35 / 106
遠慮じゃないです!
しおりを挟む
結局、私は、今、王太子様に両手をがっちり捕獲され、向かい合っている状態です…。
そんな私たちをのぞきこむように身をのりだしているエリカ様。
その隣にぴったりひっついているロジャー様。
癖が強く、圧の強い人たちに囲まれ、絶体絶命の私。
というか、正直、うっとうしい。
離れてー!と、叫びたくなる、暑苦しさよね…。
心が荒れ放題の私にむかって、やけに、甘い雰囲気をまき散らしながら、王太子様が話し始めた。
「ルシェル。この指輪の石に正式な名前はありません。王位につく者だけが持つ秘宝のため、公に名前を呼ぶこともないんですよ」
ええっ?! いきなり重すぎる内容なのですがっ?! ほんと、やめて?!
おびえる私を楽しむように、王太子様が美しく微笑んで話を続ける。
「この名もない石は、王家にふたつあります。そして、代々、ひとつは王に、もうひとつは王太子が持つようにと受け継がれてきました」
「あら、たった、ふたつしかないの? じゃあ、今は王とレオが持っているとして、ルシェルの指輪の石は何? 幻のみっつめ?」
エリカ様が怒涛の勢いで、王太子様に問いかける。
が、王太子様は、エリカ様がまるで見えてないかのように、私をじっと見ている。
なになになに、怖すぎるわっ…!
「ルシェルにわかりやすいように、ルシェルのために説明するので、雑音は放っておきましょう。順に説明していきますからね、ルシェル」
ちょっと、王太子様?! 一体何を言っているのです?!
いくら反抗期だからといって、エリカ様を無駄に怒らすのはやめてください!
ほら、ただでさえ暑苦しいのに、ロジャー様がすごい殺気を放ちだしたじゃない…。
と、思ったら、案の定、ロジャー様が王太子様の顔の前にぐいっと近づく。
「おい、レオ。エリカが聞いたことを、とっとと話せ。無視するようなら、たたきつぶすぞ」
ドスの効いた声をだすロジャー様。
普段の品の良さが消え失せ、荒くれ者と化したロジャー様。
ちょっと、ロジャー様?! そこで、言い合うのは本当にやめてください!
王太子様に捕らえられている私の頭の上ですからね?!
「邪魔ですよ、叔父上。それに話が進みませんが、いいのですか?」
王太子様は、淡々と言った。
すると、エリカ様が悔しそうな顔をしながらも、
「ロジャー、だまってて!」
そう言って、ロジャー様の服をひっぱり、ご自分の隣、ロジャー様の定位置に引き戻した。
あれ? なにか、懐かしいわね…。
あ、そうだ。
実家の伯爵家で飼っていた大型犬のルン。猟犬で、闘志あふれる犬なのだけれど、お父様に「待て」と言われると、こんな顔で、そばに控えてたわよね…。
今のロジャー様は、待てをしているルンにそっくりだわ…。
ああ、家に帰りたくなってきた…。
なんて現実逃避をしていると、王太子様が、麗しい笑みを浮かべた。
「また、ルシェルは別のことを考えていますね。ぼくの話に集中してください。でないと、もっと近づいて、ルシェルの耳に直接しゃべりかけますが、いいですか?」
「いや、いいわけないです! ダメです! それは結構です! 集中します! すみません、王太子様!」
私があわてて言う。
エリカ様が顔をしかめ、「レオ、本当に気持ち悪いわね…」と、つぶやいた。
が、そんな声は聞こえてもないように美貌の顔をゆるませた。
「では、ルシェル。まずは、ぼくの持っている石を見せますね。いつも首にかけているんですよ」
そう言うと、襟のボタンをはずし、首のあたりから手を服の中にいれた王太子様。
「見せるって、その秘宝を?! いやいやいやいや、本当に結構ですっ! どうぞ、秘宝は秘宝のままで!」
拒否の気持ちを込めて、全力で頭を横に振る私。
「遠慮しないでくださいね、ルシェル」
「いや、遠慮じゃなくて、本当に結構ですっ!」
と言いきった時には、金色の鎖につながれた緑色の石が、目の前に…。
あーあ、見てしまったわ…。
そんな私たちをのぞきこむように身をのりだしているエリカ様。
その隣にぴったりひっついているロジャー様。
癖が強く、圧の強い人たちに囲まれ、絶体絶命の私。
というか、正直、うっとうしい。
離れてー!と、叫びたくなる、暑苦しさよね…。
心が荒れ放題の私にむかって、やけに、甘い雰囲気をまき散らしながら、王太子様が話し始めた。
「ルシェル。この指輪の石に正式な名前はありません。王位につく者だけが持つ秘宝のため、公に名前を呼ぶこともないんですよ」
ええっ?! いきなり重すぎる内容なのですがっ?! ほんと、やめて?!
