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夢から覚めた生活

囚われの身のアリス①

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ここは暗い地下の牢屋。
天井近くに1つだけある窓には鉄格子がはめられている。
出入り口は1つだけ、そこには鍵がかかっており、中から出ることは出来ない。
私は囚われのアリス。
帰る家も出迎えてくれる家族も、もういない。消されてしまった。
ここに住んでどの位が経っただろう?少なくとも三度目の冬を迎えた。
地下牢はとても寒い。三年前に着ていた服では小さくて足先まで隠すことが出来ず、凍傷になってしまう。
私は何度も両手を拝むようにさすり、ハァッと息をかける。少しでも温かくなるようにと願いを込めて。
けれど、芯から冷えた体から吐き出される息にはほとんどが温もりはない。
形ばかりの毛布を体に巻いて、出来るだけ小さくうずくまった。
ここの扉は1日に2度開く。朝晩の給仕のために人が来るのだ。どうやら私を囚えた者は死なせる気がないのだろう。毎度代わる給仕の人は去り際に必ず「何か要り用などございますか?」と聞いてくれる。この毛布もその時にお願いして持ってきてもらったのだ。
今度は何か違う物をお願いしてみようか。どれほどの要求が通るか分からないが「蝋燭と火付け石、それといくつかのハギレと裁縫道具をお願い出来ますか?」私はほとんどダメ元で言ってみた。
給仕の人は「確認して参ります。」ペコリと頭を下げて部屋を出て行った。
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