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私、勇者様に会いました
しおりを挟むあらすじ
なんやかんやで勇者にさせられ
なんやかんやで初めて魔物と闘い無事勝利を収めました
以上!
━━━━━━
ヒカリ「そりゃー!!とりゃー!!」
私は本物の勇者様がいる町に向かいながら
私の進行を邪魔する魔物をなぎ倒していった
ヒカリ「ったくどんだけ出てくるんですか!?」
私は1時間前初めて魔物と戦った
戦闘自体が初めてで訓練も何も受けていない私が
魔物を倒したのだ
妹からはお姉ちゃんより野良猫の方が強いと言われ
店長からはそこらの虫の方が強いと言われた私がだ
そして今降りかかる魔物を次々と
斬っては捨て、斬っては捨てていた
....本当に私は戦闘の初心者なのだろうか
自惚れもあると思う。
しかしこの感覚、戦っている感覚が何故か懐かしく感じる
これも勇者の力なのだろうか
ルチア「ヒカリさん凄いですね~!少し前まで戦えないよぉ~って泣き叫んだとは思えない成長ぶりです!」
私の脳内にアホ女神の声が響く
泣き叫んでないよ!!
ったく誰のせいで魔物と戦ってると思うんですか!
目の前にいたらこの剣で斬ってやろうか
ルチア「す、ストーップ!落ち着いて、落ち着いて!」
ルチア「ヒカリさん~剣も良いですけど魔法の方もやってみませんか?」
ヒカリ「魔法ですか?」
この世界には魔法がある
皆がみんな魔法を扱えるわけではなく
魔力の素質を持った者のみその力を使える
私の町では魔法を使えるものが居なかったのだろうか
私は魔法をこの目で見たことは無い
本や噂話で聞いたことがあるだけだった
私の父も母も妹のルナも
魔法を使えなかったのできっと私にも素質がないと思っていた
....そう思い込むことにした
ヒカリ「私、素質ないと思いますけど....」
ルチア「そんな事ないですよ~みんな少なからず魔力の素質はあるんです。ただきっかけが必要なんです」
ルチア「ひかりさんは勇者の力がありますし、何より秘めたる強大な魔力をお持ちですよ!」
ルチア「あとはきっかけ!きっかけだけです!」
ヒカリ「きっかけって?」
ルチア「魔法を使うには強い気持ちが必要なのです」
ルチア「強い気持ちが、自身の魔力に結び付いて初めて魔法になるんです」
ヒカリ「....意外と簡単そうですね」
ルチア「ん~それがそんな事ないんですよ」
ルチア「強い気持ちがあっても本人の魔力が弱いと中々魔法にならなく」
ルチア「たとえなっても、弱々しくすぐに消えて魔法だと気付かない事が多いんですよ」
ルチア「ヒカリさんの場合は素質は元から十分あるので心配しなくても大丈夫ですよ」
ルチア「むしろヒカリさん自分に素質がないと思ってることに驚きですよ」
ルチア「ヒカリさん程の素質なら怒ったりするだけで、周りに何かしらの影響を与える程なのに」
ヒカリ「......」
私は.....本気で怒るのが嫌だ
怒りに身を任せると誰かを傷付けてしまう
このアホ女神に腹が立って殴りはしたが
殺意を抱くまではいってない
....今のところは
ルチア「あ、あそこ魔物がいますよ~!魔法使ってみましょう!」
ヒカリ「使えって言われてもどうすればいいか分からないですよ!」
ルチア「まずは深呼吸して~」
ヒカリ「すーはー」
ルチア「頭の中で炎をイメージしましょう」
私は頭の中で燃えさかる火をイメージした
ルチア「そして思いついた言葉を言ってみましょう!」
ヒカリ「断罪の炎よ!全てを焼き尽くせ!!」
.....
....あれ?何も起こらないんだけど
ルチア「ひ、ヒカリさん!断罪の炎ってなんですか????ちょっと笑わせないで下さいよ!」プハハ!!
う、うるさい!!
頭の中で思いついた言葉がこれなんです!!
ルチア「ヒカリさん幼い部分ありますよね~!私はそういう所可愛いと思いますよ~」
あんたに褒められても嬉しくない!
ヒカリ「ってか言われた通りにしたのになんで魔法が出ないんですか!?」
ルチア「イメージ力と気持ちが足りないですね~。頑張って断罪の炎....ププ...出しましょう....!アヒャヒャヒャ!!」
ムカつく...!
集中して...イメージと....強い気持ち
....強い気持ちなら今ふつふつと湧き上がってますよ!!
ヒカリ「このアホ女神~!!!!!」
ゴォォォ!!と音を立てながら
私の掌から全てを飲み込んでしまいそうな
漆黒の炎が魔物を包み込んだ
で、できた...!
私魔法が使えてる!!
ルチア「すごい!!ヒカリさん本当に初めてですか!?というか真っ黒な炎初めて見ましたよ!」
ルチア「というかアホ女神ってなんですか!?女神になんて事言ってるんですか!!」
ヒカリ「言ってません。気のせいです(聞こえてたか)」
ルチア「嘘つきー!今心の声で聞こえてたか!って言ったじゃないですか!!ヒカリさんのアホー!」
子供か!
