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78話 新事実、続々
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-----(清見視点)----
「ポヨン君、言葉通じますよ」
何気なく言ったひと言が皆の注目を集めてしまった。いや、深い意味じゃなかったんだけど、口から出た言葉は戻せない。
「スライムに言葉が通じる? それは日本語ですか?」
「多分……日本語?」
あれ?待った。確か「モーニン」と挨拶した時も通じた気がする。だってウニョっと腕だかツノだかを伸ばして返事くれたんだからな。それって英語……が通じたって事か?普通に「おはよー」でも同じ動作をしてくれてる。
「おはようでもモーニンでも……」
言葉というか、感覚で理解しているのかな?スライムって頭の良い生物だな。
「あの、はっきりと会話をするわけではない、です。何となくこっちの言う事がわかってるみたいな?」
「なるほど。テイムのスキルは無いと聞きましたが、清見さんだけが出来るワザですか? それともそのスライムだけが特別とかですか?」
えぇー。会ったばかりのよく知らない人にどこまで話していいんだよ。俺もうここから去りたい……。
俯いた俺の前に兄貴と大島氏が立っのがた気配でわかった。
「俺達にもまだ不明な事だらけです。不思議現象に振り回されつつ何とか今まで生きてきましたから」
「そうですよ。それぞれのスキルの使用方法も未だに解明されていませんからね。俺の防御が何で箱型なのかもイマイチわからないですし」
「うんうん。物理攻撃なんて完全に名前倒れですよ。しかも微!微って何だよって思いません?」
「そちらの隊でも物理攻撃スキルを獲られた隊員はおられますよね? 実際にどのように使っておられるのですか?」
うちの隊長も俺のフォローにまわってくれた。よかった。完全に向こう(自衛隊)に取り込まれたかと思った。
向こうも食い気味に質問をしすぎた事に気がついたようで、申し訳なさそうな顔で頭を下げてきた。
「大変申し訳ない。こちらには無かった情報が過多でつい前のめりになってしまいました。清見君にも申し訳ないです」
「あ、いえ……もにょ」
大島氏と兄貴と隊長(うちの)と看護師長がこそっと何かを話してから、隊長が向こうの隊長へと向き直った。
「確率は低いのですがスライムを取り込む方法はあります。スキルには表れていないのでテイムでない事は確かです」
「その方法は……あぁと、我々に教えていただけるものでしょうか?」
「はい。ご説明はいたしますが、この方法は大島君ありきの方法です」
向こうの隊長のみならず、床座りしていた隊員達も大島氏をガン見していた。
「スライムに普通に近づいたら危険です。飛びかかられて溶かされます。けれど大島君の防御の中からなら接近可能です。大島君の箱型の防御の下敷きにする事でスライムの核に可能な限り接近する事になります」
「なるほど。そこで核を攻撃して破壊する、と」
「いえ、核を破壊したらスライムは消滅するので捕獲になりません。餌を与えてから魔力を流す」
「……はっ? 魔力を流す? 魔力を流すとは?」
「それが我々も未だ解明出来ない部分なんです。そもそも人間……地球人には魔力などありませんでしたからね。実は恥ずかしながら私も未だに成功しておりません」
「成功されたのは清見君だけですか?」
あぁやだ。また皆がこっちを見る。
「はぁい! 私、成功しましたぁ」
お茶のおかわりを持ってきたキッチンママさんが長テーブルにお茶の乗ったトレイを置いてから手を挙げた。
「あ、おかわりどうぞ」
「あの、貴方は?」
「避難民のひとりです。私もスライムゲットしましたよ? ふふふ。お話に割って入ってごめんなさい。スライムゲットのやり方を話してましたよね。大島君の防御で潰れた状態のスライムにパンを食べさせてからツンツンしたらゲット出来たんです」
「…………ツンツンしたら?」
「普通に突いたら指を溶かされますから、大島君の防御ギリギリから突くイメージかな。指は触れないけど、指先から何かを出すイメージ」
「それがねぇ、意外と難しくて成功者が少ないんですよ。げんに防御スキルの持ち主である俺も失敗に終わってます」
「自分もできませんでした」
「俺もダメでしたね」
「成功したのって今のところ空間スキル持ちだけですね。空間スキルの機能のひとつなのかな」
