258 / 299
258話 アジト⑤
しおりを挟む
「まずは検証に行きませんか? 椿大神社へ」
ゆうごのひと言で皆が椿大神社へと飛んだ。
「俺は岡山拠点をしばらくは動かない予定だ。いずれは北海道へ来たいと思っているが、今は動けない」
「そうだな。ゴンちゃんはあっちに家族や親戚が居るからな。でも来たくなったらいつでも来てくれ」
「ありがとう、カオるん。タウさん、まずは俺が岡山の拠点を登録してみていいですか? アジト認定がカオるんだけなのか誰でも出来るのか」
「はい、お願いします」
タウさんがゴンちゃんに向かってそう言うと、ゴンちゃんは早速手を合わせていのっていた。
そして皆が見守る中、笑顔で振り返った。
「アジト登録出来ました。向こうに居た血盟員にもアナウンスがあったと念話が来ました」
「そうですか、ありがとうございます」
「一応、自分はこれで岡山へ戻ります。何かあったらまた知らせてください。お願いします。ありがとうございました」
「ゴンちゃん、ありがとな」
「こっちこそ、カオるん、またな」
そう言ってゴンちゃんは帰っていった。
「さて、どうしましょうか」
「どうするって、アジトの検証だろ?」
「そうですが、問題は登録したアジトの変更が可能かどうかです。アジト認定が出来ただけでも奇跡であるのに、その上変更が出来るかどうか」
「そうだぞ? 出来なかったら俺らが大雪山に集まったのにカオるんだけ苫小牧から動けないって意味ない結果になるからな」
「そうか………、あぁぁ! そう言えば、異世界での話なんだが、ナヒョウエの店長を辞めたら2度と登録出来なかった。そうだ、思い出した」
「うわぁ、今ここで思い出すか」
「でも神様の御業ですから、それもありえますよね」
皆の無言が続く。
「じゃあ、私がやってみるね。別に札幌に未練は無いから、大雪山で登録してから札幌に再登録出来るか」
「アネさん……」
流石だ、アネよ。漢っぷり……は怒られそうだ。何っぷりだ?アネっぷりか?きっぷがよい。
アネがパンパン手を叩き目瞑っていた。と思ったら目を開けて振り返った。
「あ、大雪山のどこにしようか? 取り消し出来なかった場合を考えると大雪山全部を『王家』が乗っ取るののもね。タウさん、どこにしたら良いの?」
「では、大雪山拠点の東棟1階にしてみてください」
「わかったー」
前を向いたと思いきや、すぐに振り返った。
「出来たー。大雪山拠点東棟1階で出来たわよ」
「おお!」
「凄いな、分割可能なんだ」
「おおぅ」
「アネさん、アジト帰還スクロールをお持ちですよね。飛んでみていただけますか? 飛べたらまたこちらへ戻ってください」
シュっと消えたと思ったアネが後ろの鳥居の方から走ってきた。そうか、ブックマークが鳥居前だからな。
「はぁはぁ。出来たわよ。大雪山の東棟の一階入口だった」
「ありがとうございます。息が整ったら札幌拠点へアジトの変更が可能か、お願いします」
「はーい」
俺はアネの後ろからヒールをかけた。ヒールで息切れが治ればいい。
アネはまたパンパンと手を合わせていた。
少し時間がかかってるようだ……、やはり変更は不可能なのだろうか。振り返った時には眉間に皺を寄せていた。
「出来たわよ。王家の派遣は現在、札幌拠点がアジトになったわ。血盟員からの問い合わせが多くて辟易したわ」
そりゃそうだろう。札幌拠点に居た血盟員にしたら、いきなり大雪山がアジトになったアナウンスだ。
そこで驚いている最中に、札幌がアジトなったアナウンスだ。
「そっか、変更は出来たのか」
嬉しそうに頷くゆうごに申し訳ないが、さっきの異世界のナヒョウエの話を再びした。
「待った。ナヒョウエも店長にはなれなかったが、一度は店員として戻れたんだ。しかし店員を辞めたら2度目はなかった。つまり俺はその後ナヒョウエ無職になったんだ」
タウさんらの視線は俺の話を聞くなり、アネに集中した。
「ええー、もう一度変更するのぉ? 面倒いなぁ、変更がじゃなくて血盟員への説明が面倒」
