忘却の召喚少女は次代魔王候補のヒロイン候補に言い寄られています

キャラ☆めり〜ぜ

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第一章

召喚された少女と魔法使いの国(3)

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 ペガサスに跨った魔法騎士団に先導されて、馬車に乗った魔王ジュン・クロウドはユートピアの民たちに微笑んで手を振った。
 かつて魔族が治める魔界と呼ばれていたユートピアと、神を信仰する人族の王が治めていたエーデンハルトが正式に平和条約を結んでから十年目になる祝賀祭の式典へと向かうパレードの最中である。
 同じ馬車の斜め向かいの席には、無表情で民に手を振るゼノンの姿があった。
「ゼノン。もう少し、僕みたいに愛想良くしたらどうなんだい?」
 ジュンはゼノンにそう提案する。
「父上。俺が愛想良くするのに、意味がありますか? 民たちはパレードが珍しくて見に来ただけです。魔王である父上だけがパレードに参加すれば良かったじゃないですか。俺も城でカロンとタルトを食べたかった」
 ゼノンはあからさまに嫌な顔をしてジュンに文句を言った。
「あはは、ゼノンは本当にカロンの事が好きだね。面倒見の良いお兄ちゃんだ。カロンが我が家に来てから、お前が笑うようになってくれて僕は嬉しいよ」
 ジュンはゼノンの隣の席に座り、我が子の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。
「髪が乱れるから、やめてください!」
 ジュンの手を振り払おうして、ゼノンは逆にジュンに腕を掴まれ、一緒に民衆に手を振らされる羽目になった。
「父上。恥ずかしいので、やめてください……」
「何だ、ゼノン。まだ子供なんだから、父さんにもっと甘えていいんだぞ?」
「くっ……」
 いくら職務の大半が書類に目を通して押印するデスクワークが主であろうと、アラサーであろうと、さすが元勇者で魔王。ジュンの腕の中からゼノンが逃げようとしても、ジュンの身体はぴくりとも動かなかった。
「まぁ、悔しかったらもっと修行を積む事だね」
 ジュンは、そう息子にアドバイスをする。
「いつか、絶対、強くなってやる!」
「ああ、お前は俺の息子だ。絶対、強くなるよ」
 馬車に乗る反抗期が始まった息子とその父親の姿は民衆には仲の良い親子に見えたようだった。
 馬車は賑わっていた城下街を離れ、魔将貴族シロノワールが治めるユートピア最大の領地の外れの式典会場へと到着した。
 神話の時代。ユートピアは今の人族の王が治める国エーデンハルトから魔界と呼ばれ、恐れられ、エーデンハルトとユートピアは全く別の異世界だった。
 それが二千年前、異世界を隔てていた壁が壊れ、二つの異世界は一つとなり、魔族と人族の戦争が起こり、多くの血が流れ、世界は滅亡しようとしていた。
 だが、それを救ったのが、救世の聖女だった。
 魔王を倒した人族の勇者ハルトの傷を癒やし、戦えぬ魔族の傷も癒した。
 聖女の呼びかけで両国は休戦し、その戦いで指揮をし、活躍した魔族の将軍たちに、魔王妃は領地を与え、魔将貴族として位を与え、彼らを厚遇した。
 聖女亡き後、神殿は何度も魔王を倒す為に勇者をユートピアに向かわせ、戦いが起こった。
 魔王妃亡き後、彼女の遺言で、魔王は魔族の中でも高貴で純血な者の中から選ばれ、魔将貴族同士の政略結婚により後継者が決められたのだが、十年前、魔王であったカエラと神殿が異世界から召喚した勇者クロウドとの間にゼノンが生まれ、両国で正式に平和条約が結ばれて、勇者クロウドの助言でユートピアの政治体制も貴族が主導だったものから、種族に関係なく民の中から選ばれる民主院を設立し、貴族が所属する貴族院との二院制を取り入れ、魔王も貴族だけではなく、この国にいる民の中から実力があり、多くの民の支持を得る者を魔王として選ぶようにと、去年、勇者クロウドことジュン・クロウドが国民の支持を得て魔王になった。
