勇者(ヒーロー)、がんばる

木全伸治

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100人目の勇者

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彼らは、多くの魔物を倒して、魔王城に辿り着き城内に乗り込んだ。
が、彼ら勇者一行が全滅したという報せが、国王の元にもたらされた。
「なんと、情けない、勇者が死んでしまうとは」
勇者たち一行の首が、見せしめのために魔王城の前に並べられたと聞き、国王は失望のため息をこぼしていた。
「はい、魔王城に辿り着いたから、今度こそはと期待しておりましたが、またダメでしたな」
「どうする、大臣?」
「再度、別の勇者を召喚するしかありません。今回は魔王城に辿り着きました。次の者は魔王を倒せるかもしれません」
「うむ、次の者に期待か、そうするしかないか」
大臣の言葉に国王が納得する。
そうして、百人目の勇者が異世界から召喚された。
「俺が、勇者?」
「そうだ、この世界を救えるのは、そなたしかおらん」
「俺が、勇者ねぇ・・・」
「もちろん、魔王を倒したあとの褒美は約束しよう。どうか、この世界を救ってくれ。たのむ、勇者よ」
俺は悩んだが、元の世界に戻る方法を俺は知らないし、勇者とおだてられるのは悪い気はしなかった。自分が100人目だとは知らないまま、魔王に挑み、俺も惨めにやられた。
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