ルチア「はぁ..まぁ町に着くまで魔法の練習をしながら行きましょうね」
ルチア「次はアホ女神と言わなくても良いくらいになりましょう...!」
...約束はしない
............
ヒカリ「着いた~!!」
私は魔物と戦い
戦闘の基礎を実践で学びながらラダム城に着いた
戦闘をしながら20kmも歩いたせいで
クタクタで、足は痛いし、体はベトベト
早く宿で休みたい
ルチア「おつかれさまでした~。それでは次にフェリアの酒場に行ってください」
ヒカリ「酒場!?なんで!??」
ルチア「フェリアの酒場には冒険者達が集まり、旅の仲間をスカウトしてるんですよ」
ルチア「そこに勇者も居る筈なので会いに行きましょう」
ヒカリ「私疲れてるから休憩したいんですけど...」
ルチア「善は急げです!勇者に会ってから休憩しましょう!」
この悪魔!
私はルチア様に案内されながらフェリアの酒場に向かった
私の町とは違って
どこを見ても人、人、人だらけで私は少し気持ち悪くなった
人混み苦手だなぁ...気が落ち着かない
...でも色んな商店が並んで楽しそう
後でゆっくりみたいなぁ
....そういえばなんで女神は私の町に来たんだ?
20kmも離れてる小さな私の町に..!?
ヒカリ「ルチア様?」
ルチア「へーい?」
ちゃんと返事しろ!
ヒカリ「なんで20kmも離れた私の町に来たんですか?」
ルチア「えーっと...それは....」
何かとても言いにくそうだった
ヒカリ「怒らないから言ってください」
ルチア「....えっとですね、ヒカリさんが働いていた酒場ありましたよね」
ルチア「あそこの蜂蜜酒が美味しいと有名でその...」
ルチア「勇者の力継承する前に1杯引っ掛けようと思いまして....」
仕事してからやれよ!!!
ルチア「ひぃ!!怒らないって言ったじゃないですか!」
そのせいで色々こっちが大変な目に合ってるんだから怒るわ!!
なんで神様はこのアホに女神なんかやらせてるんだ..!?
まだ悪魔だと言った方が納得ができる...!
ルチア「誰が悪魔ですかー!!」
お前じゃい!!
私はそんな言い合いをしながらフェリアの酒場に着いた
ヒカリ「ここに勇者様がいるんですか?」
ルチア「はい~!そうですよ!とりあえず入ってみましょう!」
扉を開け酒場に入ると
この街全体に届く程の少女の声が鼓膜に飛び込んできた
「私の名はシキ!女神ルチア様によって選ばれた勇者だ!!」
シキ「魔王討伐の為に仲間を探しておる!私と一緒に魔王を倒して世界を救おうではないか!!」ふんすっ!
シーン...
無理もない誰も信じるわけがないだろ
静まり返った中
椅子に座って酒を飲んでいた男が口を開いた
男「おいおい!お嬢ちゃんが勇者!?だったら俺は神様だよ!」
周り「ぶわっはは!違いねぇ!」
シキ「何を言うか!?私は勇者だぞ!ルチア様に選ばれた勇者だ!」
ヒカリ「...あれが勇者様?」
ルチア「そうです~」
ヒカリ「あの子になんて言ったんですか?」
ルチア「あなたは勇者に選ばれたので魔王を倒してくださいと。そしたら二つ返事で家を飛び出して...」
ヒカリ「もう少し悩んだり疑ったりしようよ!?」
あのシキという子
歳はわたしの妹と同じくらいに見える
髪は栗色で背中に似つかわしくない剣を背負っている
こんな幼い少女が勇者に選ばれていたのか....
ヒカリ「子供に魔王討伐をさせようとしていたんですか!?」
ルチア「そうですね...彼女が1番勇者の適正があったので...私も心苦しいとは思いましたが...」
適性があるからと言って子供を危険な目に遭わせて言い訳がない...!ましてや女の子だぞ!
私が守らなくては..!
ヒカリ「えっと勇者様!私勇者様と一緒に魔王討伐の旅に出たいのですが。よろしいでしょうか?」
シキ「む!?お主私と旅をしてくれるのか!?」
シキという少女は満面の笑みを浮かべて言った
しかし私を一瞥すると顔を顰めて
シキ「だがお主弱そうだな。そこら辺の虫にさえ負けそうな貧弱さ....」
シキ「お主のような者が旅に出ても、足でまといになるだけじゃ。悪い事は言わんやめておけ」
何だこの子!??
なんでこんなボロくそ言われなきゃいけないの!?
確かに私は勇者の力で強くなっただけで
見た目はひ弱なままだけどここまで言われる筋合いはない!
同情した私が馬鹿だった...!
シキ「他に仲間になりたい奴はおらんか~!?」
ヒカリ「ルチア様」
ルチア「はい?」
ヒカリ「私はやっぱ旅出るの辞めます」
ルチア「はい!??」
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