屋敷に行く事になった。
✴ ✴ ✴





1時間後、私は『山の上の黒屋敷』に着いた。
けど…困った事がある。

このお屋敷、郵便受けがないのだ…!!!

玄関に置いて帰る…いやいや風で飛ばされたら大変だ…

「…………手渡ししかないか」
私は扉の隣の、黒色のチャイムを押した。



ピンポーン
「………。」


ピンポーン
「…。」


ピンポーン ピンポーン








…でてこないっ!

とりあえず扉をドンドン叩くが、一向に人が出てくる気配がない。

なんか借金取りの気持ちになってくるからやめてほしい…!一刻も早くでてきてほしい…!



すると、ドアノブがまわり
ガチャりと音をたてて扉が開いた。

中から出てきたのは、『女性』だった。

腰まである細くて艶のある黒髪。
黒いシャツに、厚手で茶色のジーンズを着ていて、その上からでもモデルのように細いのがわかる。

  (美人だ!!!!!!!!!)

なんかわかんないけどあまりにも美人すぎて照れてきた!自分がこの人の視界に入ってるんだ、と思うだけで顔が赤くなってきた!



「君、熱でもあるのか?」

「えっ!!?」

「顔が真っ赤だぞ。熟した林檎みたいだ。」

『貴方の顔が美人すぎて照れました。』なんていったら性別を超えてのナンパだと思われかねない。

「私めの事は、お、お気になさらず!
これ林さんに頼まれて届けにきた郵便でございます!ど、どうかお受け取りを……!」

稲穂のように頭を垂れて、茶封筒を差し出す。



「君は江戸時代のサムライか?」

「で、では私めはこれにて…!」


そう言って私が後ろをくるりと向くと、その女性が口を開いた。




    「お菓子があるんだ。」




「……はい?」


「海外にいる弟が一箱、送ってくれてね。

なんだったかな、 
『すこーん』とかいったお菓子で、ジャムをつけて紅茶と合わせると大変美味らしい。」


「?
そ、それは美味しそうですね…」


「そうだろう?

でも生憎、賞味期限が近くてね。
どうせなら、誰かと感想でも言い合いながら食したいと思ったんだ。


そう…例えば
林檎みたいに顔を真っ赤にさせて
子犬みたいに髪がふわふわしてる、






   かわいい女の子、とかね。」



そう言ってにこりと微笑まれた。


「…………………………はい?」
ナンパされたのは、どうやら私の方だったらしい。



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