「あ、じゃあ今度は俺がやるわ。2度目が無い場合を考えて最後は大雪山に着地したいから、まずは富良野で登録、そして大雪山へ変更、そしてまた富良野か」
「あ、でもミレさん、もしも3度目が成功した場合は富良野になります。それこそ4度目は無い可能性があります」
「だよなぁ、コロコロ変えたら神様だっていい加減怒るぞ?」
「うーん、まぁ、富良野で終わったら、俺は『埼玉の砂漠』を抜ける。そもそも出身も埼玉だったわけじゃないしな。そんでカオるんとこなりタウさんとになりに入れてくれ。芽依と真琴込みで」
「そ……うですね。そろそろ色々と考え直したりが必要になってきているのかもしれません。それはその時で。それと血盟員に検証中の旨を念話しておいた方がいいです」
「だな、個々に問い合わせ対応とか面倒くさいからな」
「そうよ! 大変だったのよ!」
そしてミレさんが手を合わせて拝んだ。
「富良野アジト成功した。ちょっと飛ぶ」
消えた後、鳥居の方から走って戻ってきた。ヒールをかけた。
「大雪山に変更された。ここまではアネと一緒だな。飛ばずにこのまま続けるぞ」
前を向いたミレさんに、ブレスドアーマーとブレスドウエポンをかけた。別に装備や武器を祝福したわけではないが、単なる願掛けだ。
皆が見守る中、パンパンと手を叩き拝むミレさん。
「あー……、成功と言うべきか、富良野になった…………、次は4度目か」
ミレさんは4度目の検証をしようと前を向いた時、慌てて止めた。
「待った、待って。ミレさんが成功するように祈る」
そう言って俺はミレさんに並んでパンパンした。ミレさんの願いが叶いますように。俺が祈ったからといってどうにかなるもんではないが、気がつくと皆が手を合わせていた。
そして、ミレさんがパンパンと手を打った。
「…………出来た。4度目も成功だ。埼玉の砂漠の拠点は大雪山拠点東棟1階になった」
「ありがとうございます。ミレさん、そしてお疲れ様でした、皆さん。一旦引き上げましょう。拠点のアジトをどうするかの話し合いをしましょう」
俺らは大雪山本部へと引き上げた。
--------------
そこで改めて、血盟アジトの話し合いをした。
「ゴンザレスさんの猫の止まり木はアジトが岡山で。アネさんはどうしますか?大雪山に移しますか?」
「私は札幌のままでいいわ。今のところ問題はないし、今までどおり呼び出しがあれば私が大雪山へ行く。テレポートリングもあるから」
「わかりました。他の方はアジトの場所についてどうお考えでしょうか、ご意見をいただけますか」
「俺はさっきも言ったし、富良野に思い入れはない。このまま大雪山がアジトでいいぞ。あ、東棟1階を取っちまったが」
「ええ、アネさんが放棄した後、アジト再登録が出来るか試していただいたんですよね。ありがとうございます」
「うちも旭川から大雪山に移るのに問題はないです。だた、血盟員全員がアジト帰還スクを使った場合、旭川が空っぽになるのが気になります。かと言って、他の血盟に渡すのも……」
「ええ、私もです。小樽から移るとしても血盟員の半分は小樽に残したいですね」
「それだとアジト帰還スクの意味がなくねぇか?」
「そうなんですが、アジト帰還スクはあくまでも『非常事態の移動』のみの使用とさせていただこうと考えています」
「どっちにしても、無くなる一方のアイテムですからね」
そう、ゆうごの言う通りだ。いくら現在結構な枚数があるとしても結局ゲームのように皆で頻繁に使っていたら無くなるのは目に見えている。
やはり、いざと言う時用の『お守り』みたいなもんだな。
「ゆうご君はどうしますか? アジトを大雪山にしますか?それとも函館に?」
「悩んでいます。アジト帰還スクロールもテレポートスクロールもふんだんに入手可能なら、アジトを大雪山にして函館に通うイメージなんですが……。いざと言う時だけなら今は函館をアジトにしたいです」
