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やらかす私の(危険な)キモダメシ
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その2
やってくれたぜ‼︎
それからすぐに私は学校で指の複雑骨折、という事故に遭いました。指にケガを負ってしまいましたので、当然お運びのアルバイトなんかできっこありません。そして、このケガの原因があの肝試しにあるという確信がビンビンと、私の第六感に感じられてしまい、腹が立つやら気持ち悪いやらで、私はもうアツシと関わりたくない一心で、電話一本で店を辞めようと試みました。
普通ならそう簡単には辞められません。大抵は「今月いっぱいは働いてね★」とか言われるのですが、なにせ私は今ケガ人で店を休んでいる状態なので、そのまま辞められるだろうと思ったからです。
が、「辞めるなら制服をクリーニングして返して、店に置いてある私物も持って帰るように」と言われてたまたま学校の創立記念日で休みだった平日の午前中に、言われた通りに置いてある制服と私物を店まで取りに行くことにしました。
私は店長に辞めるのを引き止められたり、逆にネチネチと絡んでこられたら嫌だなあ、と憂鬱でしたが、実際には何とも事務的以上の冷たい塩対応されて、それはそれで何だかなあ、というモヤモヤした気分でした。
しかし、これで未練がきれいさっぱり無くなったのも確かだったので、有りっちゃ有りかな、と気が楽にもなりました。
そして帰ろうとすると同じ学校の後輩が、午後のシフトを入れていたらしく、従業員控え室に入ってきました。
その子とはシフトの曜日がたまに被っていたこともあり結構仲が良く、私はけじめ的に辞める挨拶をしました。
すると「えー、先輩辞めちゃうんですか?さびしーい」と社交辞令だとしても、私はそう言ってもらえたのが嬉しかったのと、先程のひどい塩対応のこともあり、少しホロリとした気持ちにさせられました。
「うん、残念だけど、ちょっとケガもしちゃったし、それでシフトの事でみんなに迷惑掛けちゃうのもマズイんで」と言って私は包帯グルグルの指を見せました。
途端に彼女は#何とも言えない顔になり、言いづらそうに「あのー、それって例のアレですか?」と言いました。
「えっ、アレって何。誰かから何か聞いたの?」と私は嫌な予感を覚えつつ聞いてみました。
「タズからです」と答えました。タズと言うのはアツシのことです。後輩たちからは『いざという時になると、あいつ本当に役立タズじゃね?』という評価を付けられていて、だから陰口でいつしか『タズ』というあだ名が付けられそう呼ばれていたのでした。
「まだ時間ある?社割で飲み物おごるからさ。ちょっとお話を聞かせてもらいたいんだ」と聞くと、後輩は興味(好奇心)があったのか「良いですよ」と言うことで、控え室のテーブルにアイスコーヒーを二つと、小腹が空いたのでフライドポテトを揚げてもらって盛りつけた皿を持ち込み、椅子に座って噂されているであろう話を聞いた結果、予想もしなかった事実が判明してしまいました。
アツシは例の肝だめしについて、得意そうにみんなに話したそうです。
その内容というのが…。
肝だめしに四人で行った。自分たちは廃院の中を色々と探検して回ったが、私がビビってしまいあんなに狭い場所なのに一人で迷子になった。見つけた時の私がいかにへっぴり腰で、アワアワしていたかという様子を面白おかしく話した、そうである。
そして、カルテに名前を書くのも最後までブルって拒否していた等々。
『まあ、やっぱりね、あいつの言いそうなことだよ』と一人納得していると「でも、許せないですよねー」と後輩は続けます。
んんんー?、何のこっちゃ?と思っていると私の顔を見て「えっ!先輩、知らなかったんですか。先輩まんまと騙されたんですよ」と言い出すではないですか‼
え?だから、なにがー!
肝だめしのやり方について。…嘘こきやがった、あんのやろー!
カルテは持ち出したら何もせずに返すか、持ち出したままにすること。名前を書いて返したら災難が起こる、らしい。
なんだとー!
じゃあ私のだけ、私がきっちり名前を書いたカルテだけを返しに行ったというのか?だから私は全治三ヶ月の通院生活を余儀なくされる羽目になってしまった、とそういう訳なんですね?
この病院代も私自身が払ってるんですが?バイトもできないから収入も無いってのにさ!
