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私戦いたくないんですけど....
しおりを挟む???「という訳で!この世界を救ってくださいね!」
いや━━ 何を言ってるんだこの人
???「もしもし~?聞こえてますか~?」
聞こえては要る....けど状況がさっぱり飲み込めない
私の名前はヒカリ
歳は23歳
髪は黒髪で長さは肩まで
身長は167cm
顔は...まぁ可愛いと思う
私はクナールという町の酒場で
朝から晩までクタクタになるまで働いている
昨日は寝不足のせいか皿洗い中に皿をわり
更にお客様の元にまで運ぶ時、転んで6000ゴールドはする
お酒を床にぶちまけ店長にこっぴどく怒られ泣きそうになり
挙句の果てにはベロンベロンに酔って吐いたお客のゲロの後始末を...!
心も体もボロボロで癒しを求めにベッドに入り眠りについたら
翼が生え、長いブロンドの髪で豊満な胸の女性に
いきなり世界を救えと言われた!
何この状況!?
....あぁ!これは夢だな
夢に違いない!
ほっぺをつねれば目が覚め.....イタタタタ!!
目が覚めない....!?なんで!?
???「あの~ここ夢じゃないですからねー」
心を読まれてる!?
ゆ、夢じゃない...?なら現実..?
でも見渡す限り真っ白で何もない空間なんて現実じゃない..!
???「とりあえず座ってお話しません?」
そう彼女が言うと
何も無い空間からいきなりテーブルと椅子が現れた
.....やはり現実じゃないな
私は夢だと確信しながら、彼女の言うとおり椅子に座る事にした
???「自己紹介が遅れましたね~。私は女神ルチアです」
女神ルチア...!
10年前女神ルチア様はこの世界で流行った疫病を鎮め
世界を救ってくれた女神様として世界中の人々に信仰されている
だけどこの人が本当に女神ルチア様なのだろうか...?
私は勿論本物のルチア様なんて見たことはない
見たのはルチア様に出会ったという人が彫った彫刻くらいだ
彫刻のルチア様は凛とした顔でありながら、その表情は優しく
堂々として凛々しくまさしく私が想像する女神様の姿であった
その彫刻と比べると...この自称ルチア様は
見た目は20代くらいで凛々しいと言うより自信が無さそうな顔に見える
猫背で声も覇気がなくて....胸はこんなに無かったはず!!
ヒカリ「えーっと...そのルチア様が私になんの用で...?」
困惑しながらも、私は初めて口を開いた
ルチア「あぁ~!良かったー!!ここに転送する時に誤って脳をグチャグチャにして喋れなくしちゃったかと思ったじゃないですかー!」
ルチア「喋れるなら最初から喋ってくださいよー!全くもう!!」
何を言ってるんだこの人は!??
脳をグチャグチャ!?
ってか何で私怒られてるんだ!!!
ルチア「率直に言いますね!貴女にはこの世界を救って貰います!!」
端折りすぎてわけがわからん!
ヒカリ「まず...その順に説明してくれませんか?ここは何処なんですか?そして世界を救えとは..?」
私はさっさと夢よ覚めろと思いながら
この茶番に付き合うことにした。
そうしないと目が覚めない気がしたからだ
ルチア「あ、そうですよねー!ではこの世界の説明から!」
ルチア「ここは夢じゃなくて天界です!寝ている貴女をここに転送しました!」
天界!?転送!??
意味がわからん....
ヒカリ「えーっと要するにここは現実って事ですか?」
ルチア「そういう事です!あ、時間の事は気にしなくて良いですよ!ここは貴女の世界と時間の流れが違うので好きなだけ私の話を聞く事が出来ますよ!」
いやさっさとこんな世界とおさらばして目覚めたいんですけど!!
