R18BLゲームの序盤で処刑されるモブキャラなのに何故か攻略対象に狙われています。

白井ゆき

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イベント阻止の影響

敵と味方は紙一重1

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「はぁ? 殺していいって言ってただろ」
「言ってないよ! いい感じに助けてくれって言ったんだ!」
「殺せば全部解決だろ」
「別の問題が出てくるだろ!」

 場違いな言い争いを始める2人に頭上がざわつき始める。とっとと助けてほしいところだが、幸い3人とも萎えたようで、僅かに拘束が緩んだのはありがたい。体を引きずり、ヤツらからできるだけ距離を取る。

「何だ、アイツら」
「知らね」
「君の知り合い?」

 僅かに自由を取り戻した体を捩っていると顔を覗きこまれ心臓が跳ねる。正直に答えるべきなのかと目を泳がせていれば、答えを急かすように顎下を撫でられ、息が漏れた。

「ほんと、どこ触っても気持ちよさそうだね」
「ふ、ぅっ……や、めろ……っ!」
「えぇー」

 顎をくすぐりながら少しずつ首を下る手を掴もうと手を伸ばせば、反対に捉えられ、その手の平に性器を押し付けられる。萎えたと思っていたが、握らされたそれは再び硬度を取り戻していて、露が滴る先端を押し付けるように腰を動かすのだ。ぬちゃぬちゃとした感覚と、他人の性器を握らされるという事実に不快感が芽生えた時だ。

 ボン、と空気を叩く音が弾ける。瞬間、性器ごと俺の手を掴むヤツの手が力んだ。

 一体何が起こったのかと顔を上げれば、アンディの全身を覆いパチパチ音を立てるシールドのようなものがあった。
 その向こう側、終始軽薄な笑みを浮かべていた顔に浮かぶ焦りを見た直後、パリンと何かが割れる音がしてヤツが数歩後ずさる。そして。

「ごめん、先逃げるわ!」

 そう言って指を鳴らしたかと思えば、ヤツの全身が竜巻のようなもので覆われ、それが消える頃にはそこには誰もいなかった。「おい、置いて行くなよ!」と非難を飛ばされるアンディという男、その男が立っていたはずの場所をぽかんと見つめていると、見えない何かがめり込んだ他2人の体が壁に叩き付けられる。

「え、あ、魔法……?!」

 だよな、たぶん。
 サーブではないと思う。なんというか、俺とサーブは同じ匂いがするし。だとすれば。

 混乱する頭の中、入り口に立つダリウスを見る。扉の後ろに隠れているサーブからのヤジをだるそうに聞き流すダリウスにが手の平をこちらに向けた。
 その手に集まる金色の光の眩しさに目を細めたのと同時。放たれた空気の爆弾が壁際で凭れこむ男の横すれすれに打ち込まれる。

「っ、ひぃっ!」
「あ、ズレた」

「ま、待て! 返すよ、ソイツ、返すから!」
「あ? 知らねーよ。俺は殺してほしいヤツがいるって聞いただけだって」
「だからそこまで言ってないって! ――あ、おいっ!」

 再び構えたダリウスの腕にサーブがしがみつく。拍子に的がずれ、俺の近くの地面がべこリと凹んだ。

「ぎゃっ! お、お前ら助けに来たんじゃねぇのかよ!」
「コイツに言ってくれよ!」
「テメェが邪魔したんだろ」
「お前が殺そうとするからだろ!」
「うっぜぇ……」
「ほらアンタらも早く逃げて! 死にたいのかよ!」

 ダリウスを止めるサーブ声にハッとした2人は、攻撃された腹を抑え足を引きずりながら教室を出る。その姿に肩を下ろしたサーブとは対照的に、舌を打ったダリウスは「つまんねー」と頭を掻いた。

 これじゃどちらが悪役か分からない。が、これは助かったということでいいのだろうか。

 そもそも、なぜダリウスが助けにきたのか、とか。お前ら知り合いだったのか、とか。疑問はたくさんあるけれど、「モーヴ!」と駆け寄るサーブに体を起こされるとそんなことはどうでもよくなり、途端に安堵した喉から「うぅ」とくぐもった声が洩れる。

「モーヴ! 大丈夫……では、ないな。うん」
「サーブゥ! 何で置いていったんだよぉ……」
「俺じゃどうにもできないと思ったんだよ!」
「お前が見捨てたから、俺、おれ……うぅ」
「うわ、泣くなよ! ごめん、ごめんってば!」
「サーブのばかぁ……」
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