あったまに来た、もう我慢できねえ!と全ての事情を知り、一人悶々としている私に
「そうそう、聞いてくださいよー先輩。ケイちゃん先輩って、他の人に指示は出してくれないし、いきなり勝手にトンチンカンな作業し出すし、だから他の先輩たちが怒りまくりで今大変なんですよ。本当にケイちゃん先輩って、仕事が出来なすぎー、使えなさすぎー。マジ笑えますよね、アハハハハ。これから先輩が(私のことね)居なくなって、ちゃんと一人でやっていけるんですかねえ?」と後輩の口から言われてしまい、あのホンワカケイちゃんの意外な一面が。
あー、でも確かにケイちゃんは、男子にモテモテだったから、仕事がちょっとでも忙しくキツくなると男子がよくお手伝い、というか肩代わりしてあげてたし。あれ?よく考えるとニコニコと「お願いー、」なんて言われて「仕方ないなあ」と言いつつ私も手伝ってたり…。
ダメじゃん、(ケイちゃんのためにも)甘やかしたらダメじゃんよ私!
それに皆も私がケイちゃんを甘やかしている、と思って見てたのか、ショック。って今か、今頃気付くのかっ?
と頭の中でグルグル思っていると「でも、アツシとソウタを何とかして欲しいです」と言い出します。「えっ!何で‼︎(ソウタ君まで。しかも呼び捨て⁉)」寝耳に水の発言です。
「アツシはバイトの女子達にやたらとタッチしてくるし、ソウタはソウタで、ここの女子達にストーカーしてるらしいですよ。アイコ(後輩ちゃんと同期の子)なんて『急に学校に迎えに来られた』って言ってました。付き合ってもいないのに、気持ち悪いですよねー」
「ええっ!ソウタ君はケイちゃんと付き合ってるんじゃないの?」と素で驚いて聞くと「え?そうなんですか?はじめて知りましたー。でも、勘違いですよ、ソレ。ケイちゃん先輩は、年上の彼氏が居ますもん。私、この間、ちゃんとこの目で見ましたし」
・・・
知らなかった、知らなかった、知らなかったギャー!
アツシとソウタ(もはや呼び捨て)はそうやって、陰で可愛くて大人しい子によくちょっかいを出す、というセクハラをしまくっていたらしく、ますます従業員不足に拍車をかける原因になっていたのでした。
アツシばっかり一方的に目立ってたけど、ある意味、二人は類友だったのね。
ソウタとアツシの仲が良いのを、不思議に思ってたんだけど、何か納得‼
それに、ケイちゃんもどういうこと?私一人が、三人に弄ばれてたんですかね?
結局、私って人の表面というか、言葉や態度の上っ面、ほんの一面しか見てなかったのに、勝手にこんな人だと決めつけていたんだな、とすっごくショックでした。
「じゃあ先輩、私、時間なんで。ごゆっくり」と後輩ちゃんは店内へと働きに行ってしまった。
ガックリして帰ろうと思い、荷物を紙の手提げ袋にまとめて突っ込みつつ、いらないものは捨てて帰ろうとした私は、ゴミ箱の中に不自然に茶色く変色したソレを見つけました。
拾い上げて開いてみると、三人の名前が書かれたアノ"カルテ"でした。
『ゲッ!何でこんな所に?バカなの?証拠隠滅するんなら、燃やす位しろやぁ!』と激しく思いましたが、これも運命だったのかも知れません。
そのカルテのクシャクシャな皺を伸ばしてよく見てみると、書かれているのは暗号のような外国語の筆記文字(ものすごい癖字でまったく解読が不能)と数字の羅列があるばかりで、内容は当然、私にはチンプンカンプンなものでした。
が、そんなの関係ねー、のオッパッピーです。要するにこれが正真正銘、サインしてあるカルテであればいい訳ですから、クックック(笑)。
普段ならこんなこと絶対にしません。しかし、残念ですが肉体的損傷を受けた場合には、突発的に爆発してしまう人間なんですよ、私は。精神的損傷には、気が遠くなるほどネチネチと恨みまくりますけど。
だから、指のケガによるショックがあまりにも強すぎたため、私は少しおかしくなっていたのかも知れません。
私は〔捨てたカルテだけが抜き取られたゴミ箱〕に気付かれないために、最後のご奉公として、控え室と店長専用事務室のゴミもまとめて、きちんと捨てて差し上げました。
そして空っぽのゴミ箱を確かめ、ニヤリとしてから私は店を後にしました。
それから家にカルテを持って帰ると、さっそく一枚ずつちゃんとたたんで白い封筒に入れました。そして速攻でそれを病院まで返しに行ったのです。が、さすがにまた中に入るのはためらわれたので、玄関の壁に備え付けてあるポストの中(ポストの中に大量に詰め込まれていたチラシゴミは、邪魔だったので出して帰る途中に見付けたゴミ箱に捨てて来ました)に封筒三通を入れてきました。
