学園祭の後始末－主人公だけが知らない－

3.聖女をおもてなし

14.ころころころころ

日に日に聖女の俺への態度が酷くなっている。
お決まりの教科書捨て、取り巻きへの泣きつき。このクラスで取り巻き役をやってくれている水野ならぬアクア嬢達からは｢トーリィ様がそんなことなさるはずありませんわ。きっと誤解ですわよ｣なんて言われて、平民のクラスに泣きつきに行っている。友達のヨナが心配してくれて、ホント申し訳ないっす。
｢トーリィ様、あたし、信じないですからね｣
｢ありがとう。でもね、自分の婚約者にベタベタされたら、俺だって少しは怒るんだよ？｣
｢そんなのあたりまえです！どういうつもりなんだろ！｣

俺がヨナと仲良くなった調薬の授業。なぜかヒメナもこの授業をとっている。｢ワタクシは聖女ですから薬など必要ないのですけれど、ワタクシの手が届かないところにも送って差し上げられたらと思って…｣なんて、殊勝なんだか自慢なんだかわからないことを言いながら。
そんでもって俺の調薬瓶を倒すんだよな！オッケーオッケー、わかってたよ、わかってたけどさぁ！

｢あら！ごめんなさい、ワタクシったらそそっかしくて…キャッ！トーリィ様、そんなに睨まないでくださいませ｣
…ゔあー！！腹立つんですけど！睨んでねえし！怒りをこらえて｢ヒメナさんこそ、お怪我はありませんか？｣となんとか絞り出した俺に聖女は言った。

｢まぁ…ワタクシのことを気にしていただけるなんて思いもしませんでしたわ…。いつもはあんなに酷いことを………｣

はい、上手！最後のところ、わざと小声で！
｢トーリィ·レッダー。早く作り直しなさい｣
先生もころころ転がされちゃってるしさ。
俺（とヨナ）は、調薬のクラスでまんまと孤立しています。
……ヨナがいてくれなかったら泣いてるぞ！