向こうの隊長や隊員達はかなりガッカリしていた。向こうには空間スキル持ちが居ない、いや、居たけどおそらくもう消えているはずだ。
建物を置き去りで避難したと言ってたからな。
向こうの隊長が急に顔を上げた。
「あの! と言う事はスライム保持者は複数いらっしゃるんですか? 清見君とそちらの女性以外も?」
うちの隊長がキチママさんにスライム持ちを呼んできてほしいと頼んだ。もちろんスライム持参だ。
待つ事5分で全員集合した。
呼ばれて集まったのは、キッチンママ、トイレママ、風呂ママ、機内ママ、園長さんの5名だ。
それぞれ、スライムを腕に抱いている。色は少しずつ異なっている。
「うちのルンヴァ君でぇす」
キチママさんがルンヴァ君を持ち上げて紹介した。
「うちのバブル君。可愛いでしょぉ」
トイレママさんだ。
「バスグリンちゃんです。綺麗な薄いグリーンが特徴です」
風呂ママさんとこだ。
「うちの子はダイソオンです。とっても綺麗好きの子です」
うん、機内ママさん。
「キレキレイ君。保育園の人気者なの」
園長先生だ。
しかし、何だろう、気のせいかな。どの子も名前が掃除関係っぽくないか? まさか家族とかペットではなく掃除専用家政婦に…………。
俺はポヨン君を撫でた。大丈夫だ、ポヨン君に掃除なんてさせないからな。兄貴と裕理君とポヨン君と俺は家族だからな!
俺が心の中で熱く誓っていると、皆がゾロゾロと歩き出す。兄貴は残るみたいなので聞いてみた。
「看護師長がまだゲットしていないだろ? それで今から試すから自衛隊の人達も見学するんだと」
ああ、なるほど。看護師長さんはスライムゲットに失敗していたのではなく、単に忙しくて試してなかっただけだ。
大島氏を連れて彼らが森へと去った後、ママさん達が悩んでいた。
「これ片付けていいのかしら。あの人達って戻ってくるの?」
「今夜はこちらに泊まるのかしらね」
「それなら寝場所も用意しないといけないわね、隊長さんも指示してから出かけて欲しかったわ」
ひとまず俺は押入れ戻った。
翌日、産院でスライムを見かけた。看護師長もゲットに成功したようだった。
男達は萎れていたところを見ると、自衛隊員達も試したが失敗に終わったのだろう。
「ポヨン君、言葉通じますよ」
何気なく言ったひと言が皆の注目を集めてしまった。いや、深い意味じゃなかったんだけど、口から出た言葉は戻せない。
「スライムに言葉が通じる? それは日本語ですか?」
「多分……日本語?」
あれ?待った。確か「モーニン」と挨拶した時も通じた気がする。だってウニョっと腕だかツノだかを伸ばして返事くれたんだからな。それって英語……が通じたって事か?普通に「おはよー」でも同じ動作をしてくれてる。
「おはようでもモーニンでも……」
言葉というか、感覚で理解しているのかな?スライムって頭の良い生物だな。
「あの、はっきりと会話をするわけではない、です。何となくこっちの言う事がわかってるみたいな?」
「なるほど。テイムのスキルは無いと聞きましたが、清見さんだけが出来るワザですか? それともそのスライムだけが特別とかですか?」
えぇー。会ったばかりのよく知らない人にどこまで話していいんだよ。俺もうここから去りたい……。
俯いた俺の前に兄貴と大島氏が立っのがた気配でわかった。
「俺達にもまだ不明な事だらけです。不思議現象に振り回されつつ何とか今まで生きてきましたから」
「そうですよ。それぞれのスキルの使用方法も未だに解明されていませんからね。俺の防御が何で箱型なのかもイマイチわからないですし」
「うんうん。物理攻撃なんて完全に名前倒れですよ。しかも微!微って何だよって思いません?」
「そちらの隊でも物理攻撃スキルを獲られた隊員はおられますよね? 実際にどのように使っておられるのですか?」
うちの隊長も俺のフォローにまわってくれた。よかった。完全に向こう(自衛隊)に取り込まれたかと思った。
向こうも食い気味に質問をしすぎた事に気がついたようで、申し訳なさそうな顔で頭を下げてきた。
「大変申し訳ない。こちらには無かった情報が過多でつい前のめりになってしまいました。清見君にも申し訳ないです」
「あ、いえ……もにょ」
大島氏と兄貴と隊長(うちの)と看護師長がこそっと何かを話してから、隊長が向こうの隊長へと向き直った。
「確率は低いのですがスライムを取り込む方法はあります。スキルには表れていないのでテイムでない事は確かです」
「その方法は……あぁと、我々に教えていただけるものでしょうか?」
「はい。ご説明はいたしますが、この方法は大島君ありきの方法です」