後はどうなったか?呪いの結果のことなら、残念ですが知りません。
その後、私は知らん顔して制服を返しに行って終わりで、店ともそこで働く人たちとも縁が切れたからです。
返しに行った際も、仲間だった人たちは就労中で、挨拶を交わすくらいしかできませんでした。というか、店が最も忙しくなる時間帯を狙ってGO!しましたから、私に構ってる暇なんか無かったでしょう。残念ね。
ただ、あの後輩ちゃんには、もう一度ひょっこり会ったことがあり「先輩が辞めた後、しばらくしてからみんなで転職しました」と聞かされました。
「何で?」と聞くと「仕事ができる先輩たちも、みんないなくなっちゃったし」と言うので「えっ?私の他にも辞めたんだー、初耳!」と返すと
「あの三人、タズとソウタとケイちゃん先輩が急に来なくなっちゃったんですよねー。くっそ忙しいのに人も増やしてくれないし、仕事が大変でした。だから、ショッピングセンターが出来ましたよね?みんなで一斉に辞めて、そっちに移っちゃいました。時給が百円以上も高いんですよ。マジあの店くっそ安っ!(笑)」
とまあそう言うことで、私が辞めた後、仕事のできる後輩たちはこぞって、店の近くに開店したショッピングセンターの方に大移動したらしいし。それがやっぱり大打撃だったのか、わずか数年で店は潰れてしまったのでした。
…これらを思い出して、懐かしくなりましたが、つまるところ呪いなんてなかったんだ、と思います。私のケガも、単に自分のうっかりミスで起こった事故、だった訳だし。ただの気持ちの問題、なんです。私が勝手に色々裏切られた気持ちになって、悔しくて恨んでしまっただけです。
確かに裏の顔の様な一面を持っていたとしても、私が好ましく思った面も確かに持っていたはずなのです。だから、私の好ましく思った良い面と思っていたものをも汚され、信頼を裏切られた気がして恨んでしまったその気持ちを、呪いと呼ぶのではないしょうか?
だからカルテがどうのなんて、呪いとは関係ないと思うんですよ。
アレにそんな力があるとも思えませんし。
言い忘れましたが…、だからあの再会した時のケイちゃんが松葉杖だったのも、ソウタ君が車椅子だったのも、アレとはまったく関係ないことなのでしょう。たぶん。
おわり
やってくれたぜ‼︎
それからすぐに私は学校で指の複雑骨折、という事故に遭いました。指にケガを負ってしまいましたので、当然お運びのアルバイトなんかできっこありません。そして、このケガの原因があの肝試しにあるという確信がビンビンと、私の第六感に感じられてしまい、腹が立つやら気持ち悪いやらで、私はもうアツシと関わりたくない一心で、電話一本で店を辞めようと試みました。
普通ならそう簡単には辞められません。大抵は「今月いっぱいは働いてね★」とか言われるのですが、なにせ私は今ケガ人で店を休んでいる状態なので、そのまま辞められるだろうと思ったからです。
が、「辞めるなら制服をクリーニングして返して、店に置いてある私物も持って帰るように」と言われてたまたま学校の創立記念日で休みだった平日の午前中に、言われた通りに置いてある制服と私物を店まで取りに行くことにしました。
私は店長に辞めるのを引き止められたり、逆にネチネチと絡んでこられたら嫌だなあ、と憂鬱でしたが、実際には何とも事務的以上の冷たい塩対応されて、それはそれで何だかなあ、というモヤモヤした気分でした。
しかし、これで未練がきれいさっぱり無くなったのも確かだったので、有りっちゃ有りかな、と気が楽にもなりました。
そして帰ろうとすると同じ学校の後輩が、午後のシフトを入れていたらしく、従業員控え室に入ってきました。
その子とはシフトの曜日がたまに被っていたこともあり結構仲が良く、私はけじめ的に辞める挨拶をしました。
すると「えー、先輩辞めちゃうんですか?さびしーい」と社交辞令だとしても、私はそう言ってもらえたのが嬉しかったのと、先程のひどい塩対応のこともあり、少しホロリとした気持ちにさせられました。
「うん、残念だけど、ちょっとケガもしちゃったし、それでシフトの事でみんなに迷惑掛けちゃうのもマズイんで」と言って私は包帯グルグルの指を見せました。
途端に彼女は#何とも言えない顔になり、言いづらそうに「あのー、それって例のアレですか?」と言いました。
「えっ、アレって何。誰かから何か聞いたの?」と私は嫌な予感を覚えつつ聞いてみました。