おびえる私を楽しむように、王太子様が美しく微笑んで話を続ける。
「この名もない石は、王家にふたつあります。そして、代々、ひとつは王に、もうひとつは王太子が持つようにと受け継がれてきました」
「あら、たった、ふたつしかないの? じゃあ、今は王とレオが持っているとして、ルシェルの指輪の石は何? 幻のみっつめ?」
エリカ様が怒涛の勢いで、王太子様に問いかける。
が、王太子様は、エリカ様がまるで見えてないかのように、私をじっと見ている。
なになになに、怖すぎるわっ…!
「ルシェルにわかりやすいように、ルシェルのために説明するので、雑音は放っておきましょう。順に説明していきますからね、ルシェル」
ちょっと、王太子様?! 一体何を言っているのです?!
いくら反抗期だからといって、エリカ様を無駄に怒らすのはやめてください!
ほら、ただでさえ暑苦しいのに、ロジャー様がすごい殺気を放ちだしたじゃない…。
と、思ったら、案の定、ロジャー様が王太子様の顔の前にぐいっと近づく。
「おい、レオ。エリカが聞いたことを、とっとと話せ。無視するようなら、たたきつぶすぞ」
ドスの効いた声をだすロジャー様。
普段の品の良さが消え失せ、荒くれ者と化したロジャー様。
ちょっと、ロジャー様?! そこで、言い合うのは本当にやめてください!
王太子様に捕らえられている私の頭の上ですからね?!
「邪魔ですよ、叔父上。それに話が進みませんが、いいのですか?」
王太子様は、淡々と言った。
すると、エリカ様が悔しそうな顔をしながらも、
「ロジャー、だまってて!」
そう言って、ロジャー様の服をひっぱり、ご自分の隣、ロジャー様の定位置に引き戻した。
あれ? なにか、懐かしいわね…。
あ、そうだ。
実家の伯爵家で飼っていた大型犬のルン。猟犬で、闘志あふれる犬なのだけれど、お父様に「待て」と言われると、こんな顔で、そばに控えてたわよね…。
今のロジャー様は、待てをしているルンにそっくりだわ…。
ああ、家に帰りたくなってきた…。
なんて現実逃避をしていると、王太子様が、麗しい笑みを浮かべた。
「また、ルシェルは別のことを考えていますね。ぼくの話に集中してください。でないと、もっと近づいて、ルシェルの耳に直接しゃべりかけますが、いいですか?」
「いや、いいわけないです! ダメです! それは結構です! 集中します! すみません、王太子様!」
私があわてて言う。
エリカ様が顔をしかめ、「レオ、本当に気持ち悪いわね…」と、つぶやいた。
が、そんな声は聞こえてもないように美貌の顔をゆるませた。
「では、ルシェル。まずは、ぼくの持っている石を見せますね。いつも首にかけているんですよ」
そう言うと、襟のボタンをはずし、首のあたりから手を服の中にいれた王太子様。
「見せるって、その秘宝を?! いやいやいやいや、本当に結構ですっ! どうぞ、秘宝は秘宝のままで!」
拒否の気持ちを込めて、全力で頭を横に振る私。
「遠慮しないでくださいね、ルシェル」
「いや、遠慮じゃなくて、本当に結構ですっ!」
と言いきった時には、金色の鎖につながれた緑色の石が、目の前に…。
あーあ、見てしまったわ…。
7
あなたにおすすめの小説
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~
百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!?
男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!?
※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
【完結】『運命』を『気のせい』と答えたら、婚姻となりまして
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
ヴォレッカ・サミレットは、領地の危機をどうにかするために、三年ぶりに社交界へと婚姻相手を探しにやってきた。
第一にお金、次に人柄、後妻ではなく、できれば清潔感のある人と出会いたい。 そう思っていたのだが──。
「これは、運命だろうか……」 誰もが振り返るほどの美丈夫に、囁かれるという事態に。
「気のせいですね」 自身が平凡だと自覚があり、からかって遊ばれていると思って、そう答えたヴォレッカ。
だが、これがすべての始まりであった。 超絶平凡令嬢と、女性が苦手な美丈夫の織りなす、どこかかみ合わない婚姻ラブストーリー。
全43話+番外編です。
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています
放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。
希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。
元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。
──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。
「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」
かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着?
優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる