16 / 31
過去1-3 side 彼
しおりを挟む
いつのまに寝落ちていたのか、彼女が胸元で動いたことで覚醒した。
「ん……寝れた?」
掠れた声でそういって、ベッドの下に落ちていた手で、彼女の目元をする。
「腫れてる……」
「ふふ」
彼女が恥ずかしそうに顔を埋めてくるので、滑り落ちていたもう片方の手で、彼女の頭を撫でた。
「…………話せるなら、聞く」
心からの言葉だった。
あんな彼女を二度と見たくない。
彼女はこくんと小さくうなづき、ボソボソと過去と悪夢の話をし始めた。
相手の男を探してボコボコにしてやりたくなる。
彼女に優しくない環境に、もっと早く出会いたかったと悔しくなる。
会ったことのない彼女の親友に感謝をする。
渦巻くさまざまな感情を、背中とか頭とか髪とかを撫でて浄化させる。
一言も聞き漏らさないと、彼女の声を捕まえにいき、一言も聞き逃さないと、彼女をぎゅっと抱きしめた。
「ねぇ」
「ん?」
「少しずつでいいから、わがまま言って」
「え?」
「……俺が……いれば寝れんなら、……全然来るから」
耳が真っ赤になっているのはわかってる。
こんな事さらっと言えるほどかっこよくなれない。
でも、ちゃんと伝えたい事だから真剣な顔で彼女を見た。
俺の気持ちが伝われって。
「うん、ありがとう」
「わかってくれれば、それでいい。遠慮とかさ……無茶だけはしないで」
「……ん」
ふわっとした笑顔を浮かべて、また胸元に顔を擦り付ける彼女を抱きしめる。
いきなりは無理でも、少しずつでいいから、不安を払拭したい。
俺がいる事で、少しでも安心できるのなら、いくらでも一緒にいる。
たまに見せてた怯えた顔も、原因がわかれば対応可能だ。
言葉にすることが苦手だから、行動で示す。
上手いことなんて言えないから、ただ抱きしめる。
それでも彼女はちゃんと汲み取ってくれるはず。
「仕事、何時から?」
「今日は午後から」
「そっか。じゃあもうちょっとゆっくりできるね」
「ん」
肩口から小さなあくびの声を聞いて、彼女の背中に回っていた手を頭に回す。
「ゆっくり寝な」
「んーでも私仕事……」
「何時?」
「10時」
「今は?」
「7時……ゆっくりする」
サイドテーブルに置かれたスマホを手にしてアラームをかけると、本格的に寝る姿勢に入る彼女。
なんとなく流れで腕枕しちゃってるけど、まぁいいかなんて考えてたら、腕を外される。
「ん?」
「こっちがいい」
「ふーん」
俺の腕を抱き込むように引っ付いて、瞳を閉じた。
そんな彼女の穏やかな寝息に引っ張られるように、俺も意識を手放した。
「ん……寝れた?」
掠れた声でそういって、ベッドの下に落ちていた手で、彼女の目元をする。
「腫れてる……」
「ふふ」
彼女が恥ずかしそうに顔を埋めてくるので、滑り落ちていたもう片方の手で、彼女の頭を撫でた。
「…………話せるなら、聞く」
心からの言葉だった。
あんな彼女を二度と見たくない。
彼女はこくんと小さくうなづき、ボソボソと過去と悪夢の話をし始めた。
相手の男を探してボコボコにしてやりたくなる。
彼女に優しくない環境に、もっと早く出会いたかったと悔しくなる。
会ったことのない彼女の親友に感謝をする。
渦巻くさまざまな感情を、背中とか頭とか髪とかを撫でて浄化させる。
一言も聞き漏らさないと、彼女の声を捕まえにいき、一言も聞き逃さないと、彼女をぎゅっと抱きしめた。
「ねぇ」
「ん?」
「少しずつでいいから、わがまま言って」
「え?」
「……俺が……いれば寝れんなら、……全然来るから」
耳が真っ赤になっているのはわかってる。
こんな事さらっと言えるほどかっこよくなれない。
でも、ちゃんと伝えたい事だから真剣な顔で彼女を見た。
俺の気持ちが伝われって。
「うん、ありがとう」
「わかってくれれば、それでいい。遠慮とかさ……無茶だけはしないで」
「……ん」
ふわっとした笑顔を浮かべて、また胸元に顔を擦り付ける彼女を抱きしめる。
いきなりは無理でも、少しずつでいいから、不安を払拭したい。
俺がいる事で、少しでも安心できるのなら、いくらでも一緒にいる。
たまに見せてた怯えた顔も、原因がわかれば対応可能だ。
言葉にすることが苦手だから、行動で示す。
上手いことなんて言えないから、ただ抱きしめる。
それでも彼女はちゃんと汲み取ってくれるはず。
「仕事、何時から?」
「今日は午後から」
「そっか。じゃあもうちょっとゆっくりできるね」
「ん」
肩口から小さなあくびの声を聞いて、彼女の背中に回っていた手を頭に回す。
「ゆっくり寝な」
「んーでも私仕事……」
「何時?」
「10時」
「今は?」
「7時……ゆっくりする」
サイドテーブルに置かれたスマホを手にしてアラームをかけると、本格的に寝る姿勢に入る彼女。
なんとなく流れで腕枕しちゃってるけど、まぁいいかなんて考えてたら、腕を外される。
「ん?」
「こっちがいい」
「ふーん」
俺の腕を抱き込むように引っ付いて、瞳を閉じた。
そんな彼女の穏やかな寝息に引っ張られるように、俺も意識を手放した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる