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漆黒の騎士ミラーダ・トミニ

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邪神様の使いの俺は魔界の女にもてたが、すべての魔界の女が最初からそうというわけではなかった。
魔王城へ進軍中、自分の首を左腕に抱えた漆黒の女騎士が、ふと急に俺の前に立った。伯爵を中心とした魔王城奪還軍には様々な魔族が集まっていたので自分の首を抱えたデュラハンを見ても俺は驚きはしなかったが、好意的ではない雰囲気を感じたので俺は触手を威嚇するように逆立てた。
「おやおや、まだ何も口にしておりませんが」
警戒された黒い女騎士が苦笑した。
「剣の束に手をかけておいて、よく言う」
居合抜きでもしそうな雰囲気だった。一瞬の抜刀で触手が切り飛ばされそうな殺意だった。
「俺、あんたに恨まれるようなことしたっけ?」
デュラハンのことはゲームやラノベ等で知っているが、この世界では初対面のはずだし、魔物の味方として頑張っている俺に恨まれる筋合いは何もないはずだ。
「噂の触手様の実力が知りたくて」
腕に抱えられたその美しい顔がにやりと笑う。
なるほど、俺と腕試しがしたいのか。間合いを取って、警戒する。触手で、一気に攻めてて、俺の粘液で虜にしてやろうか、デュラハンの口に触手を突っ込んだら、どこにつながっているのか、興味はある。単純に口から肛門まで触手が届くのか、好奇心がわいていた。
「あら、ミラーダ」
俺とそのデュラハンが対峙していると、その女騎士に気づいた王女が親しげにその黒騎士に駆け寄った。
「王女様」
さっと俺に向けていた殺意を消して、デュラハンはひざを折った。
「お久しぶりです、ご無事でなにより」
ひざを折り、王女の手の甲にキスをした。
「あなたも、この戦いに参加してくださるの?」
「はい、もちろん」
黒騎士は忠義の騎士として力強くうなずいた。
「あら、ミラーダじゃない。今頃参戦?」
空にいた吸血鬼の姫もその黒騎士に気づいて、俺のそばに舞い降りてくる。
「みんな知り合いか?」
「まあね」
「王女の危機に駆けつけてきた騎士ってところか。つまり、本来、助けるなら俺じゃなく自分の役目だった。でも、自分は何もできず、知らない触手野郎に手柄をさらわれて面白くない、だから俺と腕試しか?」
そのデュラハンに確認するように俺は尋ねた。
「へぇ、あんた、彼女に腕試しを申し込まれたの? なら受けたら。触手様の実力みんなに見せるいい機会じゃない」
吸血鬼の姫様は、面白そうという感じで笑っていた。
ここのところ空飛ぶ姫様の活躍で、俺の出番はなかった。
目の前のデュラハンのように新参者が増えている。腕試しをして見せつけるのもありか。
そうして、俺とデュラハンの模擬試合が魔王城を目前にして行われることになった。
立会人は伯爵に任せ、いざ、尋常に勝負となった。
観客となった魔族たちが俺たちを囲み注目していた。
さて、どう攻める。彼女が剣に自信があるのは雰囲気から分かる。実際、魔界でも手練れの方なのだろう。俺の触手は無敵ではない、勇者の仲間の槍使いにだいぶ触手を斬られた。すぐ再生するからと言って、単純に攻めて勝てるとは思えない。ここは野外で天井から奇襲もできない。触手の数を利用するか。俺は切られるのは覚悟の上で、触手を伸ばした。数うちゃ当たる戦法だ。何本斬られても、一本でも彼女にとどけばいいと、触手を一斉に伸ばした。刃がひらめき、一瞬で、何十本かやれた。が、切られきれなかった数本の触手が、彼女の腕に届き、その腕に抱えられていた首をはたき落としその首を触手でつかんで確保して、素早く粘液まみれの触手を強引に口に突っ込み、その口を犯すように強引なイマラチオをしてやった。
「うぶ、ぬぶ、ちゅぶ、うぶ、ぬぶ、ううう、ちゅぶ」
首だけでは抵抗は出来ないようで、どういう理屈か分からないがちゃんとその口は胴体の胃までつながってい俺の触手がぐりぐりとねじりこまれ、首のない胴体が皆の前で恥じらうように悶えていた。
「あぅ、ちゅぶ、ちゅぶ、うぶ、」
口に触手を突っ込まれ、何とも言えない表情を浮かべ、首のない胴体は剣を持ちながらくねくねと悶えていた。
さすがにみなのまえで肛門まで触手を押し込むのはかわいそうと考えて、彼女が頬を赤らめて、首のない胴体がガクンと膝をつくと、口に触手を押し込まれあへ顔をさらすそれを触手で高々とかがて「俺の勝ちだ!」と観戦していた魔族たちに向って大声で叫んだ。
人間の決闘なら卑怯とか物言いがつきそうだが、俺が触手を口から抜き、首を胴体に帰すと、黒騎士は、踵を返して、恥ずかしそうにその場を去っていった。
その後ろ姿を見ると、なんかちょっと可哀そうだったかなと思ってしまったが。魔王城奪還軍の新参者たちに俺の実力を見せるいい機会にはなり、彼女も俺の触手の虜となり、以後、俺に文句をいう者は現れなかった。




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