初恋

2.

2-1 落としてみせる

side 知里

サークルの幹事学年である3年生のアタシたちは開始時刻の1時間前から店に集まった。この店はもう何年も前からうちのサークルの御用達だから、いろいろと融通をきかせてもらえるのがいいんだよね。今日も貸し切りにしてもらって、テーブルの移動とか受付とか、早めに集まった仲間と準備をする。「知里、中村君どうだった？」「バッチリ。来てくれるって」「やった！ホントかわいいよねー」「知里のいとこは？」「将真も来るってさ」「マジ？イス足りるかな。テーブル真ん中にして立食にした方がいいかも」「そうしとこうか」あの2人が来るんだもん、念の為。

30分前になるとバラバラと新入生やサークル仲間が集まり始めた。うん、好調好調。これだけいれば将真も中村君に気づかないかも。絶対気に入ると思うんだよねぇ…将真、カワイイもの好きだし。それにしても2人ともまだ来ないな。あと10人くらいで定員なんだけど…やきもきしていたらなんで？なんで一緒に来てんの？

「知里！」将真がすごいイケメンオーラ出して笑ってる。「あんた、なんで中村君と」そう言うと将真にいきなり抱きしめられた。「ちよっと！あんた何してんの！」「知里ありがと。俺と中村君？会わせてくれて。絶対落としてみせるし」耳元で囁かれてアタシは中村君に土下座したくなった。