「そうですか。わかりました。それと今回の件はもう色々なところへ情報は流れています。自衛隊は勿論。もしかすると海外へも」
「だよなー。血盟員全員へアナウンスがあるならそこから流れるよな」
「濱家さんから念話が来ました。流石は自衛隊、動きが早いです。アジトの検証を次々と行なっているようです」
「そっかぁ。でもあっちのやつらってアジトスク持ってるんか?あ、ハマヤン達が持ってるか。LAFやってた奴は持ってるよな。しかも高レベルだ。アジトが無いわけがない」
「幾つか面白い検証結果が出たようです。まずはリアルステータスが無い者はアジト認定は無理なようです。それ以前に椿大神社に辿り着けないケースも多いようです」
「流石自衛隊、人海戦術で検証が出来て羨ましい」
「それからやはり占有権が発生しているようですが、条件は不明との事です」
「占有権?」
「はい、先に登録した血盟が居る場合、同じ場所でもアジト登録は出来なかったそうです。それ以前にその地と全くの無関係だった者には登録が出来なかったそうです」
「そりゃそうだろ? ゲームだってアジト登録にはそれなりの資金が必要となるんだぜ? 今の世の中で通りがかりの誰でもしかも無料で登録出来たらおかしいぜ」
「つまり?」
「その駐屯地に無関係の自衛隊員がアジト登録をしようとしても出来なかったそうです。勿論リアルステータス持ちでした。その駐屯地の自衛官によりアジト登録は出来たそうです」
「つまりな、通りがかりでその辺の家に入って、そこをアジトにしようとしても、たぶん出来ないって事だ」
「リアルステータスの有無以外に土地の所有者、建物に住んでいたなどの何かしたの占有条件があるのでしょうね」
え………、そしたら俺、大雪山のアジト登録出来ないんじゃないか?そもそも拠点を建てたのもタウさんやカンさんだし、あそこで寝泊まりは殆どしていない。
「アネさんが出来たんだから大丈夫だろ? 俺たち、定期的に会議とかしてるしな」
その日の会議で、アネさんは札幌、ゆうごは函館、ゴンちゃんは岡山の現拠点をアジトに、タウさん、ミレさん、カンさん、俺の4拠点が大雪山へアジトを設定することに決まった。
大雪山拠点東棟1階がミレさん。
大雪山拠点北棟1階がタウさん。
大雪山拠点西棟1階がカンさん。
大雪山拠点南棟1階は、現在大雪山で作業をしている養老の砂漠にアジトを勧めた。
では、俺、ハケンの砂漠は?
そう、うちは血盟員やそれに関わる身内も多いので、大雪山拠点の東西南北の4棟の地下1階を通路で繋げてもらい、地下一階の全てを拠点にする事になった。
一旦、解散して各拠点の血盟員にこの事を伝えてから、再度集まって椿大神社へとアジト登録に向かった。
登録が済むとまた解散で、今度は其々が引越しての準備を行う。完全な引越してではないので、持っていく荷物、置いておく荷物の選別。
大雪山に移動するメンバー、残るメンバーの選別や色々な決め事などがあり、大忙しだ。
来月の千歳イベントまでには落ち着いた状態なっていたい。
とは言え、拠点内でもアジト登録や引っ越しの話であちこちが盛り上がっていた。食堂もいつもの3倍は騒がしかったし、俺らをチラチラ見る人も多かった。
実はタウさんと自衛隊の話し合いで、大雪山拠点に移った俺らの元の拠点、苫小牧、小樽、旭川、富良野が、紛れ込んでいた外国のスパイに盗られないように、一旦は自衛隊の血盟にアジト登録で押さえてもらった。
勿論、千歳、稚内も自衛隊の血盟アジトになっている。
苫小牧はサンちゃんの血盟だそうだ。サンちゃんは前の血盟は脱退していて、今はハマヤンやフジや他の仲間と血盟を作り、盟主はハマヤンだそうだ。
自衛隊は過去に3人を分けた。今も分けたがっているが、そこは将軍に相談して何とか一緒にしてもらったそうだ。
そして苫小牧をアジトにしてくれた。
「いやぁ、海自の奴らが苫小牧アジトを狙ってる話を聞いてさ、うちの血盟に入りたがって大変だったよ」
ハマヤンが笑いとばしていた。そうか、ハマヤン達は陸自……だったか?
