邪魔はさせない

春夏

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3.学園入学

3.楽しまなくちゃ

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学園初日。僕はチェイル兄様と馬車に揺られる。「兄様、正門でナルを待っててもいい?」「…お前なぁ…どちらにせよサートスが私を待っているはずだ。ナルジスも一緒にいるだろうさ」「ホント?やった!それにしても側近ってタイヘンなんだね」「ミクールだってこの2年で信頼できる側近を探さないとならないんだぞ。わかってるのか?」側近なんていらないもんね。冒険のパーティメンバー?ううん、ナルと2人で冒険したいから…ギルドでも作ろうかな。冒険者になる夢はまだ内緒。認めてもらうには力をつけてからじゃないと、というナルの意見はもっともだ。勉強も剣も魔法もしっかり学ばないと。学園かぁ…小学校楽しかったな。病気になって中学にはほとんど行けなかったけれど、それはナルもおんなじ。僕達はやり直す機会を得た。無駄になんかしないよ。

馬車を降りた僕達にサートスさんが声をかける。「おはようございます」「おはよう。今日からは放課後に執務を手伝ってもらうことになるからな、よろしく頼む。ミクール、サートスに挨拶。学園では過剰な敬語は禁止されているが、先輩後輩はしっかりしなくては」「はい。おはようございます、サートスさん」僕がそう言うとナルも兄様に挨拶した。「おはようございます、チェイル様」「…ナル、僕には?」ナルはちょっと困ったような顔をして「おはよう…ミク」と笑ってくれたから涙が出そうだった。僕達が朝から元気にしているなんて。もしかしたらこの世界は僕が天国で見ている夢なのかもしれない。思いっきり楽しまなくちゃ。「ナル!おはよう!」飛びつきかけた僕を兄様が叱った。
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