孤独王

ラギ

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校長のためになるお話

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ホームルームも終わり、男女一列になって体育館に移動を始めた。体育館に向かう途中で他のクラスを見たがまだホームルームをしていた。そんな風にクラスを見ていると体育館の前についた。先生が体育館の扉を開けて中に入る。
「みんな一番乗りだ!」
先生が言った。それに対しクラスのみんなは
「先生早すぎるよー!」
「当たり前だよ!だってまだ10分前だもん!」
と文句を言う。すると先生は
「ハッハッハ!そうだねちょっと早すぎたね!ゴメンよ!じゃあもう並んでみんな待ってようか!」
と話を変えた。みんなは先生の指示に従って並んだ。
「それにしても寒いな」
一人の少年がそんなことを言う。確かに、春になったとはいえ、まだ4月。冬の寒さも残っている。
そんなことを考えていると僕も少し寒くなってきた。すると先生は。
「なんだお前たち!こんなに暖かいのに寒いだなんて…もっと熱くな○よ!」
(ダメダメダメッ!それ以上変なこと言うな!)
僕はこころの中でツッコミを入れる。そんなとき、入り口から他のクラスの生徒たちが一斉に入ってきた。数分とかからず並び終えると開式の言葉が体育館に響き渡る。
「それでは校長先生お願いします。」
司会進行役の先生が言うと少しポッチャリとしたお爺ちゃん先生がステージに上がる。するとどこからともなく
「ヤバい、始まるぞ。」
「今日はどんくらいだろうな。」
「俺時計あるから計るわ。」
とコソコソ話が聞こえてきた。僕は今まで気にしていなかったので何が始まるのかがさっぱり分からない。それに五年生になっていや、気持ちを改めて初めてあの人が校長なのだと理解した。今まではよく見る人だとは思っていたが、まさかあの人が校長だったとは。そこで自分がどれだけ周りに無関心だったのかということに気づいた。にしてもこんな風に言われるということはかなり長いのだろうと僕は覚悟を決めたそうしてようやく校長がマイクに向かって声を出す。
「え~、皆さんおはようございます。」
「おはようございます!」全校生徒がそう返したので私も合わせて挨拶を返す。
「あの~あれですね、話長いの嫌ですよね。私もあまり長い話を聞くのは好きではないので、手短にに終わらせます。ここには新一年生から新六年生までの約200名ほどの生徒がいます。見たことある顔や初めて見る顔。いろいろな思いを持っていると思いますが、明るく元気よく。皆さんが楽しく生活できるように一人一人が頑張っていきましょう。それでは終わります。」
そして校長先生は頭を下げてステージから下りて行った。
「ピッ!」
と近くで音がなる。それと同時に声が聞こえてきた。
「おいおい、40秒ちょいで終わったぞ。」
「本当に速いよなあの校長先生の話。」
「それなー。」
その会話を聞いていた私は
(あ、長くないのね……)
と心の中で思うのだった。

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