妹への復讐と私の幸せ

ぴぴみ

文字の大きさ
2 / 3

復讐

しおりを挟む
 どうやって復讐してやろうか…。
私は考え込むが妹にされたことをやり返すだけでは芸がない。思いもつかぬこと…妹には決してできないことは何か。

 そして思い付いた。

 私は信頼できる侍女に自身の代わりを頼んだ。影武者として部屋に籠ってもらうために。
父が監視としてつけた使用人の目を掻い潜り裏オークションに参加する。

 闇の中に生きるものが集う場所。ここでは法は機能しない。私は父である公爵から勉強と称して何度か連れてきてもらっていた。
次期当主となるレイノルドを支える者として役に立つこともあるだろうと…。

 今役に立っているわと笑い、私は参加者としてではなくとして自身を売り込みに行った。公爵の名を出し、半ばオークション主催側の人間を脅すようにしてほの暗い舞台上に立った。

 ぷるりとした胸がこぼれそうな衣装に身を包み、顔には蝶の仮面。観客に向かって優雅に一礼する。

 慌てて説明が入った。

「…こちらはとある高貴な血筋のご令嬢。
変わり種でご自身自ら売り込みに来られました。瑞々しいお身体をまだ誰にも触れさせたことがないとのこと。性奴隷として一から育てるのも一興かと。では500万€から。」

 酔狂な者たちが値段をつり上げていく。
もう後には引けない。いざとなったら逃げるつもりだが、そうはならないと予感している。

「5000万€が出ました。他はいらっしゃいませんか?」


「…1億€」

 低い声で仮面の男が言った。他は黙りこんだ。どうやらこの男に買われるようだと私は理解した。

 
 私の身体には魔法がかけられている。
妹に復讐すると決めたときからずっと、強く歪な魔法が私の内側に存在している。
─目的を果たすまで誰も私の身体には触れられない。

 それを隠して目の前の男に買わせたのは悪かったと思うが、同情はしない。あの場所に足を踏み入れているだけでも後ろ暗いことに手を染めている証だ。

 私は目を布か何かで隠され男の家へと連れていかれる。すぐにベッドに連れていかれるのかと思っていたら

「ここでゆっくり休むといい」

 男はそう言って去っていった。



 男は人相は悪いもののよくよく見ると整った顔立ちをしていた。

「よく眠れたか?」

 その言葉に軽く頷き気になっていたことを聞く。

「奴隷として扱わないの?」

「……女には困っていない」

 困った。予想外の相手だ。これでは取引できるかどうか…。そんな心配をおくびにも出さず私は言った。

「私と取引しない?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約者が妹にフラついていたので相談してみた

crown
恋愛
本人に。

姉から全て奪う妹

明日井 真
ファンタジー
「お姉様!!酷いのよ!!マリーが私の物を奪っていくの!!」 可愛い顔をした悪魔みたいな妹が私に泣きすがってくる。 だから私はこう言うのよ。 「あら、それって貴女が私にしたのと同じじゃない?」 *カテゴリー不明のためファンタジーにお邪魔いたします。

全てを奪っていた妹と、奪われていた私の末路

こことっと
恋愛
妹のマティルデは私の全てを奪う。 まるで、そう言う生物であるかのように。

(完結)妹の身代わりの私

青空一夏
恋愛
妹の身代わりで嫁いだ私の物語。 ゆるふわ設定のご都合主義。

【完結】「かわいそう」な公女のプライド

干野ワニ
恋愛
馬車事故で片脚の自由を奪われたフロレットは、それを理由に婚約者までをも失い、過保護な姉から「かわいそう」と口癖のように言われながら日々を過ごしていた。 だが自分は、本当に「かわいそう」なのだろうか? 前を向き続けた令嬢が、真の理解者を得て幸せになる話。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

妹が自ら89人目の妻になりにいった話。

序盤の村の村人
恋愛
 妹リリは、私の物を何でも欲しがった。お気に入りのぬいぐるみに、高い羽ペン。友達からもらったお菓子まで。ついには、私の婚約者を欲しいと言ってきて無視していたが、婚約者である第一王子のレイに婚約破棄をすると宣言されてしまう。婚約者の隣には、妹が勝ち誇ったような顔でいて……。

【完結】お姉様ばかりずるい!私も!何でもマネする妹のせいで品行方正を強いられる

堀 和三盆
恋愛
「お姉様ばかりずるい! 私も! 楽しそうだから私もダンスを習いたいわ」  ダンスが苦手だった私が二年間ほど習ってようやく楽しめるようになったころ。妹がそんなことを言い出した。そして遅れて習い始めた妹に半年もしないうちにサクッと追い越されてしまう。  ああ、やっぱりこうなるのね、と思う。  妹は何でも私のマネをしたがる。そして優秀な妹は私の数倍の速さで色々な技術を身に付ける。両親はそんな妹に期待をかけて、いつの間にか妹に習わせたいものだけを私にやらせるようになった。  料理も水泳も山登りも、私が望んだものは何一つ習わせてもらえない。  そして常に品行方正を強いられる。  妹のためとはいえ、様々な習い事や勉強で知識を増やしてきた私はそれなりに注目されていたらしく、なんと王太子殿下の婚約者に指名されてしまった。  そして、王太子妃教育が始まり3年立ったころ。  やはり、いつものアレが始まった。 「お姉様ばかりずるい! 私も! 楽しそうだから私も王太子妃教育が受けたい」  ……妹の中では王太子妃教育も習い事に入るみたい。

ことあるごとに絡んでくる妹が鬱陶しいので、罠にかけました

四季
恋愛
わがままに育った妹は、私の大事なものをことあるごとに奪ってくる。しかも父親は妹を可愛がっていてまっとうな判断ができない。 これまでは諦めるだけだった。 でももう許さない。 妹の特性を利用し、罠にはめるーー!

処理中です...