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10 もう嫌
しおりを挟むああ。そういうことだったの。
――貴方は、西の大国の第四王女カタリナ様を正妃に迎える――
貴方は、私の話の《そこは信じた》のね。
信じたのではなくとも、カタリナ様のことを調べるくらいには気になった。
《揺れた》のね。簡単に。
でも調べたらカタリナ様には護衛の恋人がいると知って。
貴方はカタリナ様に失望した。
それでやっぱり……自分に一途な私をキープ?
―――神様。
何故、私はまた今世に戻ってきたのでしょう。
前世の記憶まで持って。
私は終わりでよかった。
だから前回、毒杯を飲んだのです。
なのに何故、戻されたのでしょう?
何故……過去など何も覚えていない、まっさらな……新しい人生をはじめられなかったのでしょう。
せめて彼への想いなど綺麗に忘れていたならよかったのに。
前世の《ツバキ》はずっと信じていました。
誕生日や結婚記念日、休暇には《タンシンフニン》先から帰るねという約束がほとんど守られたことがなくても。ずっと夫――前世の彼を信じていました。
今世の、前回の私はずっと待っていました。
その視界にも入れてもらえず、別棟に閉じ込められ、周りからは、もはや側妃ではなく、別棟に住む単なる執務係だと呼ばれていても。毎日私は、今日こそ彼が会いにきてくれるかもしれないと……ずっと待っていました。
もう嫌です。
苦しみました。
辛かった。
散々傷ついた。
なのにまた
こうして彼に傷つけられる。
信じては、期待しては裏切られる。
もう二度と、こんな思いはしたくなかったのに。
身体が震えていました。
冷たい風のせいなのか、怒りからなのか、泣きたいからなのか、自分でもわかりません。
とにかく。
私は言わなければいけないひと言を、拳を握って絞り出しました。
「帰ってください」
「ロゼ。お願いだ。私の妃になると言ってくれ」
「帰って!人を呼びますよ!」
「………………わかった……」
顔をあげることができませんでしたが、彼が庭の方へ去っていくのを気配で感じました。
そのまま唇を噛んでいると音がして座っているベンチの横の扉が開き、戸惑いを滲ませた声がしました。
「……お嬢様……」
「コニー。今、見たことは誰にも言わないでくれる?」
「ですが」
「言わないで」
「……わ……わかりました……」
「遅くなりすみません。冷えてしまいましたね」と、コニーが申し訳なさそうにショールをかけてくれました。
ショールを部屋へ取りに行き戻ったものの、私が彼――王太子殿下と話していたので控えてくれていたのでしょう。
私はコニーにお礼を言って、一緒に屋敷内に戻りました。
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