ルチア「それで世界を救えというのは、貴方に勇者の力が宿ったのでその力で魔王をチョイチョイと倒しちゃってください!」
300年前この世界には魔王が居た
魔王は世界を征服するため非道の限りを尽くし世界を混沌におとしいれた
しかし女神の加護を受けたある若者がたった1人で魔王に挑み
見事討ち滅ぼしたと言われている
その者の名は勇者フェリスと言われ、今も尚伝説として語り継がれている
こうして世界は平和になった...筈だったが
2年前突如滅んだはずの魔王が復活し世界はまた混沌に誘われた
ヒカリ「な、何で私が勇者の力を!?私なんて戦うどころか気持ち悪い虫を見ただけで飛び跳ねて逃げ惑うくらいなのに!」
私は狼狽えた
なぜ私なんだ、私より強い人はそこら中に居る
私に魔王を倒せだと
そこらにいる野良猫にさえ負けそうな私がか
いや落ち着け
ここは夢なんだ..!私に勇者の力なんてあるわけない!
ルチア「えーっと...本当はヒカリさんじゃなかったです」
ん?
ルチア「実を言うと~本当は別の人に勇者の力を授ける予定だったというか~...間違えてヒカリさんに授けちゃったというか~....」
ん!???
ルチア「まぁつまりヒカリさんは代わりって事です!」
ヒカリ「ちょっと待ってください!」バン!!
私は怒鳴りながらテーブルを叩いて立ち上がった
ルチア「ひぃ!!」
ひぃじゃないよ!!
ヒカリ「つまりあれですか!私は元々無関係なのにそちらの手違いで選ばれたって事ですか!!?」
夢だと思いながらも関係ない私を巻き込んだ事に腹が立ってきた
ヒカリ「っていうか誰が誤って私に力を授けたんですか!?」
ルチア「お、怒らないって約束してくれますか?」
ヒカリ「....約束します。誰なんですか?」
ルチア「.....わ、私...です」
ヒカリ「お前かあああああ!!!」
ルチア「ひぃ!!」
ルチア「お、怒らないって言ったじゃないですか...!」
巻き込んだ奴が目の前にいて怒らずにいられるか!
ヒカリ「あぁー!もういいです!これは夢!!夢なんです!!早く目覚めさせてください!」
ルチア「だからー夢じゃないんですって!....どうすれば信じてくれますか?」
ヒカリ「どうするって....貴女は女神様ですよね。女神様なら私しか知らない秘密を答えられるんじゃないですか?」
私はどうせ無理だろうと思った
ルチア「そんな事でいいんですか!?それで信じて貰えるなら...」
そういうと彼女は空中から分厚い1冊の本を取りだし
ページを捲って本に書かれている文字を読み出し始めた
ヒカリ「それは一体?」
ルチア「その人の過去が分かる本なんです~」
過去が分かる本
私の今までの人生はあの分厚い本に書かれてるのか...?
ルチア「あ、ヒカリさん8歳の頃おねしょしましたね!」
.....ッッ!
忘れもしないあの日のこと
おねしょが凄くて家族からシーツに地図が描かれてると笑われた事を
ルチア「それから~クスッ 15歳の頃までキスで子供が出来ると思ってたんですね~!可愛いー!!」
....ッ//!
そう私はその頃までうぶな女の子だった!
友達に教えられるまでは....!
ルチア「それからそれから~!」
ヒカリ「もういいです!!分かりました!!信じます!!」
これ以上恥をかくのは嫌だ!
ルチア「え~もう少し見たかったんですけど~」ニヤニヤ
この駄女神!私の恥ずかしい秘密を見て喜びやがって!
だがここまで言い当てたんだ
ここが夢では無いこと認めてやってもいい...一応
ヒカリ「っていうか女神様なら勇者の力を本来授ける人に移せないんですか!?」
私が魔王退治?そんなのやりたくない
ルチア「いやぁ~それが1度授けちゃうとその人が死ぬまで戻せないんです」
ルチア「だから私も困ってて...」
私の方が困ってるわ!
