私は愛されていなかった幼妻だとわかっていました

ララ愛

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出会い

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 祖父の主催のパーティーに出席している孫のミリアは華やかな女性に囲まれている男性を見て驚いた。
 昨年の新年パーティーで転んだミリアを助けてくれた素敵な男性だったからだ。
「彼は素敵だもの・・あんなに囲まれていてはお礼は言えないし側にいくこともできないわ」
 つい目で追ってしまう。
 それを祖父は見逃さなかったがミリアは気が付いていない。
「ミリアは気になるようだがあれはなかなかの大物だが何とかしてみるか」
 祖父はクリオに目を付けた。

 後日祖父は仕事の話があるとクリオを呼び出す。
「うちの取引先を紹介したいが条件がある」
 クリオはちょうどその相手先を欲しいと考えていたので話にのった。
「ではお互いにいいお話でということで」
 そう言ったクリオに侯爵が付け加える。
「クリオは結婚はまだか?今回の話の条件についてもう一つあるのだが」
「結婚はしていませんが」
「私の孫娘をもらってほしいのだよ」
「それはどういうことでしょうか?」
「私もそう長くはないだろうから孫の将来の保証が欲しいのだよ。財産の管理も含めて預けたい」
 18歳の小娘との結婚?クリオは頭の中で面倒なことに巻き込まれたと思った。
 今更断ることもできない。
 相手の顔も知らないのになんでこうなるのだ?
 このじじいにまんまとはめられた気がしてならない。
 くそだな・・・・仕方ないか
 最悪は放置すればいいか・・・いやこのじじいのことだからそれは危ないことになるか。
 頭の中で色々検索してみるが仕事は欲しい。
「わかりました。とりあえずお孫さんに会いましょう」


 数日後侯爵家に呼ばれ孫娘と会った。
 可憐な小さな白百合という感じの伯爵とは全く違うではないか。
 嫌ではなかったので了承し結婚式を3か月後に早急に行うことになった。

 その日、ミリアは驚いた。
 祖父から結婚相手をみつけたので会うように言われてから気が進まない。
 仕方なく行ったのにあの方がいらしてしかも結婚を同意しているなんて、私の初恋が・・・
 それだけでドキドキしてしまう。
 こんな幼い私のようなものがいいのかしら?社交界で人気のあるあの人が私なんかと・・・
 ただウキウキでドキドキの私はどうして彼が私なんかと結婚してくれるのかまで考えていなかった。
 ありえないのにそこまで配慮できなかった。
 私は浅はかだった。
 だれが見ても不釣り合いな幼い妻をもつあの人のことを考えるべきだったのよ。
 今更もう遅いのにこの時の私は本当にバカだった。
 それに気が付くのはすぐなのに・・・・。




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