ドールとビルダーの街づくり

春夏

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4.ドール

12.エージの力

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「俺にはでける。ちょっと待っとって」
アイルの夕陽から洩れる僅かな明るさの中でエージが小さく僕の名を呟くと、彼の手が淡い光に包まれた。

「……え?僕?」
次の瞬間、エージの腕に抱かれていたのは、まさか、僕?

ニコニコと嬉しそうに笑っている僕?に無性にイライラしてしまう。そこは僕の場所のはずなのに。そんなことを思う自分に驚く。
「ええ子がでけたなぁ。ええ子や、ええ子や」
おなじようにニコニコ嬉しそうに笑っているエージにもイラついてしまう。

「ほい。父ちゃんに」
目を見開いて驚いている父さんと王子様。アイル側に立つ父さんの手に渡った僕?は人形になった。

「……」
無言になってしまった僕達にエージが言う。
「俺の力はドール。この地でだけ動くことがでける人形を作り出すのが俺の力や。ほら」
もう一度エージの手が光ったと思ったら、そこには馬!
「これであそこまで行けるやろ」
「………すごい!すごいよ、エージ、すごい!!」
エージが照れたように僕に微笑んだ。

「その子は動けへんけど、父ちゃんがここに来られるようになるまで側に置いてやってくれんか」
「ランにそっくりだ……エージありがとよ、これでランがいなくても我慢できらぁ」
「父さん、待っててね。僕がすぐに呼んであげるから。ほら、見てて」

僕が初めて使うビルダーの力。
この乾いた不毛の地に命を与える優しくて静かな雨。
全ての始まりになるはずの心地よい冷たさが僕達を濡らし、降りだした時と同じように静かにやんだ。

「素晴らしいよ、やっぱり君達はこの地の希望だ」
そう言い残した王子様と、大事に大事に人形の僕を抱く父さん。
2人を乗せた馬車が見えなくなって、僕はエージの手をとった。

「行こう!」 「せやな。仲良うやってこ」
僕達は光を目指して動きだした。
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