「タズからです」と答えました。タズと言うのはアツシのことです。後輩たちからは『いざという時になると、あいつ本当に役立タズじゃね?』という評価を付けられていて、だから陰口でいつしか『タズ』というあだ名が付けられそう呼ばれていたのでした。
「まだ時間ある?社割で飲み物おごるからさ。ちょっとお話を聞かせてもらいたいんだ」と聞くと、後輩は興味(好奇心)があったのか「良いですよ」と言うことで、控え室のテーブルにアイスコーヒーを二つと、小腹が空いたのでフライドポテトを揚げてもらって盛りつけた皿を持ち込み、椅子に座って噂されているであろう話を聞いた結果、予想もしなかった事実が判明してしまいました。
アツシは例の肝だめしについて、得意そうにみんなに話したそうです。
その内容というのが…。
肝だめしに四人で行った。自分たちは廃院の中を色々と探検して回ったが、私がビビってしまいあんなに狭い場所なのに一人で迷子になった。見つけた時の私がいかにへっぴり腰で、アワアワしていたかという様子を面白おかしく話した、そうである。
そして、カルテに名前を書くのも最後までブルって拒否していた等々。
『まあ、やっぱりね、あいつの言いそうなことだよ』と一人納得していると「でも、許せないですよねー」と後輩は続けます。
んんんー?、何のこっちゃ?と思っていると私の顔を見て「えっ!先輩、知らなかったんですか。先輩まんまと騙されたんですよ」と言い出すではないですか‼
え?だから、なにがー!
肝だめしのやり方について。…嘘こきやがった、あんのやろー!
カルテは持ち出したら何もせずに返すか、持ち出したままにすること。名前を書いて返したら災難が起こる、らしい。
なんだとー!
じゃあ私のだけ、私がきっちり名前を書いたカルテだけを返しに行ったというのか?だから私は全治三ヶ月の通院生活を余儀なくされる羽目になってしまった、とそういう訳なんですね?
この病院代も私自身が払ってるんですが?バイトもできないから収入も無いってのにさ!
あったまに来た、もう我慢できねえ!と全ての事情を知り、一人悶々としている私に
「そうそう、聞いてくださいよー先輩。ケイちゃん先輩って、他の人に指示は出してくれないし、いきなり勝手にトンチンカンな作業し出すし、だから他の先輩たちが怒りまくりで今大変なんですよ。本当にケイちゃん先輩って、仕事が出来なすぎー、使えなさすぎー。マジ笑えますよね、アハハハハ。これから先輩が(私のことね)居なくなって、ちゃんと一人でやっていけるんですかねえ?」と後輩の口から言われてしまい、あのホンワカケイちゃんの意外な一面が。
あー、でも確かにケイちゃんは、男子にモテモテだったから、仕事がちょっとでも忙しくキツくなると男子がよくお手伝い、というか肩代わりしてあげてたし。あれ?よく考えるとニコニコと「お願いー、」なんて言われて「仕方ないなあ」と言いつつ私も手伝ってたり…。
ダメじゃん、(ケイちゃんのためにも)甘やかしたらダメじゃんよ私!
それに皆も私がケイちゃんを甘やかしている、と思って見てたのか、ショック。って今か、今頃気付くのかっ?
と頭の中でグルグル思っていると「でも、アツシとソウタを何とかして欲しいです」と言い出します。「えっ!何で‼︎(ソウタ君まで。しかも呼び捨て⁉)」寝耳に水の発言です。
「アツシはバイトの女子達にやたらとタッチしてくるし、ソウタはソウタで、ここの女子達にストーカーしてるらしいですよ。アイコ(後輩ちゃんと同期の子)なんて『急に学校に迎えに来られた』って言ってました。付き合ってもいないのに、気持ち悪いですよねー」
「ええっ!ソウタ君はケイちゃんと付き合ってるんじゃないの?」と素で驚いて聞くと「え?そうなんですか?はじめて知りましたー。でも、勘違いですよ、ソレ。ケイちゃん先輩は、年上の彼氏が居ますもん。私、この間、ちゃんとこの目で見ましたし」
・・・
知らなかった、知らなかった、知らなかったギャー!
アツシとソウタ(もはや呼び捨て)はそうやって、陰で可愛くて大人しい子によくちょっかいを出す、というセクハラをしまくっていたらしく、ますます従業員不足に拍車をかける原因になっていたのでした。
アツシばっかり一方的に目立ってたけど、ある意味、二人は類友だったのね。
ソウタとアツシの仲が良いのを、不思議に思ってたんだけど、何か納得‼
それに、ケイちゃんもどういうこと?私一人が、三人に弄ばれてたんですかね?
