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幼少期2
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「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
物語に出てくるお姫様のような姉に、私は思わず言ってしまいました。しかし、返ってきた言葉は、いつかのお父様の言葉と同じでした。それならば仕方ないと、何も言えなくなります。
ありのままが認められているというのに、不満を言ったら罰が当たります。
「姉と似ていないな」
やはり第一王子もそう言いました。姉は、いつものように私のことをかわいいと言います。
ところが、第一王子は姉の笑顔に見とれるのではなく、首を傾げました。
「かわいいか?」
その瞬間魔法が解けてしまったかのように、顔がサッと赤くなりました。そして気がついたのです。王族を除いて、我が家より上の位の貴族はいません。皆、その家格に遠慮して本当のことを言わなかったのだと。
第一王子の言葉を皮切りに皆がくすくすくすと笑い始めます。私は誰の顔も見ることができませんでした。俯き、注目されなくなるのをただじっと待っていました。
「お前はどんな表情をしていても、美しいな」
「そんな…照れてしまいます」
姉も私とは違う理由で顔が赤くなりました。頬が薔薇色に染まっています。皆がうっとりと姉を眺め、ようやく私は解放されました。
私は勇気を振り絞って、気分が悪くなったからとその場を離れました。後ろで聞こえるさざめきが、声が、全部私のことを笑っているように感じます。惨めで泣きたくて愚かな自分を呪いました。
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
物語に出てくるお姫様のような姉に、私は思わず言ってしまいました。しかし、返ってきた言葉は、いつかのお父様の言葉と同じでした。それならば仕方ないと、何も言えなくなります。
ありのままが認められているというのに、不満を言ったら罰が当たります。
「姉と似ていないな」
やはり第一王子もそう言いました。姉は、いつものように私のことをかわいいと言います。
ところが、第一王子は姉の笑顔に見とれるのではなく、首を傾げました。
「かわいいか?」
その瞬間魔法が解けてしまったかのように、顔がサッと赤くなりました。そして気がついたのです。王族を除いて、我が家より上の位の貴族はいません。皆、その家格に遠慮して本当のことを言わなかったのだと。
第一王子の言葉を皮切りに皆がくすくすくすと笑い始めます。私は誰の顔も見ることができませんでした。俯き、注目されなくなるのをただじっと待っていました。
「お前はどんな表情をしていても、美しいな」
「そんな…照れてしまいます」
姉も私とは違う理由で顔が赤くなりました。頬が薔薇色に染まっています。皆がうっとりと姉を眺め、ようやく私は解放されました。
私は勇気を振り絞って、気分が悪くなったからとその場を離れました。後ろで聞こえるさざめきが、声が、全部私のことを笑っているように感じます。惨めで泣きたくて愚かな自分を呪いました。
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