邪魔はさせない

7.夏季休暇

6.そのころのミク

２か月の休み。せっかく元気な体を手に入れたのに、王子に生まれてしまったせいで簡単には外出もできない。他にやることのない僕は毎日タブレットのことを考えている。今日は５日に１度の城の魔道具の点検日だ。そのたびにロバート先生が僕のところに寄ってくれる。

「ミクール様、いかがですか？」「先生、魔法で連絡を取り合える人はお互いの魔力を覚えているんですよね？」魔力って人によって気配？オーラ？が違うんだって。補助魔法が得意なナルはそれを感じ取ることができるって言ってた。攻撃魔法しか使えない僕にはそれがわからない。「いろんな人の魔力をこれに登録できればいいのにな」

「ふむ…できるかもしれませんよ」「え？」「ミクール様も魔鳩をご存知でしょう？あれは行き来させたい相手同士の魔力を魔鳩に覚えさせて連絡に使っているのです」「へえ…」「魔鳩の成分をとりあえずマジックバッグに添加してみましょうか」「魔鳩に魔力を覚えさせるにはどうするんですか？」「魔法をかけるんです。ミクール様なら…そうですね、弱めの水魔法をかけてやる。私だったらライトをかけます。魔鳩を殺してしまっては困りますからね」「添加してからバッグに魔法をかけても意味ないんじゃ？」「それを試行錯誤していくこと、それが魔道具製作なのですよ」

ナルが領地に戻って１か月。王都に戻ってくるまであと１か月。サートスさんに僕達の夢を話す、ってナルは言ってた。ナルに会えないのは寂しいけれど、僕も僕達の夢のために今できることをがんばらなくちゃね。