邪魔はさせない

春夏

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6.冒険への下準備

1.本気

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「…なんか呆気なかったんだけど」「ダニエル様は決して弱くはないよ。ただナルの特訓の成果が出たってことだな。俺のおかげ」チェスターがドヤ顔で言う。「アタシのおかげよね」サンディまで。「でも…ナルジス、勝ってくれてありがとう」「なんだよ急に」「あんな奴でも公爵家の息子だもの、正式に申し込まれたら断るのが面倒だし」断ることは決まってんだ。「サンディ…もしかして好きな人いるのか?」辺境で魔獣を倒したりしていたくせに白く綺麗なサンディの頬が染まった。お?こりゃいるな。「…いないわよ!」ダニエルの剣より速く重い右手が俺の背中でいい音をたてた。

ワイワイと騒ぐ皆から少し離れてミクと教室に戻る。「ナル、怪我はない?」「うん、大丈夫。心配かけたな」ミクが呟く。「ナルの体を心配するのなんて毎日のことだったし」そうだ、俺達はずっと互いの体調を気遣ってた。この体を手に入れた今だって「俺は今もミクのことはいつでも心配してるよ。…だって好きな人のことだから」

とうとう言ってしまった。はっきり“好き”だと。ミクはどうなんだろう。本当に俺が好きなんだろうか。ずっと気になってたんだ。俺の“好き”はダダ漏れらしいけど、ミクのダダ漏れは皆の気のせいかもしれないじゃん。お嫁さんになりたい、なんて言ってくれたけど、前世の繋がりだけで、その約束を守るのにちょうどいいから俺を婚約者にしてくれたんじゃないか。もしそうなんだとしたら、俺はミクを諦めるべきだ。恐る恐る覗き込んだミクは、さっきのサンディよりも顔を赤くしていた。

「…ナル、僕、本気にしちゃうよ」「本気にしてもらわなきゃ困る」「…ちょー嬉しい…僕もナルが大好き」廊下だというのにミクが俺の手をギュッと握った。
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