向こうの隊長のみならず、床座りしていた隊員達も大島氏をガン見していた。
「スライムに普通に近づいたら危険です。飛びかかられて溶かされます。けれど大島君の防御の中からなら接近可能です。大島君の箱型の防御の下敷きにする事でスライムの核に可能な限り接近する事になります」
「なるほど。そこで核を攻撃して破壊する、と」
「いえ、核を破壊したらスライムは消滅するので捕獲になりません。餌を与えてから魔力を流す」
「……はっ? 魔力を流す? 魔力を流すとは?」
「それが我々も未だ解明出来ない部分なんです。そもそも人間……地球人には魔力などありませんでしたからね。実は恥ずかしながら私も未だに成功しておりません」
「成功されたのは清見君だけですか?」
あぁやだ。また皆がこっちを見る。
「はぁい! 私、成功しましたぁ」
お茶のおかわりを持ってきたキッチンママさんが長テーブルにお茶の乗ったトレイを置いてから手を挙げた。
「あ、おかわりどうぞ」
「あの、貴方は?」
「避難民のひとりです。私もスライムゲットしましたよ? ふふふ。お話に割って入ってごめんなさい。スライムゲットのやり方を話してましたよね。大島君の防御で潰れた状態のスライムにパンを食べさせてからツンツンしたらゲット出来たんです」
「…………ツンツンしたら?」
「普通に突いたら指を溶かされますから、大島君の防御ギリギリから突くイメージかな。指は触れないけど、指先から何かを出すイメージ」
「それがねぇ、意外と難しくて成功者が少ないんですよ。げんに防御スキルの持ち主である俺も失敗に終わってます」
「自分もできませんでした」
「俺もダメでしたね」
「成功したのって今のところ空間スキル持ちだけですね。空間スキルの機能のひとつなのかな」
向こうの隊長や隊員達はかなりガッカリしていた。向こうには空間スキル持ちが居ない、いや、居たけどおそらくもう消えているはずだ。
建物を置き去りで避難したと言ってたからな。
向こうの隊長が急に顔を上げた。
「あの! と言う事はスライム保持者は複数いらっしゃるんですか? 清見君とそちらの女性以外も?」
うちの隊長がキチママさんにスライム持ちを呼んできてほしいと頼んだ。もちろんスライム持参だ。
待つ事5分で全員集合した。
呼ばれて集まったのは、キッチンママ、トイレママ、風呂ママ、機内ママ、園長さんの5名だ。
それぞれ、スライムを腕に抱いている。色は少しずつ異なっている。
「うちのルンヴァ君でぇす」
キチママさんがルンヴァ君を持ち上げて紹介した。
「うちのバブル君。可愛いでしょぉ」
トイレママさんだ。
「バスグリンちゃんです。綺麗な薄いグリーンが特徴です」
風呂ママさんとこだ。
「うちの子はダイソオンです。とっても綺麗好きの子です」
うん、機内ママさん。
「キレキレイ君。保育園の人気者なの」
園長先生だ。
しかし、何だろう、気のせいかな。どの子も名前が掃除関係っぽくないか? まさか家族とかペットではなく掃除専用家政婦に…………。
俺はポヨン君を撫でた。大丈夫だ、ポヨン君に掃除なんてさせないからな。兄貴と裕理君とポヨン君と俺は家族だからな!
俺が心の中で熱く誓っていると、皆がゾロゾロと歩き出す。兄貴は残るみたいなので聞いてみた。
「看護師長がまだゲットしていないだろ? それで今から試すから自衛隊の人達も見学するんだと」
ああ、なるほど。看護師長さんはスライムゲットに失敗していたのではなく、単に忙しくて試してなかっただけだ。
大島氏を連れて彼らが森へと去った後、ママさん達が悩んでいた。
「これ片付けていいのかしら。あの人達って戻ってくるの?」
「今夜はこちらに泊まるのかしらね」
「それなら寝場所も用意しないといけないわね、隊長さんも指示してから出かけて欲しかったわ」
ひとまず俺は押入れ戻った。
翌日、産院でスライムを見かけた。看護師長もゲットに成功したようだった。
男達は萎れていたところを見ると、自衛隊員達も試したが失敗に終わったのだろう。
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
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小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
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