タウさんが持ってた小樽も港型拠点だったよな。それでなのか海自の血盟がアジトを押さえたらしい。
旭川は元から空港が整っていたらしく空自がアジトをゲットしたらしい。富良野は陸自が取った。
いや、あの、うちらが造った拠点だからね。いずれ返してね?って俺が造ったわけじゃないからどうこう言えない。
「トマコの子供達はこのまま地下2階か」
「連れて行くのは逆に大変ですよ。保母さん保父さんらがこの近所から通いの人も多いですから」
「だよなぁ」
「大雪山は北海道のど真ん中ですよ、船はどうします?」
「持って行っても出す場所が無いですね」
「スワンは持ってくけど、他はトマコの湾内に置いておくしかないなぁ」
「フェリーは幾つか持っていきましょうよ、この先も使いますよ」
「血盟員をどう配分するか、ですね」
食事をしながらも話は止まらない。
引っ越しは決まった後が大変なんだよな。まぁ、電気やガス、水道を止めたりする手間はないけどな。住所変更に必要もない。ないよな???
今回はちゃんと引っ越しのハガキ……じゃなかった、引っ越しの連絡を雪姉さんや政治叔父さんにもした。
と言うか、雪姉さん一家も一緒に大雪山に引っ越すし、政治叔父さんは元から大雪山に居た。養老の砂漠に入ってるからな。良治達一家も大雪山に引っ越しだ。
「とりあえず食事を終えたら本部ルームへ集まってください」
「デザートはそちらで食べましょうか。ここより静かでゆっくり話せますよ」
キヨカがマルクを連れて食堂のデザートコーナーへと向かった。今日のデザートは何だろう。気になる。
こんな災害が来なければ今頃世間ではクリスマスに向かってまっしぐらだったんだよな。
…………まぁ、俺には毎年、無縁だったが。ムゥナでは楽しかった。マルクにはあっちと遜色がないクリスマスを味わってもらいたかったな。あとで春ちゃんとキヨカに相談しよう。
いや、2人も大忙しか。俺が不甲斐ない血盟主だからな。
用意して本部ルームでデザートを食べ始めた時だ。
タウさんから緊急招集がかかった。
何だ、どうした? アジト登録で何か問題でも発生したか?
ゆうごのひと言で皆が椿大神社へと飛んだ。
「俺は岡山拠点をしばらくは動かない予定だ。いずれは北海道へ来たいと思っているが、今は動けない」
「そうだな。ゴンちゃんはあっちに家族や親戚が居るからな。でも来たくなったらいつでも来てくれ」
「ありがとう、カオるん。タウさん、まずは俺が岡山の拠点を登録してみていいですか? アジト認定がカオるんだけなのか誰でも出来るのか」
「はい、お願いします」
タウさんがゴンちゃんに向かってそう言うと、ゴンちゃんは早速手を合わせていのっていた。
そして皆が見守る中、笑顔で振り返った。
「アジト登録出来ました。向こうに居た血盟員にもアナウンスがあったと念話が来ました」
「そうですか、ありがとうございます」
「一応、自分はこれで岡山へ戻ります。何かあったらまた知らせてください。お願いします。ありがとうございました」
「ゴンちゃん、ありがとな」
「こっちこそ、カオるん、またな」
そう言ってゴンちゃんは帰っていった。
「さて、どうしましょうか」
「どうするって、アジトの検証だろ?」
「そうですが、問題は登録したアジトの変更が可能かどうかです。アジト認定が出来ただけでも奇跡であるのに、その上変更が出来るかどうか」
「そうだぞ? 出来なかったら俺らが大雪山に集まったのにカオるんだけ苫小牧から動けないって意味ない結果になるからな」
「そうか………、あぁぁ! そう言えば、異世界での話なんだが、ナヒョウエの店長を辞めたら2度と登録出来なかった。そうだ、思い出した」
「うわぁ、今ここで思い出すか」
「でも神様の御業ですから、それもありえますよね」
皆の無言が続く。
「じゃあ、私がやってみるね。別に札幌に未練は無いから、大雪山で登録してから札幌に再登録出来るか」
「アネさん……」
流石だ、アネよ。漢っぷり……は怒られそうだ。何っぷりだ?アネっぷりか?きっぷがよい。
アネがパンパン手を叩き目瞑っていた。と思ったら目を開けて振り返った。
