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side 亮太
「…あふ…」抑えようとしても溢れる吐息。あかん、このままここに居ったらあかん。どんどん強くなる匂い。もしかして、もしかしてこの子が俺の…!
「…怖ないよ。大丈夫や」せや、この子は怖がっとるだけ。雨が、雷が怖いだけ。震える体を抱きしめて、安心させたるだけや。そう決めて引き寄せたのに、本能が意思とは関係なく俺を動かす。しがみつかれて上目遣いに向けられた瞳に、もう抗うことがでけへんかった。
「…落ち着いたか。すまんかった」「…いえ、俺の方こそ…ごめんなさい」「君が謝ることやないわ。ホンマに申し訳ない」「大丈夫です。ほんとに大丈夫。ありがとうございました」「…送るで」「…ううん、降ります」硬い笑顔を作って、車を降りる。頭を下げる姿をバックミラーに認めた俺は、仕方なくノロノロと車を発進させた。俺のタオルを握ったまま、いつまでも頭を下げる姿が小さくなった。
間違いない。あれは転性や。滅多にないことらしいが、アルファ同士が運命の番やったときに起こる転性。番の片方の体が相手を受け入れられるように急激に変化する、て、大学の講義でおそわったわな。5日ほど続くオメガのヒートとは違い、変化が終われば体の熱がおさまる、て。キスの間、燃えるように熱かったあの子の体は、いつの間にか雨に濡れた冷たさを取り戻しとった。俺は…俺は出会うことすら難しい運命の番を見つけた。そしてみすみす手放した。名も知らんあの子を俺のものにしてしまうことが怖くて…このまま失ってまうかもしれんのに。噛んでしまえ、と本能が叫んどったのに。
「…あふ…」抑えようとしても溢れる吐息。あかん、このままここに居ったらあかん。どんどん強くなる匂い。もしかして、もしかしてこの子が俺の…!
「…怖ないよ。大丈夫や」せや、この子は怖がっとるだけ。雨が、雷が怖いだけ。震える体を抱きしめて、安心させたるだけや。そう決めて引き寄せたのに、本能が意思とは関係なく俺を動かす。しがみつかれて上目遣いに向けられた瞳に、もう抗うことがでけへんかった。
「…落ち着いたか。すまんかった」「…いえ、俺の方こそ…ごめんなさい」「君が謝ることやないわ。ホンマに申し訳ない」「大丈夫です。ほんとに大丈夫。ありがとうございました」「…送るで」「…ううん、降ります」硬い笑顔を作って、車を降りる。頭を下げる姿をバックミラーに認めた俺は、仕方なくノロノロと車を発進させた。俺のタオルを握ったまま、いつまでも頭を下げる姿が小さくなった。
間違いない。あれは転性や。滅多にないことらしいが、アルファ同士が運命の番やったときに起こる転性。番の片方の体が相手を受け入れられるように急激に変化する、て、大学の講義でおそわったわな。5日ほど続くオメガのヒートとは違い、変化が終われば体の熱がおさまる、て。キスの間、燃えるように熱かったあの子の体は、いつの間にか雨に濡れた冷たさを取り戻しとった。俺は…俺は出会うことすら難しい運命の番を見つけた。そしてみすみす手放した。名も知らんあの子を俺のものにしてしまうことが怖くて…このまま失ってまうかもしれんのに。噛んでしまえ、と本能が叫んどったのに。
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