ってかあんたのせいでしょ!
ヒカリ「たとえ私に勇者の力があっても魔王討伐になんか行きませんからね!この街から離れる気はありません!」
ルチア「そんな!困ります!このままだと世界滅んじゃうんですよ!」
ルチア「次バレたら完全に女神クビになっちゃうんです!!助けてください~!!」
そんなの知るか
私は闘いたくないしこの駄女神の尻拭いなんかまっぴらごめんだ!
......!?
ヒカリ「今『また』って言いました!?」
ルチア「ぎ、ギクリ...」
ルチア「そんな事~...言ったかなぁ~アハハ!」
バン!!
ルチア「ひぃ!!ごめんなさい!」
私はまたテーブルを叩いた
ヒカリ「正直に...言ってください」
怒りが混じった目線をルチアに向けた
ルチア「え、えっと...実はこの世界以外にも色々やらかしてて...」
ヒカリ「何をやったんですか?」
私はこの自称ルチア様に顔を近付けた
ルチア「か、顔近いですよ~!
さっさと言え!
ルチア「そ、その..この宇宙には無数の星があるんです!そして私が担当している星はこの星を含め3つあって...」
よくわからんが私が住んでるこの星以外にも生き物が居るという事か
ルチア「1つ目は....私が争いを治めようとみんなに武器を与えたら核戦争が起きて世紀末に....海は枯れ大地は裂け人類は死滅...」
核戦争??
一体何を言ってるか分からないがその星が滅んだのはコイツが原因だとは分かった
ルチア「全ての国が核を持てばお互い怖がって戦争しないと思ったんです!!許してください~!!」
ルチア「...もうひとつの星はある病を流行らせたんです。症状は軽い咳や熱が出る位の病だったんですが..」
ルチア「なんか配合間違えてゾンビになっちゃう病になってて皆ゾンビ化しちゃったんです!」
何やってんだコイツ!!
魔王よりコイツ討伐した方がいいんじゃないか!?
ルチア「未知の病が流行れば世界は協力して薬を作り争いは無くなると思ったんです...!ごめんなさい!」
無くなるか!!
この人なんで女神やってるの!?
....まさか!
ヒカリ「10年前の疫病ってまさか貴女が...!」
ルチア「え、えーっとそうですねぇ~まぁ私というか...」
ルチア「ゾンビ化する前の世界で流行ってたインフル?っていう病気に私罹ってたみたいで」
ルチア「こちらの世界に遊びに来た時伝染しちゃった...みたいな...」
ヒカリ「全部あんたのせいじゃないかあああ!!何が女神だてめえええ!!!」
ルチア「ひいい!!ごめんなさい!!」
ルチア「本当は星と星を移動する時洗浄しないんですけど大丈夫だと思ったんです!熱なかったし!咳もなかったし!洗浄面倒臭いし!」
ヒカリ「何開きなおってんだああああ!!」
ルチア「ひぃいいいい!!!!」
殴ってやろうかと思った
多分殴っても許されるだろう
ルチア「も、もうこれ以上失敗出来ないんです!神様に次はないからって言われてますし」
ルチア「だから私を助けると思って世界を救ってください!」
あんたが救われたいだけだろ!
こんな事聞いて助けたいと思うか
答えは「いいえ」だ
この世界が滅ぶのは嫌だが
コイツの尻拭いをする方がもっと嫌だ
ヒカリ「貴女が魔王倒せばいいんじゃないんですか?そうすれば万事解決でしょ」
ルチア「以前私が疫病を流行らせた時、神様にこれ以上お前何もするなって言われたんです....」
ルチア「今回も勇者の力の継承はしてもいいけど、お前が首を突っ込むと厄介になるから継承だけで後は何もするなって...」
いや何もするなっていうか
この駄女神さっさとクビにして違う女神を担当させた方がいいんじゃないんですか!?神様!