「あ、大雪山のどこにしようか? 取り消し出来なかった場合を考えると大雪山全部を『王家』が乗っ取るののもね。タウさん、どこにしたら良いの?」
「では、大雪山拠点の東棟1階にしてみてください」
「わかったー」
前を向いたと思いきや、すぐに振り返った。
「出来たー。大雪山拠点東棟1階で出来たわよ」
「おお!」
「凄いな、分割可能なんだ」
「おおぅ」
「アネさん、アジト帰還スクロールをお持ちですよね。飛んでみていただけますか? 飛べたらまたこちらへ戻ってください」
シュっと消えたと思ったアネが後ろの鳥居の方から走ってきた。そうか、ブックマークが鳥居前だからな。
「はぁはぁ。出来たわよ。大雪山の東棟の一階入口だった」
「ありがとうございます。息が整ったら札幌拠点へアジトの変更が可能か、お願いします」
「はーい」
俺はアネの後ろからヒールをかけた。ヒールで息切れが治ればいい。
アネはまたパンパンと手を合わせていた。
少し時間がかかってるようだ……、やはり変更は不可能なのだろうか。振り返った時には眉間に皺を寄せていた。
「出来たわよ。王家の派遣は現在、札幌拠点がアジトになったわ。血盟員からの問い合わせが多くて辟易したわ」
そりゃそうだろう。札幌拠点に居た血盟員にしたら、いきなり大雪山がアジトになったアナウンスだ。
そこで驚いている最中に、札幌がアジトなったアナウンスだ。
「そっか、変更は出来たのか」
嬉しそうに頷くゆうごに申し訳ないが、さっきの異世界のナヒョウエの話を再びした。
「待った。ナヒョウエも店長にはなれなかったが、一度は店員として戻れたんだ。しかし店員を辞めたら2度目はなかった。つまり俺はその後ナヒョウエ無職になったんだ」
タウさんらの視線は俺の話を聞くなり、アネに集中した。
「ええー、もう一度変更するのぉ? 面倒いなぁ、変更がじゃなくて血盟員への説明が面倒」
「あ、じゃあ今度は俺がやるわ。2度目が無い場合を考えて最後は大雪山に着地したいから、まずは富良野で登録、そして大雪山へ変更、そしてまた富良野か」
「あ、でもミレさん、もしも3度目が成功した場合は富良野になります。それこそ4度目は無い可能性があります」
「だよなぁ、コロコロ変えたら神様だっていい加減怒るぞ?」
「うーん、まぁ、富良野で終わったら、俺は『埼玉の砂漠』を抜ける。そもそも出身も埼玉だったわけじゃないしな。そんでカオるんとこなりタウさんとになりに入れてくれ。芽依と真琴込みで」
「そ……うですね。そろそろ色々と考え直したりが必要になってきているのかもしれません。それはその時で。それと血盟員に検証中の旨を念話しておいた方がいいです」
「だな、個々に問い合わせ対応とか面倒くさいからな」
「そうよ! 大変だったのよ!」
そしてミレさんが手を合わせて拝んだ。
「富良野アジト成功した。ちょっと飛ぶ」
消えた後、鳥居の方から走って戻ってきた。ヒールをかけた。
「大雪山に変更された。ここまではアネと一緒だな。飛ばずにこのまま続けるぞ」
前を向いたミレさんに、ブレスドアーマーとブレスドウエポンをかけた。別に装備や武器を祝福したわけではないが、単なる願掛けだ。
皆が見守る中、パンパンと手を叩き拝むミレさん。
「あー……、成功と言うべきか、富良野になった…………、次は4度目か」
ミレさんは4度目の検証をしようと前を向いた時、慌てて止めた。
「待った、待って。ミレさんが成功するように祈る」
そう言って俺はミレさんに並んでパンパンした。ミレさんの願いが叶いますように。俺が祈ったからといってどうにかなるもんではないが、気がつくと皆が手を合わせていた。
そして、ミレさんがパンパンと手を打った。
「…………出来た。4度目も成功だ。埼玉の砂漠の拠点は大雪山拠点東棟1階になった」
「ありがとうございます。ミレさん、そしてお疲れ様でした、皆さん。一旦引き上げましょう。拠点のアジトをどうするかの話し合いをしましょう」
俺らは大雪山本部へと引き上げた。
--------------
そこで改めて、血盟アジトの話し合いをした。