 この国は変わりつつあったのだが、ジュンが魔王に即位し、祝賀祭の中、カエラは何者かに一緒にいた息子ゼノンと共に狙われて、白石化して戻らなくなってしまった。
 犯人は未だに捕まっていないが、ユートピアとエーデンハルトの平和の象徴であり、魔将貴族シロノワールの唯一の後継者であるゼノン・クロウド・シロノワールを狙った犯行であるという確信がジュンにはあった。
 新体制を嫌う貴族たちの誰もが信用できず疑わしかったが、今、エーデンハルトの使節団の馬車から降りてきた、女性と見紛うほど華奢な頬にかかる緩くウェーブした金髪と青い瞳の可愛らしい顔をした白服を纏う美青年も、また、疑わしかった。
「クロウド。本日はお招きいただきありがとうございます」
 和かに微笑むエルレイゲン本神殿の副神官長クリス。来賓として訪れた勇者時代の仲間であった彼も信用できる相手ではないかもしれなかった。
 この世界に召喚されてすぐに、神の声が聞こえなくなったというのに、自分を異世界から召喚した神殿に、ジュンは違和感を覚えた。
 過去の勇者召喚について調べたら、自分以外にも何人も異世界から召喚されていて、神殿の記録では召喚された勇者は皆、最長でも三年以内に戦死や病死とされていた。
 神官たちは口を揃え、皆、エーデンハルトの民を守った名世ある死だと述べだが、カエラの話では十年前にやって来た先代勇者ユウキは元の世界に戻りたいと言っていたので、その日のうちにエーデンハルトに無事に帰したという。
 しかし、神殿の記録では勇者ユウキはカエラが帰したという年に病死と記されていた。
 歴代の勇者の死に、神殿は信用できないとジュンは判断した。
 だが、かつての旅の仲間として、三年間、一緒に旅をした彼は嘘はつかないはずだ。
 盗聴されないように、ジュンはいつも掛けている分厚いレンズの黒縁眼鏡のつるに手を触れ、クリスと自分の間だけに防音魔法を発動させる。
「クリス。かつての仲間として君に訊ねたい事がある。俺が召喚された後に勇者召喚を神殿は行った事はあるか? あるいは召喚方法が外部に漏れた可能性はないか?」
「どうしてそんな事を私に訊ねるのです」
 魔王ジュン・クロウドの質問にクリスは目を見開いた。
「ひと月程前、シロノワールの領地のオルト山脈の村で、村人が全員、魔獣に襲われた。しかも絶滅したとされる竜種の魔獣に襲われたそうだ。そこに、今は僕の娘として保護している黒髪金眼の少女が村人に魔獣の生贄として捧げられる為にその場にいた」
「黒髪金眼……」
「魔族の血を濃く受け継ぐ者なら黒髪金眼は不思議ではない。だが、あの子と暮らしてみて、明らかに魔力持って生まれて来なかった事が分かった。それに、一緒にいたのはエル神を信仰するエーデンハルト出身の者たちだった。人族は魔族と違って魔力を持たずに生まれてくる者も少なくはない。エーデンハルトに黒髪の人間は生まれてくるか?」
「いいえ、自分で髪を染めない限り、多くの民は茶色か金、あるいは白髪です。エーデンハルトで黒髪なのは召喚された勇者だけです」
「そうだよな」
「では、その子は召喚された勇者だと⁉︎」
「その可能性が高い。あの子は生まれてからの記憶が殆どない。これは僕個人からクリス個人への質問になるが、召喚された勇者は元いた世界に帰れるのか?」
「……それは、今は不可能です……」
「どうしてだ?」
「勇者召喚には大いなる神の遺産である"門神の鍵"のレプリカが使われています。あれは一方通行で異世界から呼び出す事はできても送り返すことができません」
「魔王城の召喚陣と原理は同じか……」
「恐らくは、本物の"門神の鍵"ならば自由に他の世界に行き来が可能かもしれませんが、あれは失われた神の遺産。もうこの世には存在しない物だと思われます」
「ありがとう、クリス。話してくれて……」
