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6.ルヴェーナ魔法学園
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***
翌日、私はラネル魔術院にいる間、一日中悶々としていた。
(どうしよう……。行く気はないのに……)
断ろうと思っているのになんだか妙に気になって、魔術院にまで入学案内を持ってきてしまった。時間が空く度に、ついその冊子を眺めてしまっている。
冊子には、ルヴェーナ魔法学園で行っている授業や、在籍している有名な魔導士の先生について、飼育している珍しい魔獣のことなどが詳細に書かれていた。行くつもりはないのに、いつの間にか私はそれらを読み込んでいた。
そんな風に悶々と過ごしているうちに放課後になった。気を取り直して、いつも通り学園長先生の特別訓練のために訓練場へ向かう。
訓練場につくと、まだ学園長先生もレナード様も来ていなかった。
私はベンチに腰掛けて、再びぱらぱらと小冊子を捲る。
「メイベルさん、何見てるの?」
「レナード様!」
手元を覗き込まれて、私は慌てて冊子を閉じた。いつの間にかレナード様も訓練場に来ていたようだ。
「ごめん、見ちゃいけないやつだった?」
「い、いえ、そういうわけでは!」
私はどぎまぎして首を横に振る。なんだか悪いことをしている気分になるのはなぜだろう。
私は少々躊躇いながら説明した。
「実は……昨日、街でルヴェーナ魔法学園の教師の方に会ったんです」
「へぇ、ルヴェーナ魔法学園の」
「はい。豹型魔獣を逃がしてしまったようで慌てて追いかけていらして。魔獣を眠らせて止めたら、とても感謝されまして」
「えっ、街中で魔獣が逃げてきたの!? メイベルさん大丈夫だった!?」
「はい、魔法ですぐに眠らせられたので大丈夫です! 前にフォスティを眠らせたときに使った魔法が役に立ちました」
「よかった……。それにしてもちょっと心配になる教師だな……」
レナード様は顔を顰めて言う。私はその時の状況を説明する。
「教師の方もすごく慌てて追いかけていました! きっと一瞬の隙をついて逃げ出してしまったんだと思います」
「そっか……。そういうこともあるのかな。メイベルさんが無事だったならいいんだけど」
「私はこの通り大丈夫です! それで、実はその教師の方にルヴェーナ魔法学園に転校して来ないかと誘われまして。断ったら、見学だけでも来てみないかとこの入学案内を渡されたんです」
「え!?」
レナード様は目を見開いた。それからおそるおそるといった様子で尋ねてくる。
「メイベルさん、ルヴェーナ魔法学園に行きたいの……?」
「いえ、私はラネル魔術院が好きなので断るつもりです。ただ、断るつもりなのに妙にこの冊子が気になって、つい眺めてしまっていたんですよね」
私がそう言うと、レナード様はしんみりした顔になった。
「そっか。メイベルさん、最初はルヴェーナ魔法学園に行くつもりだったって言ってたもんね……」
「最初はですよ。今はラネル魔術院に来てよかったと思っています」
私ははっきりそう説明する。
心からの言葉だった。しかし、その言葉に嘘はないのに、やっぱりもらった冊子は気になってしまう。
翌日、私はラネル魔術院にいる間、一日中悶々としていた。
(どうしよう……。行く気はないのに……)
断ろうと思っているのになんだか妙に気になって、魔術院にまで入学案内を持ってきてしまった。時間が空く度に、ついその冊子を眺めてしまっている。
冊子には、ルヴェーナ魔法学園で行っている授業や、在籍している有名な魔導士の先生について、飼育している珍しい魔獣のことなどが詳細に書かれていた。行くつもりはないのに、いつの間にか私はそれらを読み込んでいた。
そんな風に悶々と過ごしているうちに放課後になった。気を取り直して、いつも通り学園長先生の特別訓練のために訓練場へ向かう。
訓練場につくと、まだ学園長先生もレナード様も来ていなかった。
私はベンチに腰掛けて、再びぱらぱらと小冊子を捲る。
「メイベルさん、何見てるの?」
「レナード様!」
手元を覗き込まれて、私は慌てて冊子を閉じた。いつの間にかレナード様も訓練場に来ていたようだ。
「ごめん、見ちゃいけないやつだった?」
「い、いえ、そういうわけでは!」
私はどぎまぎして首を横に振る。なんだか悪いことをしている気分になるのはなぜだろう。
私は少々躊躇いながら説明した。
「実は……昨日、街でルヴェーナ魔法学園の教師の方に会ったんです」
「へぇ、ルヴェーナ魔法学園の」
「はい。豹型魔獣を逃がしてしまったようで慌てて追いかけていらして。魔獣を眠らせて止めたら、とても感謝されまして」
「えっ、街中で魔獣が逃げてきたの!? メイベルさん大丈夫だった!?」
「はい、魔法ですぐに眠らせられたので大丈夫です! 前にフォスティを眠らせたときに使った魔法が役に立ちました」
「よかった……。それにしてもちょっと心配になる教師だな……」
レナード様は顔を顰めて言う。私はその時の状況を説明する。
「教師の方もすごく慌てて追いかけていました! きっと一瞬の隙をついて逃げ出してしまったんだと思います」
「そっか……。そういうこともあるのかな。メイベルさんが無事だったならいいんだけど」
「私はこの通り大丈夫です! それで、実はその教師の方にルヴェーナ魔法学園に転校して来ないかと誘われまして。断ったら、見学だけでも来てみないかとこの入学案内を渡されたんです」
「え!?」
レナード様は目を見開いた。それからおそるおそるといった様子で尋ねてくる。
「メイベルさん、ルヴェーナ魔法学園に行きたいの……?」
「いえ、私はラネル魔術院が好きなので断るつもりです。ただ、断るつもりなのに妙にこの冊子が気になって、つい眺めてしまっていたんですよね」
私がそう言うと、レナード様はしんみりした顔になった。
「そっか。メイベルさん、最初はルヴェーナ魔法学園に行くつもりだったって言ってたもんね……」
「最初はですよ。今はラネル魔術院に来てよかったと思っています」
私ははっきりそう説明する。
心からの言葉だった。しかし、その言葉に嘘はないのに、やっぱりもらった冊子は気になってしまう。
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