俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香

文字の大きさ
33 / 112

33話 どう言う繋がり?

しおりを挟む
 謎の転移3日目。キッチンママさんとこで全員でコーヒータイムと作戦タイムを兼ねている最中だ。

 子供はミルク、大人はコーヒーをいただきながらさっきの話の続きをする。今度は俺もちゃんと加わっている。(隅っこに)


「水と食糧に困らないなら、もっと人を探した方がいいと思うの」

「うん、空間スキル? 部屋とかキッチンとか、そう言うのが目当てではなくて純粋に孤立している人の救助、かなぁ」

「どんな人が居るのかわからないし怖い面もあるわね」

「だけど、もしかしたらうちの旦那がいるかもしれないし」

「それは、そうね。加瀬兄弟も、弟さんが家に居てお兄さんは外に居たけど直ぐに合流出来たのよね」

「うちは早い時間に家を出ちゃってたからもう会社に着いてただろうし、そう簡単に会える気がしないわ」

「んー、距離とか関係あるかな? 私は埼玉県で加瀬さんの自宅は東京の吉祥寺でしょう?」

「あ、うち、山口なんだけど」

「えっ、山口ってあの山口?」

「どの山口かは知らないけど山口県の山口市よ」

「山口県って九州の」

「ちょっと、失礼ね。九州じゃないわよ、山口は! 本州の広島県の隣よ」

「あ、ごめん。私、地理が苦手で。けど、東京から結構離れてるのに同じ森に?」

「うちは山梨県です。東京、埼玉と割と近い県かしら」

「私は山形県です」


 なんか変な間が落ちた。


「山口、山梨、山形……。山の集まり?」

「東京と埼玉もいるから」

「そっか。……あの、出身地とかに山がついてたりしない?」


 兄貴と顔を見合わせ、首を振る。


「いや、うちは親の親、ジジババの代から吉祥寺だ」

「うちは親の代で埼玉に越してきたって聞いたけど、それ以前は福島だった気がする」

「山繋がりじゃないのかぁ」

「地名はともかく、この近辺の人探しを続行するかどうかよ。幼い子供が居るから危険はなるべく避けたいわ」

「そうねぇ。犯罪者とかを救助しちゃう可能性もあるのよね」

「あの、でも子供連れなら犯罪者の可能性は低いんじゃないでしょうか」

「今どきは虐待親とかも居るから全てが安全とは限らないけどね」

「うん、でも、私は助けてもらって本当に安心出来たし、やっぱり孤立してる親子は助けたいなぁ」

「そしたら親子にタゲ絞って救助活動をしませんか?」


 遭難者が『親子』か『そうでない』かどうやって判別するんだ?

 そうか。
 スキルでなら判別可能だ。絶対ではないが今ここに居る事例から、親子はスキルが『空間』、つまり建物である可能性が高い。つまり人探しと言うより建物を探すのか

 けど、鮎川さんが見た『灯り』は周ってしまった。あとは闇雲に森の中を探索する事になる。


「色々と前途多難だな。助けるなら一刻も早い方がいい。しかし今のスキルで森をどこまで行けるか」

「そうですね。自分達の命をかけてまでしなくちゃいけない事かと言われるとちょっとね」

「目印の灯りを見つけるなら、夜に動いた方がいいのでしょうけど、夜に森に入るなんて死にに行くようなものだし」

「難しいわねぇ…………」

「今はここに居る全員が無事に今後を乗り切る事を考えましょうか? ここにも救助がいつ来てくれるかわからないでしょう?」

「そうですね。どこかに居るのかわからない遭難者まで気にかける余裕は僕らにはありませんね。今は自分のスキルを少しでもあげておきたい」

「そうですね。橘さん、私も一緒に訓練をさせてください」

「もちろん。どうぞ」

「ここまで来た遭難者だけ受け入れるって事でいいかしら」

「はーい」

「賛成」


 うん。それでいいんじゃないかな。
しおりを挟む
感想 66

あなたにおすすめの小説

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

処理中です...