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後編
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「……ああ…んんん……あ、そこ……っ」
なぜ、こんなことになっているのか男は回らない頭で考えていた。
マッサージが得意などと訳の分からぬことを言い出した女の意図が読めず、不覚にも唖然としてしまったのがいけなかった。
次の瞬間女が掴みかかってきた。勢いのままうつ伏せの状態でソファーに倒れる。
慌てて魔法を使おうとしたが、女の手が身体に触れた途端ふにゃりと蕩けてしまった。
(こんなのは…自分じゃない…!)
そうは思うものの身体に力が入らない。
ぐりっぐりっとコリを解していく手を振り払えない。
(自分はどうしてしまったというのか…!
高位の魔導師である自分がこんな…こんな風に喘がされているなどと誰かに知られたら…!)
男のプライドにひびが入っていく。
女の程よい熱さの手が動く度にあられもない声が出てしまう。
男は恥をかなぐり捨てて懇願した。
「も、もう…やめてくれ!」
「でもまだ解れてないし」
女はいい笑顔で言いきった。
男は絶望した。
女には何らかの力があるようだ。相手の身体を無力化する…なんて恐ろしい能力だ。
男は恐怖した。
しかしこれはまだ始まりに過ぎなかった。女が男の上に跨がる。
「な…っ!!」
(絞め殺す気か?)
男は身動ぎしようとしたが、女が男の尻を揉み始めた途端ぐあっという声が出た。
「お客さん凝りすぎですよ…お仕事大変なんですね?」
女がノリノリで言う。実際女の目には見えていた。運動不足なのか男の身体は凝り固まり肩はガチガチだった。
指が入らないことに驚きはしたが、丁寧に痛くないように揉んでいく内ましになってきた。今は尻に集中だ。
(やりがいあるなー)
女は心底楽しんでいた。
ぐりぐりと揉み解していく。この世界に来てから微かな色がついて見えるようになった場所を意識して押すと、男の声が大きくなる。
気持ち良さそうで何より、と女は嬉しそうに笑った。
「も、もう…んん…これ以上は…っ」
男は羞恥に苛まれながらも、女がもたらす気持ちよさに浸っていた。身も心も蕩け始めていた。
「身体固いねー…何かストレスでもあるの?」
そのため普段なら絶対答えなかっただろう問いに言葉を返していた。
「…ん…だれも…俺のことを…んあ…そこっきもち…認めてくれ…ないん…だ…っ」
「…そっか。君も大変だね…」
女の言葉が胸に刺さる。意外にも優しく言われ心が震えてしまった。
男の気持ち良さげな声に女は満足し、男は声を抑えるのを諦めただ喘いだ。
色っぽいな~…。女は呑気に考えていた。
****
しばらくマッサージは続いた。
全身が粗方解れたのか、満足した女は言った。
「元いた所に戻るまでしばらくよろしく!」
男は諦めて乾いた笑いを漏らした。
女のマッサージは魅力的だったし、知らず女自身にも興味を持ち始めていた。
強引な女に流される自分も悪くないとちらと思ったが慌てて首を振って打ち消した。
なぜ、こんなことになっているのか男は回らない頭で考えていた。
マッサージが得意などと訳の分からぬことを言い出した女の意図が読めず、不覚にも唖然としてしまったのがいけなかった。
次の瞬間女が掴みかかってきた。勢いのままうつ伏せの状態でソファーに倒れる。
慌てて魔法を使おうとしたが、女の手が身体に触れた途端ふにゃりと蕩けてしまった。
(こんなのは…自分じゃない…!)
そうは思うものの身体に力が入らない。
ぐりっぐりっとコリを解していく手を振り払えない。
(自分はどうしてしまったというのか…!
高位の魔導師である自分がこんな…こんな風に喘がされているなどと誰かに知られたら…!)
男のプライドにひびが入っていく。
女の程よい熱さの手が動く度にあられもない声が出てしまう。
男は恥をかなぐり捨てて懇願した。
「も、もう…やめてくれ!」
「でもまだ解れてないし」
女はいい笑顔で言いきった。
男は絶望した。
女には何らかの力があるようだ。相手の身体を無力化する…なんて恐ろしい能力だ。
男は恐怖した。
しかしこれはまだ始まりに過ぎなかった。女が男の上に跨がる。
「な…っ!!」
(絞め殺す気か?)
男は身動ぎしようとしたが、女が男の尻を揉み始めた途端ぐあっという声が出た。
「お客さん凝りすぎですよ…お仕事大変なんですね?」
女がノリノリで言う。実際女の目には見えていた。運動不足なのか男の身体は凝り固まり肩はガチガチだった。
指が入らないことに驚きはしたが、丁寧に痛くないように揉んでいく内ましになってきた。今は尻に集中だ。
(やりがいあるなー)
女は心底楽しんでいた。
ぐりぐりと揉み解していく。この世界に来てから微かな色がついて見えるようになった場所を意識して押すと、男の声が大きくなる。
気持ち良さそうで何より、と女は嬉しそうに笑った。
「も、もう…んん…これ以上は…っ」
男は羞恥に苛まれながらも、女がもたらす気持ちよさに浸っていた。身も心も蕩け始めていた。
「身体固いねー…何かストレスでもあるの?」
そのため普段なら絶対答えなかっただろう問いに言葉を返していた。
「…ん…だれも…俺のことを…んあ…そこっきもち…認めてくれ…ないん…だ…っ」
「…そっか。君も大変だね…」
女の言葉が胸に刺さる。意外にも優しく言われ心が震えてしまった。
男の気持ち良さげな声に女は満足し、男は声を抑えるのを諦めただ喘いだ。
色っぽいな~…。女は呑気に考えていた。
****
しばらくマッサージは続いた。
全身が粗方解れたのか、満足した女は言った。
「元いた所に戻るまでしばらくよろしく!」
男は諦めて乾いた笑いを漏らした。
女のマッサージは魅力的だったし、知らず女自身にも興味を持ち始めていた。
強引な女に流される自分も悪くないとちらと思ったが慌てて首を振って打ち消した。
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