ってか継承もろくにできてないないぞこの女神!
ルチア「神様と話し合って勇者の力を授ける人は決めたんです」
ルチア「だけど...昨日...色々あってヒカリさんに...」
昨日何があった...!?
....ん!?
そういえばこの人何処かで見たような...
顔を近づけてまじまじと見る
....あっ!この人昨日酔っ払ってゲロ吐いた奴だ!!
しかもコイツ私が店長に怒られてるのを見て、爆笑してやがったんだ...!
ヒカリ「貴女昨日酒場にいましたよね...!しかも私が怒られてるのを観て爆笑してた!!」
ルチア「ぎくっ!え、えっとーなんの事かな??」
ヒカリ「とぼけないでください!ってかちょっと1発殴らせてください!段々腹たって来ましたから!」
ルチア「ごめんなさい~!!その酔っ払ってて、悪意は無かったんです!私酔っ払うと箸が転がっても笑っちゃうので!」
ここで殴っても文句言われないよね
ルチア「その...昨日力を授ける前にちょっとお酒飲んで行こうか!と思って酒場に行ったら」
ルチア「いつの間にか泥酔して...酔った勢いでヒカリさんに授けちゃったみたいなんです...はい。」
仕事してから飲めよ!
ますますコイツに力を貸すのが嫌になってきた
ルチア「って事で...魔王討伐お願い出来ますか?」
ヒカリ「誰がやるか!!」
ルチア「そんな事言わずに..!じゃないと貴女を殺すことになるんですよ!」
ヒカリ「え?」
ルチア「勇者の力は力を持っている人が死なないと、別の人に継承出来ないんです...だからヒカリさんが断るなら...ヒカリさんを...」
ルチア「出来ればそんな事したくないんですよ...神様にバレたら私も色々マズイですし...」
いやいや待て!私こんなボロボロな目に遭って
断ったら殺されるだと!?
本当にふざけるなよこの駄女神...!
この女の言う事は聞きたくない!
だけど死にたくはない
この駄女神に私の日常が壊されるなんて..!
ヒカリ「.....わかりました。討伐に行きますよ...ただ条件が3つあります」
ルチア「良かった~!で条件とは?」
ヒカリ「まずぶん殴らせろ!!」
私は思いっきり女神の顔面を殴った
これくらいやってもバチは当たらないだろ
ルチア「い、痛い...!!で、でもこれは私が悪いから仕方ないですけど...だからってイキナリ顔面グーは酷いですよ!」
酷いのはお前がやった事だ!
ヒカリ「条件2つめ。討伐の旅を全力でバックアップすること」
ヒカリ「私は戦った事もなければ、住んでる町から出たことも無い」
ヒカリ「支援をしてくれないと討伐どころか旅すらままならないです」
ヒカリ「そして3つ目!魔王を討伐したら一生遊んでいける位のお金を私に渡すのと、ルチア様!貴方が私に泣きながら土下座して謝ること!!」
ルチア「え、えっとお金は良いですけど土下座は..」
ヒカリ「じゃあお金なしで土下座で良いですよ」
ルチア「そこまで!?」
ルチア「分かりました...全部私が悪いですし条件を呑みます。女神が殴られそのうえ、土下座だなんて...」ブツブツ
もう1回殴ってやろうか
ルチア「ひとまずこれで契約成立ですね。これで一安心!」
一安心なわけないだろ!
ルチア「それでは元の場所に戻しますね~!それ~」
あれ...眠気が...意識が無くなって...
━━━━━━━
はっ!!夢か...
まぁあんなの現実なわけ
ルチア「夢じゃないですよ~!」
!???
聞きたくない声が聞こえた
夢だったらどんなに幸せだったことか
ルチア「ちゃんと転送出来てて良かった~」
ルチア「あ、ひとつ言い忘れてたんですけど」
ルチア「貴女には本物の勇者様と旅をして貰います!」
...はぁ?
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