結局、私って人の表面というか、言葉や態度の上っ面、ほんの一面しか見てなかったのに、勝手にこんな人だと決めつけていたんだな、とすっごくショックでした。
「じゃあ先輩、私、時間なんで。ごゆっくり」と後輩ちゃんは店内へと働きに行ってしまった。
ガックリして帰ろうと思い、荷物を紙の手提げ袋にまとめて突っ込みつつ、いらないものは捨てて帰ろうとした私は、ゴミ箱の中に不自然に茶色く変色したソレを見つけました。
拾い上げて開いてみると、三人の名前が書かれたアノ"カルテ"でした。
『ゲッ!何でこんな所に?バカなの?証拠隠滅するんなら、燃やす位しろやぁ!』と激しく思いましたが、これも運命だったのかも知れません。
そのカルテのクシャクシャな皺を伸ばしてよく見てみると、書かれているのは暗号のような外国語の筆記文字(ものすごい癖字でまったく解読が不能)と数字の羅列があるばかりで、内容は当然、私にはチンプンカンプンなものでした。
が、そんなの関係ねー、のオッパッピーです。要するにこれが正真正銘、サインしてあるカルテであればいい訳ですから、クックック(笑)。
普段ならこんなこと絶対にしません。しかし、残念ですが肉体的損傷を受けた場合には、突発的に爆発してしまう人間なんですよ、私は。精神的損傷には、気が遠くなるほどネチネチと恨みまくりますけど。
だから、指のケガによるショックがあまりにも強すぎたため、私は少しおかしくなっていたのかも知れません。
私は〔捨てたカルテだけが抜き取られたゴミ箱〕に気付かれないために、最後のご奉公として、控え室と店長専用事務室のゴミもまとめて、きちんと捨てて差し上げました。
そして空っぽのゴミ箱を確かめ、ニヤリとしてから私は店を後にしました。
それから家にカルテを持って帰ると、さっそく一枚ずつちゃんとたたんで白い封筒に入れました。そして速攻でそれを病院まで返しに行ったのです。が、さすがにまた中に入るのはためらわれたので、玄関の壁に備え付けてあるポストの中(ポストの中に大量に詰め込まれていたチラシゴミは、邪魔だったので出して帰る途中に見付けたゴミ箱に捨てて来ました)に封筒三通を入れてきました。
後はどうなったか?呪いの結果のことなら、残念ですが知りません。
その後、私は知らん顔して制服を返しに行って終わりで、店ともそこで働く人たちとも縁が切れたからです。
返しに行った際も、仲間だった人たちは就労中で、挨拶を交わすくらいしかできませんでした。というか、店が最も忙しくなる時間帯を狙ってGO!しましたから、私に構ってる暇なんか無かったでしょう。残念ね。
ただ、あの後輩ちゃんには、もう一度ひょっこり会ったことがあり「先輩が辞めた後、しばらくしてからみんなで転職しました」と聞かされました。
「何で?」と聞くと「仕事ができる先輩たちも、みんないなくなっちゃったし」と言うので「えっ?私の他にも辞めたんだー、初耳!」と返すと
「あの三人、タズとソウタとケイちゃん先輩が急に来なくなっちゃったんですよねー。くっそ忙しいのに人も増やしてくれないし、仕事が大変でした。だから、ショッピングセンターが出来ましたよね?みんなで一斉に辞めて、そっちに移っちゃいました。時給が百円以上も高いんですよ。マジあの店くっそ安っ!(笑)」
とまあそう言うことで、私が辞めた後、仕事のできる後輩たちはこぞって、店の近くに開店したショッピングセンターの方に大移動したらしいし。それがやっぱり大打撃だったのか、わずか数年で店は潰れてしまったのでした。
…これらを思い出して、懐かしくなりましたが、つまるところ呪いなんてなかったんだ、と思います。私のケガも、単に自分のうっかりミスで起こった事故、だった訳だし。ただの気持ちの問題、なんです。私が勝手に色々裏切られた気持ちになって、悔しくて恨んでしまっただけです。
確かに裏の顔の様な一面を持っていたとしても、私が好ましく思った面も確かに持っていたはずなのです。だから、私の好ましく思った良い面と思っていたものをも汚され、信頼を裏切られた気がして恨んでしまったその気持ちを、呪いと呼ぶのではないしょうか?
だからカルテがどうのなんて、呪いとは関係ないと思うんですよ。
アレにそんな力があるとも思えませんし。
言い忘れましたが…、だからあの再会した時のケイちゃんが松葉杖だったのも、ソウタ君が車椅子だったのも、アレとはまったく関係ないことなのでしょう。たぶん。
おわり
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