ある双子姉妹と元王族

Szak

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閑話 アイリッシュ王国の末路

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 セシリア・ミル・アイリッシュが住んでた国はアイリッシュ王国という国だったのだが、国王である父親が亡くなると同時に王妃の実兄が第1王子を使い簒奪を企て王政を撤廃すると宣言し共和制を取り入れると言い出したのだった。

 「陛下が逝去されて間もないというのに、あの王子はなにを考えている!」

 「王子は王太子ではなかったはずだが?」

 「王妃陛下と王女様をどうにか逃がす事を考えねばならんな!」

 「あまり時間はありませんぞ、ブラン宰相殿!」

 「わかっておる、最悪王女にはアレを使って逃がす!だが王妃陛下はアレには入れられんから開発中の小型船舶を使うしかあるまい。」

 「しかし、王妃陛下は納得してくれますかね?」

 「説得するしかあるまい!王妃陛下の兄上があの王子の後ろ盾になっている以上王妃陛下の命も危ういやも知れないのだからな!」

 「実験用のカプセルはすぐに使えますが、開発中の小型船舶に関してはアレを取り付けるのに時間が足りないんですが?」

 「アレか?取り付けるに3日、いや2日で終らせろ!その間王妃陛下には、小型船舶の船室に隠れていてもらう事とする。」

 「王女の確保は出来ました、カプセルに乗せてしまっていいですね?」

 「取りあえず赤子だけでも逃がすぞ!カプセル内の酸素は最大で5日しか設定出来ないから最大で!セシリア・ミル殿下は王妃陛下と同じ小型船舶に乗ってもらうしかないな!」

 船員が王女と呼んでる赤子はアイリッシュ王国で保護された子であり、王が養女として迎い入れた娘である。これがきっかけで第1王子が王に対し反旗を翻すことになり、王子は王族は私だけで十分だと宣言をすることになったのだということだ。元々、アイリッシュ王国は女王国家なのだが隣国の王族が女王にちょっかいを出したことで王配として迎い入れた者を王として扱うように女王陛下から命が下っており自分のことは王妃陛下と呼ぶように指示していたのだった。

 王妃陛下のの実兄
 王妃陛下の実兄は元王族である、なぜ元王族かというと自分が王になりたいがために母親だった先王妃の命を狙ったがため王族から籍を抜かれている。

 元アイリッシュ王国(現アイリッシュ共和国)
アイリッシュ王国は女王国家である、男児が産まれても王位継承権は与えられることはない国であり、王配は王女が選出するという極めて珍しい国だった。

 「おい、小型船舶のアレは設置出来たか?」

 「一応、出来ましたが何せ試作段階のものですので上手く運用出来るかわかりませんよ!」

 「かまわん、姫と王妃陛下が助かれば問題ない!」

 「いいんですか?そんな適当で!」

 「この国から出てしまえば追うに追えないはずだからな!近くに無人島かなんかあればいいんだがな・・・」

 ブラン宰相が姫と王妃陛下を国外に出した頃第1王子は王妃の兄と良からぬことを画策し始めていた。王子は自分以外の王族が居ない事を確認した後、偽りの事実を公開し始めていた。そこには、伯父にあたる王妃の兄の名前も記されていたのだが、偽りとはいえ自分が犯罪者扱いになっていることに怒りを覚えていた。

 偽りの事実として公表された内容は以下の通りである。

今回の騒動はブラン前宰相による王家乗っ取りを企てた為の処置であり、前国王の死にはわたくしは関与していないはずだったのだが、相談役にしていた王妃陛下のが関与していたことが発覚したため簒奪のような行為になったことは誠に申し訳なく思う!

 「この内容で国民を騙せるとでも思ってるのかしら?」

 「国民わたしたちを馬鹿にし過ぎよね。」

 「さすがに元王子を国の頭にはしないわな!」

 「当然だろ、アイツ自分が正しいと思ってるみたいだけど過ちに気付けない程愚か者だぞ・・・」

 「共和制ってあれだろ、王とかを置かずに国民が選んだ代表が頭になるていう!」

 「なんて言ったかな?確か国家なんちゃらっていうようになるんだよな?」

 「おまえが言いたいのは国家元首じゃないのか、ちゃんと覚えろよ!」


 公表された内容はまったく信じていない国民だが、自分たちの生活に直結して来るような噂や話しには敏感である。共和制にしたことで、今までのような贅沢が出来なくなった元王子と王妃の兄は、こんなはずではなかったと言わんばかりに愚痴っているのだが、それを見た国民はああはなりたくないと反面教師として見ており騒ぎが起きない事を祈っている。姫や王妃を逃がした科学者たちはというと混乱に乗じて国外に亡命しているとのことだった。


 元王子の簒奪から数年の年月が経ち国家元首は国民が新たに選んだ者がなっており元王子たちも国民の意向により捕まっている。

 「なあ、聞いたか例の噂?元王族は王子だけというのはウソらしいぞ!」

 「聞いた聞いた、ただ今でも生きてるかどうかは不明らしい!どうしてるかな?俺らのお姫様は・・・」

 「生きて幸せに暮らしててくれれば良くないか?」

 「そうだな、それが一番幸せかもな。王妃様は持病があったと聞いたけど生きてるのかね・・・」

 「さあな、王女が一緒だったんだからきっと大丈夫だろうよ!」

 アイリッシュ共和国は数年は国として機能したものの、隣国やら貴族やらの問題が増え国が破綻し始めているのだった。





 いつも、稚作をお読みいただきありがとうございます!
本編は後数話で完結させる予定ですが、もしかしたら番外編を書くかも知れませんが、その時はよろしくお願いします!
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