初恋

3.

3-2 まさかの一目惚れ？

side 知里

「知里、中村君、こっちこっち」「遅いよぉ」「ごめんごめん、中村君連れてきたよー」友達が取り分けておいてくれたお皿を渡される。まったく…将真、やっぱり気に入っちゃったじゃん！同じようにお皿を渡されてニコニコとお礼を言う中村君。かわいい。友達も新入生もデレデレの顔になってるもん。「ほら、ソースついてる」唇に残ったソースを舐めるとこなんてヤバいよね。「へへ、とれました？」なんて照れちゃってさ。何人か後ろ向いて悶えてるじゃん。輪の中にいた男子なんて口開けて見とれてるし。ふと視線を感じて見回せば将真と目が合った。

ヤバいヤバい、睨んでるじゃん。なにあれ、一目惚れってやつ？アタシが知る限り、将真がちゃんとしたオツキアイをしてたことなんかない。来るもの拒まず去るもの追わず。アタシとのこともそうだけど、将真にはセックスに気持ちなんか必要ない。ただのスポーツ。えー…マジ…？

「中村君！こっちにも美味しいのあるよ！」別の輪からも声をかけられて「えっと、あっち行ってきますね。ごちそうさま」きちんとお辞儀をして別の輪に加わる。うん、それを期待して呼んだんだけどさ。「はぁー、かわいかったぁ」「あの人、うちの大学ですか？」「私、同じ学科！」「え！羨ましい」新入生も盛り上がってて主催者としては大助かり。残るいくつかの輪では将真の塩対応にこちらも女子達が悶えてるし。2人が来てくれて良かったけどさぁ……中村君ってアッチの方はどうなんだろ。きっとノーマルだよねぇ…えー…