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9.道を繋げる
35.夜と朝
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アイルの境界線にはポストが置かれている。
「物資や作業員が必要になったら手紙を入れてくれ。毎日確認させてすぐに手配するからね」
王子様がそう言って用意してくれたポスト。団長さんの馬に乗せてもらって暗がりを進み、アイルが夜の時間を狙って初めての手紙を投函する。
『光の大地ができました。アイルと繋げます。半月後、境界線に来てください』
フラスコの口はさほど広くはない。道を作ってその周りに街路樹を植え、残りのスペースに宿やお店に使えるような家をいくつか建てるだけだ。僕なら3日もあればできてしまうけれど、家との行き来に時間がかかるし、向こうにも準備があるだろうし。
もともと開通に立ち合うのは王子様と父さんだけと決まっていた。父さんはもちろん誰よりも先に会いたいから、王子様は大地の確認のためだ。
「ラン君、嬉しそうだな」
「うん!きっと父さんが褒めてくれると思うんだ。みんなのおかげだよ。本当にありがとう」
僕を支えながら馬を進ませる団長さんが、大きな手で僕を撫でてくれた。
最後の50メートルだけを残して準備を終えた。僕がどんなふうにどんなことをしてきたのか、父さんに見てほしかったからだ。別れの日、エージは目の前でドールを作ってみせた。僕も雨を降らせてみたけれど、ほんの瞬きの間に道ができたらどんなに驚くだろう。
早く会いたいな。迷っていたことも忘れて、そんな現金なことを考える自分に笑ってしまう。
「ラン、よう頑張った」
「エージがいてくれたからだよ。エージがいて、ドールがいて、僕を励ましてくれたから」
「励ますだけとちゃうやろ」
「…エージが僕を愛してくれるから…」
「せやで。ラン、愛しとる…」
エージの熱さを体の奥に受け止めながら、僕は初めてここに来た時の暗さを思い出していた。
昼も夜もなかったこの地。
こんなふうに求め合う夜、腕の中で目覚める明るい朝。
父さん、僕、頑張ったんだよ。
「物資や作業員が必要になったら手紙を入れてくれ。毎日確認させてすぐに手配するからね」
王子様がそう言って用意してくれたポスト。団長さんの馬に乗せてもらって暗がりを進み、アイルが夜の時間を狙って初めての手紙を投函する。
『光の大地ができました。アイルと繋げます。半月後、境界線に来てください』
フラスコの口はさほど広くはない。道を作ってその周りに街路樹を植え、残りのスペースに宿やお店に使えるような家をいくつか建てるだけだ。僕なら3日もあればできてしまうけれど、家との行き来に時間がかかるし、向こうにも準備があるだろうし。
もともと開通に立ち合うのは王子様と父さんだけと決まっていた。父さんはもちろん誰よりも先に会いたいから、王子様は大地の確認のためだ。
「ラン君、嬉しそうだな」
「うん!きっと父さんが褒めてくれると思うんだ。みんなのおかげだよ。本当にありがとう」
僕を支えながら馬を進ませる団長さんが、大きな手で僕を撫でてくれた。
最後の50メートルだけを残して準備を終えた。僕がどんなふうにどんなことをしてきたのか、父さんに見てほしかったからだ。別れの日、エージは目の前でドールを作ってみせた。僕も雨を降らせてみたけれど、ほんの瞬きの間に道ができたらどんなに驚くだろう。
早く会いたいな。迷っていたことも忘れて、そんな現金なことを考える自分に笑ってしまう。
「ラン、よう頑張った」
「エージがいてくれたからだよ。エージがいて、ドールがいて、僕を励ましてくれたから」
「励ますだけとちゃうやろ」
「…エージが僕を愛してくれるから…」
「せやで。ラン、愛しとる…」
エージの熱さを体の奥に受け止めながら、僕は初めてここに来た時の暗さを思い出していた。
昼も夜もなかったこの地。
こんなふうに求め合う夜、腕の中で目覚める明るい朝。
父さん、僕、頑張ったんだよ。
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