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5.カレン様と展示会
⑦
「離してください……!」
「恥ずかしがらないでくださいませ! 行きましょう、メイベル様!」
カレン様は全く私の腕を離そうとしない。強い力で引っ張られ、私はとうとうステージの真ん中まで連れてこられてしまった。
ステージの真ん中から会場を見た。にこやかだった観客の表情が、私を見た途端不審そうになるのを感じる。
これ、絶対旧作の安いドレスで舞台に上がったおかしな女だと思われてる……!
「カレン様、やっぱり私戻ります!」
「まぁ。そんなことおっしゃらないでくださいませ。今日のメイベル様、素朴でとっても素敵ですわよ」
カレン様はくすくす笑いながら言う。
しかし観客たちも、舞台袖に見える関係者も、どう見ても困惑しているようにしか見えない。
会場の反対側には鏡があり、私とカレン様が並んでいる姿が映っている。薔薇のあしらわれた華やかなドレスに身を包んだカレン様と、白い簡素なドレスを着た私。なんだか王女様とその召使いみたいだ。
鏡の中で、カレン様が私を横目に見ながらにんまり笑うのが見えた。
すると、会場の端にいるレナード様の姿が目に入った。レナード様は今会場に戻ってきたところのようで、きょろきょろ辺りを見回している。
それから舞台に目を向けたレナード様は、私と目が合うと驚いた顔をした。
レナード様は口パクでこちらに何か問いかけてくる、そこで何をやっているの、と口が動いた気がした。
私は困惑しながらレナード様に向かって首を横に振る。
会場からは、囁くような声が聞こえてきた。
「あのご令嬢のドレス、簡素過ぎないかしら」
「あれは去年のドレスじゃないか? なぜわざわざショーであのドレスを」
「赤いドレスの方と随分差がありますわね」
会場の人たちの視線が痛い。早く舞台の後ろに引っ込みたいのに、カレン様にぎゅっと腕を掴まれていて離してもらえない。
会場ではレナード様が慌てた様子で会場を歩き回っていた。
しかしレナード様は突然足を止めて、視線をまっすぐこちらに向ける。そして懐から杖を取り出した。
レナード様は私に向かって杖を向ける。
(レナード様、どうしたのかしら……)
不思議に思いながら見ていると、レナード様は何か呪文を唱えながら杖を振った。
その途端、もくもく煙が上がって視界が真っ白になる。会場が途端にざわめきだした。
「きゃあっ! なによこれ!」
カレン様が横で慌てている。その拍子に、強く掴まれていた腕をようやく離してもらえた。会場はまだざわめいている。
ようやく煙が薄まって視界が開けてくる。
煙が完全になくなった後に見えたのは、こちらに驚いた顔で視線を向ける観客たちの姿だった。視線が集まっているのは同じだけれど、先ほどまでとは明らかに雰囲気が違う。
「恥ずかしがらないでくださいませ! 行きましょう、メイベル様!」
カレン様は全く私の腕を離そうとしない。強い力で引っ張られ、私はとうとうステージの真ん中まで連れてこられてしまった。
ステージの真ん中から会場を見た。にこやかだった観客の表情が、私を見た途端不審そうになるのを感じる。
これ、絶対旧作の安いドレスで舞台に上がったおかしな女だと思われてる……!
「カレン様、やっぱり私戻ります!」
「まぁ。そんなことおっしゃらないでくださいませ。今日のメイベル様、素朴でとっても素敵ですわよ」
カレン様はくすくす笑いながら言う。
しかし観客たちも、舞台袖に見える関係者も、どう見ても困惑しているようにしか見えない。
会場の反対側には鏡があり、私とカレン様が並んでいる姿が映っている。薔薇のあしらわれた華やかなドレスに身を包んだカレン様と、白い簡素なドレスを着た私。なんだか王女様とその召使いみたいだ。
鏡の中で、カレン様が私を横目に見ながらにんまり笑うのが見えた。
すると、会場の端にいるレナード様の姿が目に入った。レナード様は今会場に戻ってきたところのようで、きょろきょろ辺りを見回している。
それから舞台に目を向けたレナード様は、私と目が合うと驚いた顔をした。
レナード様は口パクでこちらに何か問いかけてくる、そこで何をやっているの、と口が動いた気がした。
私は困惑しながらレナード様に向かって首を横に振る。
会場からは、囁くような声が聞こえてきた。
「あのご令嬢のドレス、簡素過ぎないかしら」
「あれは去年のドレスじゃないか? なぜわざわざショーであのドレスを」
「赤いドレスの方と随分差がありますわね」
会場の人たちの視線が痛い。早く舞台の後ろに引っ込みたいのに、カレン様にぎゅっと腕を掴まれていて離してもらえない。
会場ではレナード様が慌てた様子で会場を歩き回っていた。
しかしレナード様は突然足を止めて、視線をまっすぐこちらに向ける。そして懐から杖を取り出した。
レナード様は私に向かって杖を向ける。
(レナード様、どうしたのかしら……)
不思議に思いながら見ていると、レナード様は何か呪文を唱えながら杖を振った。
その途端、もくもく煙が上がって視界が真っ白になる。会場が途端にざわめきだした。
「きゃあっ! なによこれ!」
カレン様が横で慌てている。その拍子に、強く掴まれていた腕をようやく離してもらえた。会場はまだざわめいている。
ようやく煙が薄まって視界が開けてくる。
煙が完全になくなった後に見えたのは、こちらに驚いた顔で視線を向ける観客たちの姿だった。視線が集まっているのは同じだけれど、先ほどまでとは明らかに雰囲気が違う。
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