 クリスが話してくれた事は本来、外には漏らしてはいけない極秘内容であり、元勇者として、ジュンが、この十数年間で知りたかった事のひとつだった。
「ところで、ユートピアは魔法使いになりたいという者を種族に関係なく民として受け入れているが、生贄を必要とする魔法は法律で禁止している。この件についてエーデンハルトへの抗議を考えていたのだが、個人が行った事ならば、僕は目を瞑ろう」
「クロウド。エーデンハルトの者が迷惑をかけたようで申し訳ありません。機会があればその少女に謝罪をさせていただけませんか?」
「クリス。その必要はないよ。あの子はあまり覚えていないだろうからね。晩餐会にあの子も出席するけど、この件には触れず、僕の娘として接して欲しい」
 同じ異世界に召喚された者ならば、ジュンは勇者召喚の真実をあまりカロンに知って欲しくなかった。
「そうですか…… 私の知る限り、貴方を召喚してから十三年間は神殿は勇者召喚を行なっておりません。神殿に戻り次第、この件について極秘に調べ、後日、ご報告させていただきと思いますが、よろしいでしょうか?」
 クリスは誠心誠意尽くして、そう応えた。
「クリス。ありがとう」
 ジュンは、一緒に修行し、冒険に出た十三年前より、ずっと男らしく立派になった、かつての仲間に礼を言った。
暫くして、エーデンハルトからの使節団とユートピアからは魔王ジュン・クロウドとゼノン、そして魔法騎士団団長と数名の魔法騎士たちによる式典が始まった。
 式典といっても、魔王であるジュンが使節団への歓迎の挨拶を述べ、エーデンハルトの使節団の代表であるクリスがエーデンハルト国王よりの書状を読み上げ、ジュンとクリスが握手し、目の前に広がるリーゼロッテ平原に植物の種を蒔く。
 すでにそこには魔王城の展望室のカエラが眠るあの場所に咲いているのと同じ黄い花の可愛らしく咲いていた。
 ユートピアではリーゼロッテと呼ばれるその植物は、今や、この世界のどこにでも生えている植物で雑草だ。
 ここ、リーゼロッテ平原はユートピアとエーデンハルトの境界の地で、戦いの度に焼け野原となった。
 それでもこの植物は、この地に根を張り、黄色い花を咲かせた。
 ユートピアでは、父親がいなくなったら娘を想って育てた花だと言われているその花が、カエラは好きだと言った。
 ジュンがカエラに、「この花は君の瞳みたいだね」と言って、愛を育んだ二人でこの地に種を蒔いたのが始まりだ。
 何処にでもあるその雑草は平和の象徴だ。
 カエラが、「二人目の子供が生まれたら、この植物の名前をつけるの」と嬉しそうに話していた姿がジュンの瞼の裏には焼きついていた。
「それにしても、この花、ユートピアでは聖女に因んだ名前なのに、何でエーデンハルトでは同じ名前ではないんでしょうか? 聖女の象徴として描かれる花なのに……」
 種を蒔きながら、ふとクリスが言う。
「僕がこの世界に来て、何でスライムがいないのかと思ったくらい不思議だよね」
「ふふっ、スライム。懐かしいですね。ライラさんに全否定されましたからね」
「うん。ライラには否定されて、この世界にはスライムなんて存在しないと思っていたらんだけど、それが、ひと月前に娘を召喚した時、一緒に召喚してたんだよ!」
「え?」
 ジュンとクリスが勇者時代のスライムについての話で盛り上がっている横でゼノンは父と母が結ばれたこの地に平和の種を蒔いた。



 神話の時代の終わり。
 この地で、赤い瞳の少女は、自分の姿に擬態したがるペールブールの髪の中性的な少年と漆黒の美丈夫と、砂漠の真ん中に出来た咲いた黄色い花畑に水をやりながら、ふと思った事を口にした。
「魔王。この花はあなたの瞳みたいね。まるで星のようだわ。ねぇ、そう思わない? "   "!」
 少女の言葉に、星のように煌めく金色の瞳が細められ、気怠そうな漆黒の美丈夫は「そうか?」と答えた。


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