「ゴンザレスさんの猫の止まり木はアジトが岡山で。アネさんはどうしますか?大雪山に移しますか?」
「私は札幌のままでいいわ。今のところ問題はないし、今までどおり呼び出しがあれば私が大雪山へ行く。テレポートリングもあるから」
「わかりました。他の方はアジトの場所についてどうお考えでしょうか、ご意見をいただけますか」
「俺はさっきも言ったし、富良野に思い入れはない。このまま大雪山がアジトでいいぞ。あ、東棟1階を取っちまったが」
「ええ、アネさんが放棄した後、アジト再登録が出来るか試していただいたんですよね。ありがとうございます」
「うちも旭川から大雪山に移るのに問題はないです。だた、血盟員全員がアジト帰還スクを使った場合、旭川が空っぽになるのが気になります。かと言って、他の血盟に渡すのも……」
「ええ、私もです。小樽から移るとしても血盟員の半分は小樽に残したいですね」
「それだとアジト帰還スクの意味がなくねぇか?」
「そうなんですが、アジト帰還スクはあくまでも『非常事態の移動』のみの使用とさせていただこうと考えています」
「どっちにしても、無くなる一方のアイテムですからね」
そう、ゆうごの言う通りだ。いくら現在結構な枚数があるとしても結局ゲームのように皆で頻繁に使っていたら無くなるのは目に見えている。
やはり、いざと言う時用の『お守り』みたいなもんだな。
「ゆうご君はどうしますか? アジトを大雪山にしますか?それとも函館に?」
「悩んでいます。アジト帰還スクロールもテレポートスクロールもふんだんに入手可能なら、アジトを大雪山にして函館に通うイメージなんですが……。いざと言う時だけなら今は函館をアジトにしたいです」
「そうですか。わかりました。それと今回の件はもう色々なところへ情報は流れています。自衛隊は勿論。もしかすると海外へも」
「だよなー。血盟員全員へアナウンスがあるならそこから流れるよな」
「濱家さんから念話が来ました。流石は自衛隊、動きが早いです。アジトの検証を次々と行なっているようです」
「そっかぁ。でもあっちのやつらってアジトスク持ってるんか?あ、ハマヤン達が持ってるか。LAFやってた奴は持ってるよな。しかも高レベルだ。アジトが無いわけがない」
「幾つか面白い検証結果が出たようです。まずはリアルステータスが無い者はアジト認定は無理なようです。それ以前に椿大神社に辿り着けないケースも多いようです」
「流石自衛隊、人海戦術で検証が出来て羨ましい」
「それからやはり占有権が発生しているようですが、条件は不明との事です」
「占有権?」
「はい、先に登録した血盟が居る場合、同じ場所でもアジト登録は出来なかったそうです。それ以前にその地と全くの無関係だった者には登録が出来なかったそうです」
「そりゃそうだろ? ゲームだってアジト登録にはそれなりの資金が必要となるんだぜ? 今の世の中で通りがかりの誰でもしかも無料で登録出来たらおかしいぜ」
「つまり?」
「その駐屯地に無関係の自衛隊員がアジト登録をしようとしても出来なかったそうです。勿論リアルステータス持ちでした。その駐屯地の自衛官によりアジト登録は出来たそうです」
「つまりな、通りがかりでその辺の家に入って、そこをアジトにしようとしても、たぶん出来ないって事だ」
「リアルステータスの有無以外に土地の所有者、建物に住んでいたなどの何かしたの占有条件があるのでしょうね」
え………、そしたら俺、大雪山のアジト登録出来ないんじゃないか?そもそも拠点を建てたのもタウさんやカンさんだし、あそこで寝泊まりは殆どしていない。
「アネさんが出来たんだから大丈夫だろ? 俺たち、定期的に会議とかしてるしな」
その日の会議で、アネさんは札幌、ゆうごは函館、ゴンちゃんは岡山の現拠点をアジトに、タウさん、ミレさん、カンさん、俺の4拠点が大雪山へアジトを設定することに決まった。
大雪山拠点東棟1階がミレさん。
大雪山拠点北棟1階がタウさん。
大雪山拠点西棟1階がカンさん。
大雪山拠点南棟1階は、現在大雪山で作業をしている養老の砂漠にアジトを勧めた。
では、俺、ハケンの砂漠は?
そう、うちは血盟員やそれに関わる身内も多いので、大雪山拠点の東西南北の4棟の地下1階を通路で繋げてもらい、地下一階の全てを拠点にする事になった。
一旦、解散して各拠点の血盟員にこの事を伝えてから、再度集まって椿大神社へとアジト登録に向かった。
登録が済むとまた解散で、今度は其々が引越しての準備を行う。完全な引越してではないので、持っていく荷物、置いておく荷物の選別。
大雪山に移動するメンバー、残るメンバーの選別や色々な決め事などがあり、大忙しだ。
来月の千歳イベントまでには落ち着いた状態なっていたい。
とは言え、拠点内でもアジト登録や引っ越しの話であちこちが盛り上がっていた。食堂もいつもの3倍は騒がしかったし、俺らをチラチラ見る人も多かった。
実はタウさんと自衛隊の話し合いで、大雪山拠点に移った俺らの元の拠点、苫小牧、小樽、旭川、富良野が、紛れ込んでいた外国のスパイに盗られないように、一旦は自衛隊の血盟にアジト登録で押さえてもらった。
勿論、千歳、稚内も自衛隊の血盟アジトになっている。
苫小牧はサンちゃんの血盟だそうだ。サンちゃんは前の血盟は脱退していて、今はハマヤンやフジや他の仲間と血盟を作り、盟主はハマヤンだそうだ。
自衛隊は過去に3人を分けた。今も分けたがっているが、そこは将軍に相談して何とか一緒にしてもらったそうだ。
そして苫小牧をアジトにしてくれた。
「いやぁ、海自の奴らが苫小牧アジトを狙ってる話を聞いてさ、うちの血盟に入りたがって大変だったよ」
ハマヤンが笑いとばしていた。そうか、ハマヤン達は陸自……だったか?
タウさんが持ってた小樽も港型拠点だったよな。それでなのか海自の血盟がアジトを押さえたらしい。
旭川は元から空港が整っていたらしく空自がアジトをゲットしたらしい。富良野は陸自が取った。
いや、あの、うちらが造った拠点だからね。いずれ返してね?って俺が造ったわけじゃないからどうこう言えない。
「トマコの子供達はこのまま地下2階か」
「連れて行くのは逆に大変ですよ。保母さん保父さんらがこの近所から通いの人も多いですから」
「だよなぁ」
「大雪山は北海道のど真ん中ですよ、船はどうします?」
「持って行っても出す場所が無いですね」
「スワンは持ってくけど、他はトマコの湾内に置いておくしかないなぁ」
「フェリーは幾つか持っていきましょうよ、この先も使いますよ」
「血盟員をどう配分するか、ですね」
食事をしながらも話は止まらない。
引っ越しは決まった後が大変なんだよな。まぁ、電気やガス、水道を止めたりする手間はないけどな。住所変更に必要もない。ないよな???
今回はちゃんと引っ越しのハガキ……じゃなかった、引っ越しの連絡を雪姉さんや政治叔父さんにもした。
と言うか、雪姉さん一家も一緒に大雪山に引っ越すし、政治叔父さんは元から大雪山に居た。養老の砂漠に入ってるからな。良治達一家も大雪山に引っ越しだ。
「とりあえず食事を終えたら本部ルームへ集まってください」
「デザートはそちらで食べましょうか。ここより静かでゆっくり話せますよ」
キヨカがマルクを連れて食堂のデザートコーナーへと向かった。今日のデザートは何だろう。気になる。
こんな災害が来なければ今頃世間ではクリスマスに向かってまっしぐらだったんだよな。
…………まぁ、俺には毎年、無縁だったが。ムゥナでは楽しかった。マルクにはあっちと遜色がないクリスマスを味わってもらいたかったな。あとで春ちゃんとキヨカに相談しよう。
いや、2人も大忙しか。俺が不甲斐ない血盟主だからな。
用意して本部ルームでデザートを食べ始めた時だ。
タウさんから緊急招集がかかった。
何だ、どうした? アジト登録で何か問題でも発生したか?
450
あなたにおすすめの小説
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
ガチャから始まる錬金ライフ
盾乃あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。
手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。
他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。
どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。
自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる